美術作品、お客様にありがとう
教育講座室の神辺です。
今年、トーハク勤務12周年を迎えます。
ここまでやってこられたのは、折に触れ叱咤激励してくださった諸先輩方のおかげですが、
物言わぬ相談相手にも支えられてきました。
やるべきことに迷った時や気合が必要な時、私は相談相手を探しに展示室へ向かいます。
「全てお見通し」の文殊菩薩像、「考え方が甘い!」と一喝してくれる不動明王像が行きつけですが、
一人熱くなりすぎた時は平櫛田中の森の仙人の前で頭を冷やしたりもします。
森の仙人 平櫛田中作 大正6年(1917) (展示予定は未定)
私が生まれるずっと昔から「在る」これらの美術作品は、私の人生の案内人、先達です。
先達は、じたばたする私を落ち着かせ、最後に優しく背中を押してくれます。
尊敬する先輩が年々トーハクを去られ寂しく心細い思いをする中、
先達はいつも変わらず私を迎えいれてくれるありがたい存在です。
優しく背中を押してくれるといえば、常連のお客様にもお世話になっています。
講座室はお客様と直接お話することの多い部署です。講演会や列品解説では、
何気ないお客様とのおしゃべりや博学なお客様からのご指摘が講演会の運営の向上や研究のヒントになったりします。
昨年の秋、私は新しい命を授かりました。お腹が大きくなるにつれ縄文時代の土偶に一方ならぬ親しみがわいています。
語らう先達がまた一人増えました。
土偶ポーズで土偶と2ショット
美術作品に寄り添いながら人生を歩むことはとても素敵なことです。
この先の10年もたくさん美術作品、お客様に「ありがとう」を感じながら歩んでいきたいと思っています。
カテゴリ:2012年2月
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posted by 神辺知加(教育講座室) at 2012年02月26日 (日)