特別企画「韓国美術の玉手箱」その1 ソウルで感じた、日本美術への深き理解
2月10日(火)より当館本館で開催中の特別企画「日韓国交正常化60周年記念 韓国美術の玉手箱― 国立中央博物館の所蔵品をむかえて―」(4月5日まで開催中)では韓国国立中央博物館より日本初公開の作品15件を含む所蔵品17件をご出品いただき、当館所蔵作品とともに展示しています。
韓国の歴史と文化をお伝えする本展に先立ち、日韓国交正常化から60年をむかえた昨年2025年には韓国国立中央博物館の常設展示ホール3階306号室において、「日本美術のとびらー四つのまなざし」(以下、「日本美術のとびら」)が6月17日(火)~8月10日(日)まで開催されました。
注)「日本美術のとびら」はすでに展示が終了しています

韓国国立中央博物館 外観
韓国国立中央博物館は、ソウル特別市の中央部、漢江北岸の龍山(ヨンサン)区龍山公園の最南端に位置する、世界でも有数の規模を誇る博物館です。
当館とは長年にわたり、両国の歴史と文化への理解を深めるために緊密な交流をしています。
「日本美術のとびら」では、韓国の皆様に日本美術に親しんでいただくことを目的として、当館と韓国国立中央博物館がそれぞれの所蔵品の中から厳選した合計62件の作品を展示しました。
当館からは重要文化財「小袖 白綾地秋草模様(冬木小袖)」をはじめとする名品、「武蔵野図屛風」などの日本の情景を伝える絵画作品、重要文化財「一重口水指 銘 柴庵」といった独自の美意識を示す茶道具、また重要文化財「能面 曲見」などの伝統芸能に息づく造形美を表す作品など40件を出品しました。
韓国国立中央博物館 特別展「日本美術のとびらー四つのまなざし」展示会場入り口(現在は展示が終了しています)
展示は韓国国立中央博物館のチームが主となり、日本美術に内在する本質的な特徴と美意識を感じ取っていただくことを意図して、4つの視点から日本美術を眺める構成がとられました。
前半2章で装飾性と非装飾性という外形的な2つの視点、後半2章では内面的・情緒的な視点と大きく2つの視点から日本美術を眺め、更にそれぞれの視点の中で対照的な2つの視点に分ける4章構成で企画されます。
「日本美術のとびら」第1章「飾りの情熱」展示風景
「日本美術のとびら」第2章「抑制の追求」展示風景
まず第1章は「飾りの情熱」として、美に対する理想を色や形をもって象徴的に表現しようとする装飾性の視点から、縄文時代の土器からはじまり有田焼、鍋島焼の色絵陶磁器、料紙が美しい近世の書作品、華やかな彩色と形態が目を引く屏風絵などが展示され、つづく第2章では「抑制の追求」として、物の本質を追求するために装飾をそぎ落とし必要最小限まで絞りこんでいく非装飾性の視点から、井戸茶碗や黒楽茶碗といった茶道に関する作品が展示されました。
「日本美術のとびら」第3章「はかなさの美」展示風景
「日本美術のとびら」第4章「遊びの美学」展示風景
第3章は「はかなさの美」として、自然の繊細な移ろいに対する感動を表す「あわれ」の視点から、秋草などの植物をモチーフにした作品や、能面、能衣装が展示され、第4章では「遊びの美学」として、愉快で機知に富んだ美的感覚を表す「あそび」の視点から、狂言面、浮世絵などが展示されました。
どの章においても、テーマ設定の仕方と作品の選定、展示空間の設計や演出手法において、日本美術への深い理解と敬意が感じられるとても素晴らしいものでした。現地でも非常に良い展覧会として好評を博したと伺っています。
さらに、同展覧会で私が特に感心したのは、展覧会のポスターデザインです。
全体としては、白地に金で桔梗や女郎花、ススキ、菊といった秋草をポスターのほぼ全面に大きくあしらい、その草むらの中に見え隠れしながら、黒の細い直線と、漆工品の蒔絵をイメージしたであろう黒と金の配色で〇や△、▢にデザイン化されたハングル特有の文字の構成要素によって表された「日本美術」の文字がリズミカルに配された瀟洒でスタイリッシュなデザインとなっています。



カテゴリ:特別企画
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posted by 沖松健次郎(列品管理課長) at 2026年03月23日 (月)
「明末清初の書画」のたのしみかた、その3 いびつな形の裏側に
年明けに開幕した東京国立博物館(以下「東博」)と台東区立書道博物館(以下「書道博」)の連携企画「明末清初の書画」は、2月10日(火)より後期展示がはじまり、気付けば閉幕まであとわずかとなりました(3月22日(日)まで)。









本展の公式図録をミュージアムショップで販売しています。
明末清初の書画 ―乱世にみる夢― 八大山人 生誕四百年記念編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館、九州国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
制作・印刷:大協印刷株式会社
定価:1,900円(税込)
カテゴリ:研究員のイチオシ、中国の絵画・書跡、「明末清初の書画」
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posted by 六人部克典(平常展調整室主任研究員) at 2026年03月17日 (火)
東京国立博物館(以下、東博)と台東区立書道博物館(以下、書道博)は、連携企画として、毎年、時期とテーマを合わせて中国書画に関する展覧会を開催しています。






本展の公式図録をミュージアムショップで販売しています。
明末清初の書画 ―乱世にみる夢― 八大山人 生誕四百年記念編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館、九州国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
制作・印刷:大協印刷株式会社
定価:1,900円(税込)
カテゴリ:研究員のイチオシ、中国の絵画・書跡、「明末清初の書画」
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posted by 鍋島稲子(台東区立書道博物館長) at 2026年02月18日 (水)
「明末清初の書画」のたのしみかた、その1 石マニア?「烈士」?―明時代の終わりを見届けた倪元璐の二つの顔
東京国立博物館(以下「東博」)と台東区立書道博物館(以下「書道博」)は、連携企画として、毎年、時期とテーマを合わせて中国書画に関する展覧会を開催しています。
23回目となる今回は「明末清初の書画」と題して、17世紀の中国、明から清へ王朝が交代した激動の時代の芸術をご紹介しています。
東京国立博物館 東洋館8室 特集「明末清初の書画―乱世にみる夢―」
前期:2026年1月1日(木・祝)~2月8日(日)、後期:2月10日(火)~3月22日(日)
台東区立書道博物館 「明末清初の書画―八大山人 生誕400年記念―」
前期:2026年1月4日(日)~2月8日(日)、後期:2月10日(火)~3月22日(日)






本展の公式図録をミュージアムショップで販売しています。
明末清初の書画 ―乱世にみる夢― 八大山人 生誕四百年記念編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館、九州国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
制作・印刷:大協印刷株式会社
定価:1,900円(税込)
カテゴリ:研究員のイチオシ、中国の絵画・書跡、「明末清初の書画」
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posted by 植松瑞希(出版企画室長) at 2026年01月27日 (火)
11月29日(土)・30日(日)は「東博ボランティアデー2025」でした。2日間ともに晴天に恵まれ、多くの方にお越しいただきました。
今年のボランティアデーでは、ガイドツアーやスライドトークに加え、特別企画として本館19室での「ハンズオンツールまるごと体験会」と平成館大講堂でのトークイベントを実施しました。当日の様子を少しご紹介します。
現在、東京国立博物館(トーハク)には、15のボランティアの自主企画活動グループがあり、この2日間でガイドツアーやスライドトーク、ワークショップを実施しました。
普段はバラバラの日程で実施していますが、ボランティアデーではガイドツアーやスライドトークが2日間に凝縮して実施されることもあり、複数の自主企画イベントに参加されるお客様もいらっしゃいました。
アートスタジオ「大人の勾玉づくり」の様子
浮世絵ガイドスライドトークの様子
東洋館ツアーの様子
法隆寺宝物館ガイドの様子
たてもの散歩ツアーの様子
庭園茶室ツアーの様子子ども向けプログラムとして「ユリノキからたんけん!」と「こどもたてものさんぽツアー」も実施。「ユリノキからたんけん!」では子どもも大人も楽しそうに歌に合わせて手遊びをしていました!また、移動中には落ち葉を踏んでザクザクと音を出して楽しくたんけんしました。
「こどもたてものさんぽツアー」では、まさかの子どもの参加者0人での実施となりましたが、大人の参加者が、建物に関するトークやクイズを楽しんでいるようでした。
子ども向けプログラム「ユリノキからたんけん!」の手遊びの様子
子ども向けプログラム「ユリノキからたんけん!」の移動中の様子
子ども向けプログラム「こどもたてものさんぽツアー」の様子『11月29日、30日 ハンズオンツールまるごと体験会』
本館19室では2025年2月より、ハンズオン体験コーナーを開設し、ボランティアが活動している時間帯に、ハンズオンツールを体験していただけます。
ボランティアデーでは今年出した4つのハンズオンツールを本館19室に準備し、多くのお客様にお立ち寄りいただきました。
よろいの体験では、籠手を腕に着けた姿を鏡で見て、「すごい!」と写真を撮っている方が多くみられました。
漆の触察ボードは、塗りの工程ごとに塗り分けられた手板を触ることができるツールです。工程の多さに驚く方や、ボランティアからの説明を熱心に聞かれる方が印象的でした。
土偶レプリカ体験では、実際には見ることができない遮光器土偶の内側を見て触れるレプリカが登場。土偶の内側に残る縄文時代の人の指の痕に感動する方もいらっしゃいました。
能面は手にとる際にこめかみの穴付近しか持てないため、「意外と扱うのが難しい‼」という反応があったほか、能面を顔に当ててみたときの視界の狭さに驚かれる方もいました。
ハンズオンツールのご案内の様子
よろいの籠手のご案内の様子
漆の触察ボードのご案内の様子
漆の触察ボードと触知図のご案内の様子
『11月29日 ボランティア発!トーハクの魅力発信イベント~あなたの知らないトーハクに出会えるかも?!~』
このイベントは、トーハクボランティアがトーハクの魅力やおすすめを、いつもの活動とは違った形でお客様に伝えたいという熱意のもと、ボランティア主体で企画運営したトークイベントです。
事前アンケートで寄せられたエピソードや質問などをもとに、2部構成で、ボランティアや職員がそれぞれの立場から魅力をお伝えしました。
第1部ではトーハクボランティアの活動内容とやりがい、トーハクのおすすめの場所・展示作品について、現役ボランティア数名が語りました。
第2部では当館の研究員・職員が登壇し、アンケートで特に多かった質問を中心に、トーハクで働いているからこそ知っている博物館の裏側や魅力を紹介しました。
ボランティア主体でのトークイベントは初めての試みで、ボランティア・職員ともに緊張しておりましたが、参加された皆様からは、「トーハクの魅力をより感じた」「ボランティアの熱意がすごい」などのご感想をいただきました。
ご参加いただいた皆様、また、ご登壇してくださった方々、ありがとうございました!
第1部でボランティア活動についてトークするボランティア
第2部でスライドを見ながらトークする職員
第2部で本館11室の展示についてトークする副館長トーハクボランティアは緑のビブスを身にまとい、来館される皆様が安心して、よりトーハクを楽しんでいただけるように活動しています。
次のボランティア募集では令和8年後半から活動を開始するボランティアを募集します。令和8年3月頃に募集要項を公開、4月に募集説明会を実施する予定です。
東京国立博物館でボランティアをやってみたい!と思っている皆様、準備ができ次第、当館ウェブサイトで情報を発信しますので、もうしばらくお待ちください。
カテゴリ:催し物
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posted by 野間清乃、太田知花(ボランティア室) at 2026年01月16日 (金)