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1089ブログ

来春、国宝「風神雷神図屏風」5年ぶりに公開!

トーハクでは来春、特別展「栄西と建仁寺」(2014年3月25日(火)~5月18日(日)、平成館)を開催します。
2013年10月28日(月)に、報道発表会を行いました。

はじめに、主催者より、当館の島谷弘幸副館長と、臨済宗建仁寺派・坂井田良宏宗務総長がご挨拶申し上げました。


臨済宗建仁寺派・坂井田良宏宗務総長
 
次に、本展覧会担当の田沢裕賀絵画・彫刻室長より展覧会の構成と見どころを解説いたしました。


田沢裕賀 絵画・彫刻室長

本展覧会では、日本に禅宗(臨済宗)を広め、京都最古の禅寺「建仁寺」を開創した栄西禅師(ようさいぜんじ、1141~1215)の800年遠忌にあわせ、栄西ならびに建仁寺にゆかりの宝物が一堂に会します。


 「あれ?『えいさい』じゃなくて、『ようさい』なの?」


もしかして、そう思われた方、いらっしゃいますでしょうか?
そうなのです。
本展覧会では「栄西」を『ようさい』と読んでいます。
もちろん、『えいさい』と読んでも間違いではありません。
建仁寺では、同寺を代表する学僧・東晙(とうしゅん)があらわした「興禅護国論和解(こうぜんごこくろんわげ)」にもとづいて、『ようさい』と読んでおり、
今回の展覧会ではこうした呼び方も建仁寺の文化のひとつと考え、『えいさい』ではなく『ようさい』と読んでいるのです。


興禅護国論和解 高峰東峻著 江戸時代・18世紀 京都・両足院蔵
「興禅護国論」の注釈書。中央の「栄西」に「イヤウサイ」と読みがながふられています。

本展覧会では、栄西の著作・自筆書状や栄西の人となりを示す作品を展示しながら、「禅」だけではない『ようさい』像をご紹介します。

また、建仁寺に伝えられてきた名宝の数々も大きな見どころ!
誰もが知っている、あの国宝「風神雷神図屏風」が5年ぶり(東京では6年ぶり!)にお目見えします。


国宝 風神雷神図屏風 俵屋宗達筆 江戸時代・17世紀 京都・建仁寺蔵
日本人なら誰もが知っているこの顔、この姿、この構図。

しかも、今回は東京国立博物館の本館2階「日本美術の流れ」7室で、重要文化財の尾形光琳筆「風神雷神図屏風」が本展の会期に合わせて公開されることになりました。


重文 風神雷神図屏風 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
[展示期間:2014年4月8日(火)~5月18日(日)]
宗達の「風神雷神図屏風」を光琳が「模写」したもの。宗達との造形感覚の違いに注目!


琳派の美を象徴するともいえる2つの作品が同時期に公開されるのは、東京国立博物館での「大琳派展」(2008年)以来、実に6年ぶりです。
別会場とはなりますが、比べてご観覧いただける貴重な機会となります。

加えて、今回の展示作品には海北友松(かいほうゆうしょう)や伊藤若冲、長澤芦雪などの傑作もズラリ。


重文 雲龍図(部分) 海北友松筆 安土桃山時代・慶長4年(1599) 京都・建仁寺蔵
建仁寺本坊方丈を飾る障壁画(現在は軸装)。眼光ド迫力です。


トーハク所蔵の海北友松の作品も、同じく本館2階「日本美術の流れ」7室で公開されるとのこと。建仁寺は友松作品の宝庫であり、さながら本展覧会は建仁寺とトーハクを挙げておおくりする「海北友松展」。
狩野永徳、長谷川等伯とならぶ桃山画壇の巨匠の実力は、われわれを驚嘆させてくれることでしょう。


最後に、建仁寺の浅野全雄庶務部長より、本展覧会でも再現展示される建仁寺の四頭茶会(よつがしらちゃかい)についてご紹介しました。


建仁寺・浅野全雄庶務部長


四頭茶会の様子。栄西の生誕を祝し、毎年4月20日に行われています。

栄西は日本に茶の習慣を伝えたとされる「茶祖」として知られており、本展覧会では古い禅院の茶法を伝えるこの四頭茶会の空間を会場内に再現します。
今回の再現展示に使われる掛軸をはじめとするしつらえは、すべて実際に使われているものなのだそうです。
建仁寺でもなかなか体験できないこの茶会の空間を、是非トーハクでお楽しみください。

さらに!

トーハク初の試みとして、開幕1週間の3月25日(火)~30日(日)の6日間限定で、格安で観覧可能な「春爛漫!開幕1週間限定チケット」の販売も発表されました。
(※チケットの詳細は展覧会公式ホームページをご覧ください。)
期間限定、枚数限定の格安チケット。売り切れ必至です。皆様この機会をお見逃しなく。

このほかにも、魅力あふれる作品やイベント情報など、今後も1089ブログでご紹介していきます。

必見の名宝とともに、近年研究の進んでいる栄西の著述などを通して、栄西の伝えようとしたもの、そして建仁寺が日本文化の発展に果たした役割を検証する本展覧会、どうぞ来年3月の開幕をお楽しみに。

カテゴリ:news2014年度の特別展

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posted by 田村淳朗(広報室) at 2013年10月30日 (水)