こんにちは! ユリノキちゃんです。
5月になってトーハクの前庭にはユリノキの花が咲いています。
そんななか、ゴールデンウィークの最初の日に九州へ行ってきました。
虹色に光るエスカレーターに乗った先にあるのは… 九州国立博物館!
九州国立博物館へ向かうためのエスカレーターです
曲線的でおしゃれな建物
東京展に先がけて開催中の特別展「タイ ~仏の国の輝き~」にお邪魔しました。
タイの仏像やタイからいちども出たことがない宝物など、あわせて140件くらい見られるということで、とっても楽しみ!
特別展会場の入口で記念撮影
さっそく会場に入ると、たくさんのひと。
そのなかでも注目を集めていたのが「ナーガ上の仏陀坐像」です。
ナーガ上の仏陀坐像 シュリーヴィジャヤ様式 12世紀末 ~13世紀 バンコク国立博物館蔵
くっきりとしたハンサムなお顔がすてきねー。
うしろ姿も見られるのね…
ヘビのしっぽ!! ヘビが台座になっていたのね。びっくりです。
時代を追って、タイ仏教のうつりかわりを見ることができます。
特徴的なポーズのお像が多くておもしろいわね。
高いほうの右手に円盤、左手にほら貝を持っています
ハリハラ立像 スコータイ時代 15世紀 バンコク国立博物館蔵
ほほえみながらゆったり歩いています
仏陀遊行像 スコータイ時代 14 ~15世紀 サワンウォーラナーヨック国立博物館蔵
まぶしいと思ったら金の日本刀があるわ!
金板装拵刀 ラタナコーシン時代 19世紀 バンコク国立博物館蔵
日本刀を模してタイで作られた刀「日本式刀剣」ですって。刀に文字が刻まれてるわね。
タイ文字で「民部大臣シンハセーニー家のシン将軍出征の佩刀(はいとう)」とあります
あら、あそこに見えるのはなにかしら...?
きゃー!! 巨大な金色の扉があるわ!!!
ラーマ2世王作の大扉 ラタナコーシン時代 19世紀 バンコク国立博物館
5メートル以上もあるなんて...! わたしと比べると扉の大きさがわかるかしら…?
右下に座っています
この扉は王室のお寺、ワット・スタットの正面を飾っていたものです。表側にはおサルさんやリスさんなど、天界の雪山に住むとされるさまざまな動物たちが彫られています。この彫刻は国王ラーマ2世によるもので、完成したあと、同じものを作らせないために使った道具を川に捨てさせたんですって!
おサルさんとリスさん、ほかに蝶やトカゲさんもいます
裏も見られるのね。
裏面には武装した鬼神像が描かれています
特別展会場は、普段は撮影できないのですが、扉の展示は写真を撮ることができます!
(ちなみに東京展も扉は撮影OK!)
大きな扉とパチリ!
展示の最後にこんなコーナーもありました。
「あなたの曜日仏は?」
タイの人々は生まれた曜日を大切にしていて、寺院では、自分の曜日仏にお参りするんですって。 会場にある機械に生年月日を入力すると、自分の誕生曜日がわかります。
わたしは何曜日かしら?
ずらりと並ぶ曜日仏。水曜日は午前と午後にわかれています
たとえば土曜日だとこの仏さまなんですって
まだまだ紹介しきれないくらい、見どころがいっぱいです。
特別展「タイ ~仏の国の輝き~」は九州国立博物館で6月4日(日)までご覧いただけます。そのあと、東京国立博物館で7月4日(火)から8月27日(日)まで開催します。
ほほえみの国の名宝たちに会いに来てください! (特別展「タイ ~仏の国の輝き~」情報サイトはこちらです)
また九州国立博物館に遊びに来たいな
カテゴリ:トーハクくん&ユリノキちゃん、2017年度の特別展
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posted by ユリノキちゃん at 2017年05月16日 (火)
特別展「茶の湯」(4月11日[火]~6月4日[日])は、5月2日(火)に10万人目のお客様をお迎えしました。
多くのお客様にご来館いただきましたこと、心より御礼申し上げます。
10万人目のお客様は、千葉県市川市よりお越しの伊田理絵さん。
この日は、着付け教室の先生と生徒さんの4人でご来館くださいました。
さすが、皆様、お着物がよく似合っていらっしゃいます。
特別展「茶の湯」10万人セレモニー
5月2日(火)平成館エントランスにて
伊田さん(写真右から3番目)には、当館館長の銭谷眞美(写真右から2番目)より、記念品として展覧会図録と本展オリジナルTシャツを贈呈しました。
着物には、天目の斑紋のような文様を表現した「天目染め」という技法があるそうで、「天目の茶碗を見てみましょう、という先生のご発案で来ました」とのこと。
「茶の湯のお道具を扱った展覧会は初めてで、興味があります」とお話しくださいました。
それもそのはず、茶の湯をテーマにした大規模な展覧会は実に37年ぶり!
20代の伊田さんが初めてとおっしゃるのも当然のことなのです。
それほどに貴重な機会である特別展「茶の湯」。
どうぞお見逃しのないように!
なお、本展に着物でご来館された方は、当日料金の100円引きとなる「きもの割」を実施しています。
着物の似合う展覧会、しかも暑すぎず寒すぎず、良い季節です。
お着物をお持ちの方、ぜひ本展にお出かけになりませんか?
カテゴリ:news、2017年度の特別展
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posted by 高桑那々美(広報室) at 2017年05月03日 (水)
こんにちは。博物館教育課の神辺知加です。
季節が春から初夏に移り変わるこの時期、野外では春の訪れを告げる鳥と夏の渡り鳥を見ることができます。上野公園でもメジロ、ヒバリ、ツバメの姿を見かけますし、ゴールデンウィーク明けには森や山でオオルリ、キビタキの美しいさえずりを聞くこともできるでしょう。
そして・・・
ここトーハクではなんとキジ科の鳥がシーズンを迎えています!
さっそくウォッチングできる鳥をご紹介します。
キジ科の鳥の代表、日本の国鳥でもあるキジはつがいで見ることができます。キジ科の鳥であるニワトリ、ウズラ、ライチョウも時間帯、天候に関係なく100%の確率で出会うことができます。
つがいのキジ 五代清水六兵衛作 陶製 昭和時代・20世紀
そしてキジ科の中でもっとも美しい鳥クジャクは、アーティストや職人の制作魂を揺さぶるらしくクジャクをモチーフとした美術品は数多く作られています。トーハクの所蔵品にも「孔雀」と名のつく作品は100件以上あります。そのためキジ科の鳥とは分けてクジャクのコーナーを設けて展示しました。クジャクコーナーでは仏さまを描いた絵の中に、仏教の法要でつかう楽器に、刺繍の屏風にといろいろなクジャクを見ることができます。こちらも100%の確率でご覧いただけますし、さらに運がよければベストポジションをキープして観賞することもできます。
クジャクに乗った仏さま 横山大観模写 紙本着色 明治時代・19世紀
シルクロードを通って伝えられたクジャクの模様 中国・ホータン ストゥッコ・彩色 6~7世紀
さて野外のバードウォッチングでは決して出会うことのない、トーハクならではの鳥をご紹介しましょう。その鳥とは「鳳凰」です。きれいな湧き水しか飲まず、数十年に一度しか実らない竹の実を食し、桐の木にしか宿らないというこだわりの鳥、鳳凰。孔子が論語の中で優れた指導者が現れる時しかその姿を現さない鳥と謳った、鳳凰。その鳳凰が今、台東区上野公園東京国立博物館平成館企画展示室に10羽(単位が羽で良いのかわかりませんが)以上も並んでいます。ぜひお見逃しなく。
仏さまの世界の鳳凰 絹製・刺繍 中国・初唐または飛鳥~奈良時代・7~8世紀
布団の図柄になった鳳凰と桐 絹製、友禅染 江戸時代・19世紀
また今回の親と子のギャラリーでは、鳥たちをより身近にウォッチングしていただくためいくつかの工夫をいたしました。
工夫その1:親しみやすい作品名
「小学校高学年や日本美術になじみのない方にもわかる」を意識して作品名をつけました。
工夫その2:単眼鏡
バードウォッチングに必需である双眼鏡の代わりに、「美術鑑賞におススメ」が売り文句の単眼鏡を用意しました。細部までしっかりご覧いただけます。
工夫その3:のぞきケース
小さな作品をぐっと近くでご覧いただけます。
3
工夫その4:キジとクジャクの鳴き声と動画
作品のキジやクジャクの鑑賞の参考にしていただくためご用意しました。動画は上野動物園にご協力いただきました。
工夫その5:露出展示
ガラス越しではなく直にご覧いただける鳳凰も2点あります。そのうち1点は触ることもできます。
この鳳凰についてはあえてここには写真を掲載いたしません。ぜひ鳳凰に会いに会場までお越しください。
おまけ
入口の看板は黄色いシールの上に立つと鳥たちに囲まれた写真を撮ることができます。掌に孔雀を乗せたり、肩にキジを乗せるなど楽しんで撮影していただければ幸いです。
展示情報
親と子のギャラリー「トーハクでバードウォッチング―キジやクジャク、鳳凰が勢ぞろい―」
平成館企画展示室 2017年4月25日(火)~6月4日(日)
関連事業
月例講演会「親と子のギャラリー『トーハクでバードウォッチング―キジやクジャク、鳳凰が勢ぞろい―』の見方と特集展示ができるまで」
平成館大講堂 2017年5月27日(土) 13:30~15:00 開場は13:00を予定
先着380名、聴講無料(ただし当日の入館料は必要)
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posted by 神辺知加 (ボランティア室主任研究員) at 2017年04月29日 (土)
お耳の早い仏像ファンの間では既に話題となっていましたが、興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」をトーハクで開催します(9月26日〔火〕~11月26日〔日〕)。
4月20日(木)には報道発表会を開催し、今までベールに包まれていた展覧会の詳細をご紹介しました。
興福寺は運慶とゆかりの深いお寺。
報道発表会では興福寺の多川貫首よりご挨拶をいただきました
「この展覧会で運慶のすばらしさを伝えたい」と語る浅見研究員
本展は興福寺中金堂再建記念事業として企画したもので、同寺所蔵作品をはじめ、京都、和歌山、愛知、静岡、神奈川など、各地から運慶の作品が出陳されることが、報道発表会で明らかに。
国宝 毘沙門天立像
運慶作 鎌倉時代・文治2年(1186)
静岡・願成就院蔵
写真:六田知弘
重文 聖観音菩薩立像
運慶・湛慶作 鎌倉時代・正治3年(1201)頃
愛知・瀧山寺蔵
写真:六田知弘
「写実性」「姿の美しさ」「いきいきとした表情」とは、本展担当の浅見研究員が語る運慶作品の魅力。
特別展「運慶」は、その圧倒的な造形を余すことなくご覧いただける展覧会です。
さらに、運慶の父・康慶(こうけい)、息子・湛慶(たんけい)と康弁(こうべん)の作品もあわせて展示することで、運慶の登場前夜から次世代への継承までもがたどれるという、スケールの大きさ!
まさに、史上最大の運慶展です。
国宝 天燈鬼立像(右)・龍燈鬼立像(左)
康弁作 鎌倉時代・建保3年(1215)
奈良・興福寺蔵
写真:六田知弘
こうして本展の見どころを知れば知るほど期待が高まりますが、開幕は約5ヵ月先のこと。
それまで「仏欲」が抑えきれない! という人、あるいはこの期間を利用して予習をしたい! という人、「運慶学園」に入学しませんか?
報道発表会の行われた4月20日に「運慶学園」も開校!
手芸部部長の篠原ともえさんも意気込み十分です
「運慶学園」は、豪華講師陣が授業、部活を通してさまざまな視点から運慶の魅力をお伝えする運慶ファンクラブサイトです。
運慶について知りたい人は授業から、もっと身近に運慶の魅力を感じたい人は部活から。
それぞれの興味にあわせて、学園生活をスタートできます。
運慶に関する知識レベルをチェックするため、入学試験も設けられています。
早速、トーハクくんとユリノキちゃんが入試に挑戦しました。
結果は…
ユリノキちゃんは余裕の「特待生」。さすがですね。
手芸部でアクセサリー作りに挑戦してみたいです。
一方のトーハクくんは「もっとがんばりましょう」。
いろんな授業を受けて、開幕までにユリノキちゃんを追いこしてみせるほ!
入学試験の受験者には、壁紙としてお使いいただけるWEB学生証をプレゼントしています。
また、本展覧会ではさまざまな特別前売券をご用意しています。
グッズ付き、レクチャー付きなど、特典いろいろの前売券。
早いものは発売間近。今のうちにチェックして、どうぞお買い逃しのないように!
こういったお楽しみ企画も充実していますが、もちろん展覧会自体も充実した内容となるよう、日々準備を進めています。
どうぞご期待ください。
カテゴリ:news、彫刻、2017年度の特別展
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posted by 高桑那々美(広報室) at 2017年04月28日 (金)
こんにちは、保存修復室の瀬谷愛です。
特集「幕府祈願所 霊雲寺の名宝」が始まりました!
THE仏画!
会場は、本館2階、西側の特別2室。
ひと部屋だけですが、濃密な空間になっています。
当館の特集は、基本的に館蔵品と寄託品とで構成するのですが、今回は霊雲寺様のご厚意により、多くの寺宝を拝借することができました。
そのため、はじめに企画したときの私のイメージより、何倍も充実しています。
この機会にぜひ、たくさんの方にご覧いただきたい展示です。
春が来たなァ~
ご宝物を拝借に伺ったのは、4月3日。
今年は少し遅めだった桜の花が咲き始めたころでした。
博物館から車で10分(距離は近いのですが、とにかく上野の駅前は混んでいる!)。
美術品輸送の作業員さんたちと、しばし春の訪れを味わうことができました。
霊雲寺は、文京区湯島の湯島小学校のとなりに建つ、真言宗のお寺です。
江戸時代の元禄4年(1679)5代将軍徳川綱吉の帰依を受けた、覚彦浄厳(かくげんじょうごん)が幕府祈願所として開きました。
「幕府祈願所」というのは、幕府が建立した、国家安泰や病気平癒などのための祈祷を行なう寺院のことをいいます。
浄厳は、定期的な祈禱のほかに、将軍綱吉の息女鶴姫や大名たちのために祈禱を行なったり、綱吉に経典の講説を行なうなど、多忙な日々を行なっていたことが記録からわかっています。
徳川綱吉筆 不動明王像 江戸時代・元禄8年(1695) 絹本墨画
将軍綱吉からは、こんなご寄進が!
綱吉は、江戸両国の回向院で法隆寺出開帳が行われた翌年の元禄8年(1695)浄厳に自筆の不動明王像を寄進しています。
同じ年には、正月・5月・9月に行なう鎮護国家の祈禱の本尊として「大元帥明王像」も寄進しましたが、こちらは関東大震災で焼失してしまいました。
両界曼荼羅図 江戸時代・17世紀 紙本着色
今回の展示のハイライトは、浄厳オリジナル両界曼荼羅です。
さて、一方で、江戸の庶民にも真言を広めようと考えた浄厳は、霊雲寺で「結縁灌頂(けちえんかんじょう)」を盛んに行ないました。
これは、目隠しをして、床に敷いた曼荼羅(壁に掛ける曼荼羅ではなく、床に敷く「敷曼荼羅」)に華(菊)を投げ、華が落ちたところに描かれる仏菩薩と結縁する儀式です。
元禄8年(1695)9月、浄厳が霊雲寺で灌頂壇を開いたところ、
30日間の結縁入壇者数は、34,442人!
毎日1,000人以上が訪れた計算になります。
そして、2年後の開壇では、21日間に89,967人が入壇したといいます。
このペースは、現在、好評開催中の特別展「茶の湯」の入館者数に匹敵します。
やるな、江戸庶民……!
こうして結縁灌頂の評判は広まり、霊雲寺は江戸の幕府と庶民になくてはならない存在となりました。
その様子は、19世紀に出版された「江戸名所図会」にも表されています。
江戸名所図会 齋藤長秋著 江戸時代・天保7年(1836)
灌頂の闇よりいでてさくら哉
中央に建つひときわ大きなお堂が、灌頂堂です。
春、霊雲寺で結縁灌頂を受け、目隠しをとって外へ出ると、明るい陽射しが桜にふりそそいでいる。
目隠しの闇とともに、仏と縁を結ぶことで心の闇も晴れた。
そんな特別な場所としての霊雲寺が、宝井其角の句に読まれています。
きっと、ここで結縁灌頂を受けた多くの人が共感できる気持ちだったことでしょう。
6月4日(日)まで。途中5月16日(火)より一部展示替えとなる作品があります。
関連事業
ギャラリートーク「幕府祈願所霊雲寺と開基浄厳」
2017年5月16日(火) 14:00~14:30 本館特別2室
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posted by 瀬谷 愛(保存修復室主任研究員) at 2017年04月27日 (木)