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縄文の女神、ここに注目!

特別公開「国宝土偶 縄文の女神」が3月23日(水)より開催されています。
縄文時代の土偶はこれまで約1万8千点が出土しているともいわれますが、そのなかでも国宝土偶はたったの5点。
その一つである国宝土偶「縄文の女神」が土偶仲間を引き連れ、春の訪れとともにトーハクにやってきました。
今回の特別公開の見どころを逃さないためにも、注目ポイントをみなさんにお教えします。



国宝 土偶 縄文の女神
山形県舟形町 西ノ前遺跡出土
縄文時代(中期)・前3000~2000年
山形県蔵(山形県立博物館保管)


国宝土偶「縄文の女神」は、現存する立像土偶(りつぞうどぐう)では日本最大。堂々とした正面観と先鋭的な印象を与える側面観との差異が際立つ、造形的にも優れた土偶です。
ぜひケースの周りをぐるりと回ってご覧ください。
形だけではなく文様にもご注目。前後・左右を意識して文様が描き分けられています。


そもそも土偶は完全な形のままで出土することは珍しく、その多くは破片で出土します。
しかもその破片をつなぎあわせても、完全な形に復元できることはまずありません。
「縄文の女神」が出土した山形県舟形町(ふながたまち)西ノ前遺跡からは総数48点の土偶が出土していますが、完全な形に復元することができたのは「縄文の女神」のみ。
そこに当時の人びとの「縄文の女神」へ対する想いをうかがうことができます。

「縄文の女神」とともに出土した土偶仲間「土偶残欠」にも注目です。
これらの「土偶残欠」には複数のグループがあります。

国宝 土偶残欠
山形県舟形町 西ノ前遺跡出土
縄文時代(中期)・前3000~2000年
山形県蔵(山形県立博物館保管)


西ノ前遺跡で多数派を占めるのが「縄文の女神」とよく似た土偶グループ。
形や文様構成は「縄文の女神」と共通していますが、大きさは一回りも二回りも小さく作られています。
つまりは「縄文の女神」、特別仕様の大きさなのです。


この他にも「縄文の女神」とは姿形の異なる土偶仲間が少数出土しています。
これら土偶は近隣の地域に数多く分布することから、その影響を受けて作られたものと考えられます。
  
国宝 土偶残欠
山形県舟形町 西ノ前遺跡出土
縄文時代(中期)・前3000~2000年
山形県蔵(山形県立博物館保管)

「縄文の女神」とは異なる顔の表現や腰の文様そして脚部の形などが目印です


国宝土偶「縄文の女神」の魅力を漏らさず知ろうとするならば、まずはそのものをいろんな角度からじっくり見ることが大切です。次に、ともに出土した土偶仲間と見比べることで新たな発見があると思っています。

もっと土偶について知りたい方は、階段を昇って本館1室と特別1室へも足をお運びください。「縄文の女神」と同じ頃(縄文時代中期)に作られた土偶の名品がちょうどいま展示されています。
ぜひお見逃しなく!

土偶
山梨県笛吹市御坂町上黒駒出土
縄文時代(中期)・前3000~前2000年
宮本直吉氏寄贈
本館1室にて5月29日(日)まで展示

ポーズ土偶の代表例。山猫のような面貌と胸をぎゅっとつかむようなしぐさが愛らしい土偶です


河童形土偶
縄文時代(中期)・前3000~前2000年
新潟県糸魚川市一の宮出土
林カツ子氏寄贈
本館特別1室、特集「東京国立博物館コレクションの保存と修理」で4月24日(日)まで展示

頭頂部が凹むその形から河童形土偶と呼ばれています。
土坑の底部にすえられた石の上から出土した特異な例でもあります

カテゴリ:研究員のイチオシ考古特集・特別公開

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posted by 品川欣也(特別展室主任研究員) at 2016年04月09日 (土)

 

黒田清輝の画業─黒田が日本に伝えようとしたこと

黒田記念館の展示や作品貸与の担当を30年以上行ってきた私にとって、このたび、生誕150年 黒田清輝展を黒田にゆかりのある上野で開催することができ、沢山の方に作品を通じて黒田清輝という人を知っていただくことができますことは、深い喜びです。

このたびの展覧会では、沢山の方々に黒田の作品をご覧いただけるということに加えて、黒田が直接に肉声で教えを受けたラファエル・コランやピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、また、フランス留学中に同時代に生きている作家として作品を見たに違いないクロード・モネ、カミーユ・ピサロの作品も会場に集うこととなり、僭越ながら黒田に対する大きなプレゼントになったのではないかと思っています。


  「フロレアル(花月)」 ラファエル・コラン(画面左)などが並ぶ黒田展会場風景

19世紀後半、まだ近代化の途上にあった日本からフランスに留学した黒田が懸命に学んで得た具体的な絵画思想と技術、そして日本に帰ってから何を伝えようとしたかを、作品を通じて感じていただけましたら幸いです。

黒田は19世紀後半にフランスで行われていた公募展覧会の全てに出品を果して帰国しました。「読書」をフランス芸術家協会展に、「朝妝」を国民芸術家協会展に、「菊花と西洋婦人」を無鑑査展に出品しています。

 
(左)読書 黒田清輝 1891年(明治24) 東京国立博物館蔵
(右)菊花と西洋婦人 黒田清輝 1892年(明治25) 個人蔵


それぞれの展覧会で主流をなしていた画風は異なっており、無鑑査展は最も自由で多様な画風の作品が出品されていました。会場で同じ壁面に展示されている「読書」と「菊花と西洋婦人」を比較していただけましたら、画風の違いをご理解いただけると思います。

黒田の生きた時代は、現代のように文化の多様性を尊重するというよりは、進んだ文化を遅れた地域が学んでいくべきだ、という近代主義が当然とされており、社会経済の分野だけでなく美術や絵画においても欧米に学ぶべきだとされていました。現在の日本でもその枠組みはあまり変わっていないようにも思えます。


黒田清輝のポートレート

その中で、黒田清輝は自分の眼で物を見ること、そして自分の考えを表現することの大切さを絵画・美術を通して人々に伝えようとしたのだということが、黒田のことばや残された資料から伝わってきます。その思いが、本展覧会の作品を通じて多くの方に伝わることを切に願っています。


会場の壁面にある黒田の言葉にもご注目ください

カテゴリ:研究員のイチオシ絵画2016年度の特別展

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posted by 山梨絵美子(東京文化財研究所副所長) at 2016年04月07日 (木)

 

国宝土偶 縄文の女神の展示ケース

3月23日(水)から始まった特別公開「国宝土偶 縄文の女神」
この展示で使われているケースは山形県で製作されたものです。

ミュージアムの展示ケースについて一番大事なことは「モノがよく見えること」です。
モノはいろいろ、例えば美術・工芸品だったり考古遺物・歴史資料だったりします。

思い返せば、このプロジェクトが始まったのは、2014年8月でした。
山形県産の有機EL照明を使って、よく見せるためのケースを開発したい、という強い意志を持った山形県の方々とお会いし、まずは当館の展示室で展示ケースや照明のいろいろをご案内したのを覚えています。

こうして「山形県産の有機EL照明を活かした次世代展示ケース開発プロジェクト」はスタートしました。
まずは、そのケースにいったい何を展示するべきか、の検討から。
本末転倒のようですが、新しい技術が生まれる時は往々にしてそんなものです。

まずは有機EL照明を様々な場所で使用しているという山形県へ行ってみよう! ということで(公財)山形県産業技術振興機構にお願いして、見に行くことにしました。
各施設を見て回るなか、ピン! と閃いたのは、山形県立博物館で国宝附(つけたり)に指定された47点の土偶残欠を見た時でした。
もうケースにかじり付くように「残欠」の魅力に惹き付けられたのです。

山形県立博物館での「縄文の女神」の展示。
有機EL照明を使用した展示ですが「女神」よりもやや照明が目立ちます


 
国宝附 土偶残欠(山形県立博物館蔵)

展示するモノ=「縄文の女神」を開発予定の展示ケースに輝くように展示し、女神が「残欠」を仲間として引き連れてくるように東博の歴史的展示ケースに・・・という会場デザインを頭の中にイメージしたのです。

高円宮コレクション室で使用されている歴史的展示ケース

昭和初期の「歴史的展示ケース」は、数台が捨てられずに、リフォームしつつ、今も特別展や根付 高円宮コレクションの展示などで使われています。

さらに、会場全体をを山形の有機EL照明のみで照らしてみよう、と閃きました。
有機EL照明は「薄くてぺらぺら」なので、従来の照明よりも展示デザインの幅が広がります。

2015年8月21日 模造による照明実験

結果、展示会場では大小合わせて153枚の有機EL照明が使われています。

次世代ケース:20枚
歴史的展示ケース:33枚
窓際の間接照明:80枚
解説パネル:20枚


展示会場(本館特別4室)


「杉圧密加工」(天童木工製)の手すりにもたれて「縄文の女神」をご覧いただけます


間接照明として1ヵ所あたり20枚の有機ELパネルが並んでいます

有機EL照明は、その開発当初よりも年々明るさを増しているので、直接光源を見ると眩しく、多くの枚数を使う場合は光をコントロールする必要があります。
そうなると、有機EL照明の「ペラペラな薄さ・軽さ」の魅力が半減してしまいます。

そこで、あえて展示の解説用には、「ペラペラ」なまま有機EL照明パネルを吊ってみました。
うーむ。いずれ自宅用にこんな照明器具をデザインしてみたいなぁ。。。
※すでに有機ELのテレビやスマートフォンのバックパネルでは実用です。


展示終了後、「縄文の女神」と「残欠」は、山形県立博物館へ戻ります。
ぜひ、みなさま山形県へもお運びくださいませ。

カテゴリ:研究員のイチオシ考古特集・特別公開

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posted by 木下史青(デザイン室長) at 2016年04月01日 (金)

 

「中国の書跡 さまざまな臨書」の見どころ

東洋館8室では「中国の書跡 さまざまな臨書」(~2016年4月10日(日))を開催しています。
本展では、中国の明時代から民国期、17~20世紀にわたる諸名家の臨書を展示します。
また前回展「顔真卿と唐時代の書」に続き、本展も台東区立書道博物館「書のスケッチ「臨書」の世界―手習いのあとさき、王羲之から不折まで―」(~2016年5月29日(日)、展示替えあり)と共通テーマの企画です。


臨書というと馴染みのない方も多いかもしれません。しかし、小中学校の書写などで、教科書に載っているお手本とにらめっこをしながら、文字の形がソックリになるように何度も何度も書いた経験なら、誰しも一度はあると思います。
「臨書」は、このお手本を傍らに置いてそれを見ながら書を書くことです。伝統的な手習いの方法として、また鑑賞の補助として、あるいは書跡の複製方法として古来より行われてきました。例えば、王羲之の「蘭亭序」も唐の太宗が虞世南や欧陽詢といった能書の臣下、あるいは宮廷内の技術者に命じて臨書や摸本を作らせ、それを下賜したことはあまりにも有名です。

臨蘭亭序巻 永瑢筆
臨蘭亭序巻 永瑢筆 清時代・乾隆52年(1787) 東京国立博物館蔵(林宗毅氏寄贈)
これは乾隆帝が作らせた『蘭亭八柱帖』第一本(張金界奴本蘭亭序の刻本)を、子の永瑢(1743~1790)が臨書したもの。原本よりもゆったりと安定した字姿で、宗室の気品が漂います。



字形を写す精密さという点では、原本の上に紙をのせて敷き写しをする「摸」や、その際に文字の輪郭を写して籠字をとり、その中を墨でうめる「双鉤塡墨(そうこうてんぼく)」という技法のほうが、臨書よりも分があると言えます。
一方、臨書は墨のカスレやニジミ、線の質感など書がもつ形以外の要素を写すことにも長け、筆者の眼と腕、そして臨書において何に重きを置くのかという考え方がより強く反映されるものとも言えるでしょう。よって同じ書跡をもとにした臨書でも千差万別、十人十色の書きぶりが見られます。加えて、何をどのような形式で臨書するのかということ自体に各自の志向やその時代の特色が表れます。


例えば、明末清初の動乱期に生きた王鐸(おうたく、1592~1652)はどうでしょうか。
本展では、王鐸が得意とした長条幅(とりわけ縦に長い大画面の形式)による連綿草(一筆で複数の文字を続けて書く連綿を多用した草書)を2件展示しています。

王鐸筆
左:臨柳公権尺牘軸 王鐸筆 明時代・永暦元年(1647)  東京国立博物館蔵(高島菊次郎氏寄贈)
唐・柳公権が書いた手紙「奉栄帖」を臨書したもの。本帖は『淳化閣帖』巻4に収録されます。
右:臨大令帖軸 王鐸筆 明時代・永暦3年(1649)  東京国立博物館蔵
東晋・王献之の3種の手紙(「節過歳終帖」(一節)、「願余々帖」、「適奉帖」)を臨書したもので、同郷の緑雪という老人に書き贈った作品。3帖は『淳化閣帖』巻9に続けて収録されます。



両作品もそうであるように、王鐸は法帖、とりわけ『淳化閣帖』の臨書を数多く残しており、造形など原本に忠実なものから、「本当に臨書?」と思うくらいかけ離れたものまで実に様々です。
王鐸が実際に見た『淳化閣帖』については、王鐸の内題簽をもつ「淳化閣帖(最善本)」(上海博物館蔵、2006年に当館で開催の特別展「書の至宝 日本と中国」に出陳)など数本が指摘されていますが、ここでは明・呉廷旧蔵の「淳化閣帖」(王著編 北宋時代・淳化3年(992)編 東京国立博物館蔵(高島菊次郎氏寄贈) ※現在は展示されておりません)を参考に、両作品の冒頭数字と対照させてみることにします。

 王鐸の臨書比較
「奉栄示。承已上訖。」 左:奉栄帖(淳化閣帖 所収) 右:臨柳公権尺牘軸

まずは「臨柳公権尺牘軸」です。書き出しの「奉」の字から、造形は原本と全く異なっています。そして、「奉栄」「示承」「已上訖」と原本にはない連綿線が用いられ、2字3字と一筆で書かれています。実は本作品、行書主体の原本から草書主体の臨書へと極端な変貌を遂げています。
王鐸は原本の書きぶりに縛られず、筆画が簡略化された草書を用いて、文字の造形や大小、傾き、そして連綿線や余白を巧みに操り書き進めています。その結果、各字の造形は変化に富み、各行は自然と揺れながら、下へ下へと流れていきます。縦の流れを強く感じさせるこの書きぶりは、長条幅の形式に非常にはまっているものと言えます。


王鐸の臨書比較
「不審尊体復何如。」 左:節過歳終帖(淳化閣帖 所収) 右:臨大令帖軸

次に「臨大令帖軸」はどうでしょうか。「臨柳公権尺牘軸」ほど極端ではありませんが、本作品でも、原本では一字一字独立している部分を連綿させて一筆で流れるように書き進めたり(尊体復何如)、草書の崩し方・造形を変えたり(復)、あるいは文字の大小や傾き、筆画の太細、余白など、様々な変化を加えています。それはあたかも、原本から着想を得た多様な表現を試みているかのようです。

一日は法帖を臨書し、一日は人からの求めに応じて筆を執り、それを交互に繰り返す生活を生涯貫いたと伝えられる王鐸。その臨書に対する考え方は、一面で、表現方法を開拓する場のようなものであったことが想像されます。


臨書のあり方は実に多様で、「手習い」などの言葉だけでは言い尽くせないものがあります。
筆者の書に対する思いを想像しながら、臨書の世界をごゆっくりお楽しみ下さい。



*台東区立書道博物館では、中国と日本の書跡により臨書から創作への過程が紹介されています。こちらも是非お見逃しなく!
書のスケッチ「臨書」の世界―手習いのあとさき、王羲之から不折まで―
2016年2月16日(火)~2016年5月29日(日)
前期:2月16日(土)~4月10日(日)  後期:4月12日(火)~5月29日(日)
 
 

カテゴリ:研究員のイチオシ中国の絵画・書跡

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posted by 六人部克典(登録室アソシエイトフェロー) at 2016年03月01日 (火)

 

ひいな遊び―立雛(たちびな)を作ろう!―

あかりをつけましょ ぼんぼりに~
お花をあげましょ 桃の花~♪

去る2月20日(土)、トーハクではファミリーワークショップ「ひいな遊び―立雛を作ろう!―」が開かれました。雛祭りを前にして、自分オリジナルの立雛を作ってみようという企画です。午前中は親子を対象に、午後は大人だけを対象にして2回開催致しました。
おひなさまというと、初節句にお店で買ってくるイメージですが、江戸から明治にかけては紙や織物で立雛を作ることが女の子の間で行われていました。自分より年少の子供に遊び道具としてお人形を作り与えることは、お裁縫の稽古にもなったことでしょう。
そもそも雛祭りの源流のひとつは、平安貴族の子どもたちが行った「ひいな遊び」に遡ります。これはミニチュアの建物や家具、そして人形を使ったオママゴトであったと考えられます。やがて時代はくだり、江戸時代の初期になると男雛・女雛のおひなさまを女の子のため3月3日に飾る風習が生まれます。
初期のおひなさまは立雛とよばれる男女一対の紙人形で、今回モデルとした「古式立雛」(江戸時代・17~18世紀)もその一つです。ペラペラの薄い作りで立たせることが難しく、手に持って遊ぶ「ひいな遊び」の流れを受けたものでした。素朴な人形であるだけに、遊びを通じた人形と子どもの本来的なありかたを伝えています。


古式立雛   江戸時代・17~18世紀
特集「おひなさまと日本の人形」(2016年3月1日(火)~4月10日(日)、本館14室)にて展示

ワークショップは好きな色の厚紙を選んでもらうところから始まりました。この厚紙に3種類の版をつかって模様を摺り、切ったり折ったりして胴体を作っていきます。

好きな色の厚紙を選ぶ


教育普及室の室員とボランティアさんをスタッフとして、立雛製作を事前練習した成果をアドバイスに活かしつつ、みなさんおしゃべりも楽しみながらワイワイ製作しました。

ワークショップの様子


胴体製作で特に難しいのが男雛の袴作り。スーツにビシッと入った折目はカッコイイものですが、同じように袴にも折目を入れ、男らしさを演出します。袴の折り方は言葉で説明しづらく、みなさん見本をみながら悪戦苦闘でした。
そして何といっても一番の難関は頭(かしら)作りです。今回のワークショップでは120度の熱で焼き固める粘土を使ったのですが、焼くのに30分かかるため、頭の形は10分ほどで仕上げて頂きました。講師の私に急き立てられながら、大焦りでの製作です。
そして頭の色塗り。あらかじめ白色で下地を塗った上から、髪や目鼻を描いていきます。お顔を描くのは一発勝負であるなか、「お人形は顔が命!」とプレッシャーをかけられ、これも10分ほどで仕上げていただきました。なにせ2時間のワークショップで模様の刷りから胴体の組み立て、頭作りまでするから大変です。

男雛の袴作り


最後に完成した立雛を緋毛氈のうえに一同に並べて鑑賞会。同じ方法で作ったお人形ですが、色の組み合わせや表情に強く個性があらわれ、世界にひとつの可愛らしい立雛が生まれました。みなさんとても楽しそうに製作を進められ、企画した側としても大満足のワークショップでした。

みなさんの作品


後片付けも終わり、早速できあがった立雛を小さな自宅に持って帰って、神棚の前に飾ってみました。気の強そうな女雛は妻に似ているような・・・、といって怒られた私です。もうすぐ雛祭りですね~♪

自宅に飾った立雛



*東京国立博物館本館14室では3月1日(火)ら4月10日(日)の会期で特集「おひなさまと日本の人形」が開かれます。また今回、展示に合わせ『東京国立博物館セレクション おひなさまと日本の人形』が出版されました。みなさまのご来場を心よりお待ち申し上げます。
 

おひなさまと日本の人形
東京国立博物館セレクション 「おひなさまと日本の人形」
三田覚之著
発行:東京国立博物館
定価:1200円(税別)
東京国立博物館ミュージアムショップで販売中
 

カテゴリ:研究員のイチオシ教育普及特集・特別公開

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posted by 三田覚之(教育普及室・工芸室研究員) at 2016年02月24日 (水)