7月30日は子どものためのとくべつな1日、トーハクキッズデーでした。
たくさんの子どもたちがワイワイ楽しむトーハクを夢見て、職員は数か月前から準備をはじめていました。でもなぜか、前日は土砂降り。当日の朝、いつもより早起きをしてカーテンを開けると、雨。「こども、来ないんじゃないだろうか・・・」そんな不安を胸に開館時刻を迎えることになったのです。
でも、次第にお天気もよくなり、正門前にはたくさんの子どもたちの姿が!スタッフは「やったー!」とささやきあいながら、お出迎えいたしました。
子どもたちは入館と同時にトーハクくんのサンバイザーをつけ、本館までの道のりで顔はめ撮影。もちろんテンション急上昇!
トーハクサンバイザー(写真左)と顔はめボード(写真右)。トーハクの作品に大変身!
そのテンションは、展示室でももちろんキープ。和太鼓で日本のリズムを感じ、楽しみます。トーハクくん、ユリノキちゃんも子どもたちと頑張っていました。トーハク劇場では縄文時代にタイムスリップ!縄文人たちと出会う不思議な体験をしました。
日本の楽器のコンサートでの、和太鼓の体験コーナー。
トーハクくん、ユリノキちゃんも挑戦しました。
子どもツアー「トーハク劇場へようこそ!考古編」。
縄文人の登場にちょっとびっくり!
トーハクの作品をモチーフにしたぬりえにじっくり取り組み、みんなのぬりえで貼り交ぜ屏風を作ったら、ギャラリートークで楽しくまなび、キッズコーナーで休憩タイム。
みんなでつくる貼り交ぜ屏風(ぬり絵)
みんなのぬり絵を貼った、すてきな屏風をつくりました。
子どものためのギャラリートーク
子どもたちが展示を楽しむためのヒントがいっぱい!
キッズコーナー
授乳コーナー、離乳食コーナーもありました。
最後は親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ」(~9月3日(日))で屏風の世界で遊びます。
親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ」第2会場(本館特別4室)
屏風からでてきた鶴を追いかけるうちに、屏風の世界に入ってしまいます。
子どものためのとくべつな1日「トーハクキッズデー」。ここには紹介しきれなかった企画もありました。展示室からは、作品について、博物館について、子どもたちが話す声が聞こえてきます。その声にこたえているのはきっとご家族でしょう。
昨年に引き続き開催となったのは、多くのパパ、ママからのリクエストがあったから。お子さんがのびのび展示を楽しむ姿を、目を細めてみているパパ、ママの姿がありました。もしかしたら、トーハクファンのパパ、ママたちにとっても「とくべつな1日」になったのかもしれません。
そして、私たちスタッフにとっても、大好きなトーハクがみんなの笑顔と笑い声で包まれる「とくべつな1日」でした。トーハクキッズデーの思い出が、子どもたちにも、パパ、ママにも、スタッフにも、みんなにとっての「とくべつ」になったらいいな。来年も、再来年も、大きくなってもまた来てね。キッズデー以外の日だって、トーハクはみんなを待っていますよ!
そう思いながら、みなさんをお見送りしました。
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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2017年08月04日 (金)
泰平の世に、日本を飛び出し、活躍の地を求めてアユタヤーに雄飛した人びとがいました。
彼らのなかで最も有名な人物が、駿河出身とされる山田長政(?~1630)です。
「山田長政像」(江戸~明治時代・19世紀 、静岡浅間神社蔵)
洋装に身を包んだ長政の肖像。なぜ洋装なのかはよくわかっていません。
同時代の資料が少なく、なかば伝説的な人物のように扱われることの多い長政ですが、彼の名は江戸幕府初期に活躍した以心崇伝(いしんすうでん)が著した外交実務の記録『異国日記』に、「山田仁左衛門」の名で登場します。また、彼の故郷にある静岡浅間神社には、長政が奉納した絵馬の写しが伝わっています。
静岡浅間神社
「山田長政奉納戦艦図絵馬写」(浅間大祝高孝寄進、江戸時代・寛政元年(1789)、静岡浅間神社蔵)
荒波をものともせず進む軍艦。甲板に多数の鎧武者とともに長政が描かれています。
長政は、勇猛な日本人義勇軍を率いて活躍し、時の国王に重用されますが、宮廷内の諍いに巻き込まれてしまい、最後はタイ南部の六昆(リゴール)の地で暗殺されたといわれています。
「カティナ(功徳衣)法要図」(ラタナコーシン時代・1918年、タイ国立図書館蔵)
法要図に描かれた日本人義勇軍。薙刀を手にしています。
山田長政終焉の地である六昆は、ナコーンシータンマラートと名を変えて今に至っています。タイ南部を代表する都市です。
さてこの地に、長政を偲ぶものはあるのでしょうか。
この街には、現在でも長政が活躍したアユタヤー王国時代に作られた城壁が残っています。煉瓦(れんが)を平積みに積んだ高くて堅固な城壁です。
ナコーンシータンマラートは城塞都市だったんですね。
もしかしたら、長政もかつて見上げた風景かも知れません。
ほかに何かないでしょうか…街を歩いてみます。ナコーンシータンマラートは、目抜通りこそ車の往来が激しくて、とてもせわしないですが、少し裏手にまわるとのんびりとした風情があります。この日は、歩いている途中に眠りこけている犬を何匹も目にしました。
遂に見つけました!
山田長政邸宅跡に残る井戸です!! 本当かどうかはわかりません!!!
内側を煉瓦で積み上げた横長の井戸ですね。
今も井戸の底には水をたたえています。
井戸のすぐそばにパン屋さんがありましたが、そこの看板に「RIGOR」と書いてありました。「リゴール」、つまり六昆ですね。
ナコーンシータンマラートで美味しかったのは、地元特産の貝料理でした。
日本でいうと、これはたぶんサルボウとイガイですね。長政も亡くなる前にお腹いっぱい食べることが出来たのでしょうか。駿河人は海産物が大好きなのです。ちなみに、このコラムの筆者も駿河人です。
長政の故郷、静岡では毎年10月に「日・タイ友好 長政まつり」が開催されています。今年で32回目を迎えます。のんびりとしたお祭りです。興味のある方は行ってみて下さい。 今年は10月8日(日)開催だそうです。長政公も出迎えてくれます。
※今回ご紹介した作品は、東京国立博物館 平成館で8月27日(日)まで開催中の日タイ修好130周年記念特別展「タイ ~仏の国の輝き~」でご覧いただけます。
カテゴリ:研究員のイチオシ、2017年度の特別展
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posted by 望月規史(九州国立博物館 研究員) at 2017年08月04日 (金)
現在、平成館企画展示室で展示中の「新指定 重要文化財 野毛大塚古墳-世田谷の中期古墳-」の展示デザインについてお話します。
この野毛大塚古墳の特集展示では、普段の展示とは異なる、少し変わった展示方法に挑戦しています。
特徴は、展示品と一体になったグラフィックです。
野毛大塚古墳の展示風景
通常、展示品や解説、題箋は下の写真のように、別々に互いに干渉しないように配置されています。
総合文化展の展示風景/本館2階展示室
作品や解説、題箋が干渉しないように配置されている
しかし、今回の展示では斜めの展示台に作品とグラフィック(解説や画像、題箋)が一体となって並んでいます。
作品とグラフィックが一体となった野毛大塚古墳の展示台
これによって、一巻の絵巻を見るようにスムーズに展示を観ることができます。
鑑賞者の目線を比べると違いがよくわかります。
通常の展示で、展示品が低い位置にある場合、人の目線は、以下のようになります。
〈通常の展示の目線 パネル↑・作品↓・パネル↑・作品↓・パネル↑・作品↓・・・〉
首を上下する必要があり、これを繰り返すと疲れてしまいます。
一方、今回の野毛大塚古墳の展示では、このような目線となります。
〈野毛大塚古墳の展示の目線 パネル↑・作品↓・作品↓・作品↓・パネル↑〉
壁付きパネルを始めと終わりの2箇所にまとめ、なるべく目線が上下しないつくりになっています。
このような目に見えない、目線のデザインもとても大切な要素です。
もちろん全ての展示を今回のように作ればいいというわけではありませんが、今回の企画と展示品を考慮した結果、最適な展示方法としてグラフィックと一体になった展示に至りました。
「展示の性格」に合わせその都度、最適な展示方法を考えていく必要があるのです。
今後、みなさんが博物館の展示を観る際に、どんな意図でデザインされているか意識しながら観ると、「“この作品の”・“この展示の”ここを見せたい!」という研究員やスタッフの意図が見えてくるかもしれません。
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【展示情報】 特集「新指定 重要文化財 野毛大塚古墳ー世田谷の中期古墳ー」 会場:平成館 企画展示室 期間:2017年7月11日(火)~2017年9月10日(日) |
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posted by 荻堂正博(デザイン室) at 2017年08月01日 (火)
「ビール!タイ料理!ビール!ビール!」派の方も!
「ビール!ビール!ビール!タイ料理!」派の方も!
「タイ料理!ビール!ビール!ビール!」派の方も!
「その辺の順番には特にこだわらない」という方も!
お待たせいたしました。
いよいよ「トーハクBEER NIGHT!」、明日7月28日(金)・29日(土)に開催します。
はい、そもそも「トーハクBEER NIGHT!」ってなに? という方、いらっしゃいますか?
あ、いらっしゃいますね。ご説明いたしましょう。
「トーハクBEER NIGHT!」は、真夏の夜のトーハクでビアガーデンを楽しむイベントです。
これまでもトーハクの中でビールを楽しむ機会はありましたが、東京国立博物館平成館の前庭で、しかもこれほど大規模に展開するのは初めての試み。
「博物館の中のビアガーデン」は上野の山の新名所となること請け合い。
ちなみに発音の際は、「トーハク、ビアナイッ!」と、語尾に力いっぱい「!」をつけるのがポイントです。
今年は、現在開催中の特別展「タイ ~仏の国の輝き~」にあわせて、ガパオライスなどタイ料理を含む4つのキッチンカーが日替わりで出店。
※出店料理の一例
さらには、都内でも珍しい「樽出し」のシンハービールが出店します!
タイといえばやっぱりシンハー!
ラベルに刻まれているのは、タイ王室の象徴「神鳥ガルーダ」。タイ王室に認められているその味をぜひご賞味ください。
いかがでしょう? もう舌が「ビールとタイ料理」になってきましたか?
…え? なんですか?
「ビールは日本のビールじゃなきゃ嫌」…?
もちろん日本のビールも冷えております。
「私、ビール党じゃないの」…?
タイ産の焼酎「カオカヤラット」、ワイン「モンスーンバレー」、ワインクーラー「スパイ」などはいかがでしょう?
「医者から酒は止められてて」…?
ソフトドリンクも冷えてます。
「俺、カレーは『インド』に決めてるから」…?
どっこい、インドカレーの屋台も出ています。
「僕、エスニックフードが苦手で」…?
角煮・グリルチキン(7月28日)、ソーセージ・牛煮込み(7月29日)などもございます。
「今週末は予定があるから、行けたら行くわ」…?
じゃあ、来月でもいいですよ。8月25日(金)、26日(土)もやってます!
…さて、外堀はもう完璧に埋まりましたね?
「トーハクBEER NIGHT!」、当日の入館料は必要ですが、テーブルチャージ等はなしでお楽しみいただけます。
明日、7月28日はプレミアムフライデー。
少し早めに仕事を終えて、ご家族・ご友人、同僚の方々と博物館で展示とビアガーデンを楽しんでみてはいかがでしょう。
さいごに、7月28日はトーハクくん、ユリノキちゃんも登場予定です(17:30と19:00から30分程度)。
皆様のご来場お待ちしております。
カテゴリ:news、催し物、2017年度の特別展
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posted by 田村淳朗(総務課) at 2017年07月27日 (木)
7月30日、子どもたちのための特別な1日、トーハクキッズデーを開催します!
「小さな子ども連れだと博物館には行きづらいなぁ…」「子どもには博物館は難しくて…」という方も、ご安心ください。当日はキッズデーだけの企画がもりだくさんです。
まずは、子どものためのギャラリートークが、いろいろな内容で6種類。誰でも参加できます。
子どものためのギャラリートーク
それから、いろいろなワークショップ。
スタンプでつくる松林図屏風
扇形のオリジナルぬり絵を屏風に貼って完成!
滑石を磨いて勾玉つくり(整理券制)
お芝居仕立ての子どもツアー、「トーハク劇場へようこそ!」では、古墳時代のあの英雄や、キュートな弥生人に会えます。
ご本人たちから、当時の話を聞きましょう
日本の楽器のコンサートでは、和太鼓の体験コーナーも。
和太鼓に挑戦!
トーハクくん、ユリノキちゃんと握手できる時間は、11:00、13:00、14:00、15:00の4回!本館前に集合してください。
9:30~正門プラザでプレゼント配布
他にも、見学ガイドアプリ「学校版トーハクなび」貸出サービスで、見学レポートを作るのも、夏休みの宿題におすすめです。
館内には授乳スペースや、離乳食のためのお湯、電子レンジのあるキッズコーナーもあるので、小さいお子さんのいる方も、のんびりお楽しみいただけます。
当日は、親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ」も開催中(9月3日まで)。畳の上でごろんとリラックスしながら、屏風を楽しめる展示です。
当日は、博物館の約束を守って楽しんでくださいね!
トーハクくんとユリノキちゃんからのお願い 博物館の4つの約束 (PDF:271KB)
ご家族で、そしてお友達どうしで、1日たっぷりトーハクをお楽しみください!
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posted by 藤田千織(教育普及室長) at 2017年07月26日 (水)