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特集「親と子のギャラリー 尾・しっぽ」みどころ(2) 担当室員が選ぶおすすめ作品

現在開催中の特集「親と子のギャラリー 尾・しっぽ」(平成館企画展室にて2023年6月4日まで)について、前回のブログ「特集『親と子のギャラリー 尾・しっぽ』みどころ(1) 三館園のコラボ展示! 裏側ストーリー」では、恩賜上野動物園(動物園)と国立科学博物館(科博)との連携企画のことや、そこから特別出品に至るまでの裏側ヒストリー、展示中の標本の注目ポイントについてお伝えしました。

今回は、この展示を担当する教育講座室の室員から、それぞれが選ぶおすすめ(推し)東博作品をご紹介します。
展示構成を考えるときも、室員のアイディアを出し合って作品選定にあたりました。
さて、どんな推し作品、鑑賞ポイントが飛び出すでしょうか…。

推し作品 その1:「豹の図」
うねうねとした、動きをなぞりたくなるしっぽに目が釘付けです。
この絵をみていると、豹のしっぽはこんなふうに曲がるの? 生きた豹をみて描いた? それとも毛皮や標本を参考にした? なかの骨の形が知りたい!
などと興味が尽きません。連携企画を経て、描かれたしっぽの動きや内部にまで想像が及び何度でもみてしまいます。(教育講座室事務補佐員・三野有香子)

 


(展示の様子)

(部分)

豹の図 河鍋暁斎筆 江戸時代・万延元年(1860)


推し作品 その2:「彦根更紗 白地栗鼠葡萄文様更紗」
インドの染物「更紗」にはたくさんの動物が登場しますが、この作品にはブドウとリスが、多産を示すおめでたいテーマとして組み合わされています。先日の動物園の解説員小泉さんのお話で初めて知ったこと、それは…リスのしっぽはクルンと丸まったかわいい印象がありますが、それは止まっているときだけで、走るときは必ずピン! と伸ばしているのだそうです。実際に作品をよくみると…本当にそうなっていますね!(教育講座室長・金井裕子)


(全体図)

(部分)

彦根更紗 白地栗鼠葡萄文様更紗 インド 井伊家伝来 江戸時代・19世紀


推し作品 その3:「蓑亀水滴」
科博の研究員川田さんのお話によると「水を泳ぐと尾が長くなる」傾向にあるらしいのですが、この「蓑」は藻や苔なので身体の一部ではありません。この蓑を被ることで、果たして亀は泳ぎやすくなるのか…ぜひ本人(亀)に聞いてみたいところです。牛のような耳も相まって、どこか浮世離れした体躯が個人的にツボです。(教育講座室アソシエイトフェロー・山本桃子)


(展示の様子 斜め俯瞰)

(展示の様子 横から)

蓑亀水滴 江戸時代・18〜19世紀 渡邊豊太郎氏・渡邊誠之氏寄贈


推し作品 その4:「青花魚跳龍門香炉」
鯉が、龍門と呼ばれる激流を上って龍になろうとしている一場面をあらわしたやきものです。この鯉は、すでに顔が龍になりかかっていて、ぐっと曲げて力のこもった尾からは「あと一息」の緊張感がみなぎり、見えない激しい川の流れも感じられるようです。ちょっと寸胴の体はどこかコミカルでもあり、観ると思わず笑みがこぼれ、応援したくなります。(教育講座室研究員・横山梓)


青花魚跳龍門香炉 中国・景徳鎮窯 明時代・17世紀 横河民輔氏寄贈(展示の様子)


…いかがだったでしょうか? どれか気になる一作はありましたか。

去る5月14日に、合同企画のメインイベントである「上野の山で動物めぐり 尾・しっぽ」を開催しました(注)。
室員のコメントにも出てきますが、動物園や科博の方のお話しも踏まえて、あらためて東博の展示品を観てみると、いままでとちょっと違った視点で気がつくことも多くありました。
(注)このイベントの様子は、都立動物園公式ホームページZooネットの記事、またYouTubeのオンライン配信でどなたでもご覧いただけます)
都立動物園公式ホームページZooネットへ移動する
YouTube 都立公園開園150周年記念企画 国際博物館の日記念「上野の山で動物めぐり──動物の『尾・しっぽ』」へ移動する

今回はとくに、尾(しっぽ)という、動物の後ろ側から注目するという、いつもとは逆方向からの作品へのアプローチになるところがポイントなのではないかなと思います。

展示室で、「いままで意識していなかった」「そうか、こんな見方があったんだ!」というような、新たな発見や気づきがあれば、企画冥利に尽きる限りです。
ぜひお楽しみください。

 

カテゴリ:教育普及特集・特別公開

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posted by 横山梓(教育講座室) at 2023年05月30日 (火)

 

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