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天平の秘仏、葛井寺の国宝「千手観音菩薩坐像」がついに公開!
葛井寺は近鉄の藤井寺駅から徒歩で数分のところにあります。商店街に接していて、抜け道になっているようですが、足早に歩く人も本堂の前では立ち止まって合掌します。
本堂に置かれた大きな厨子は、毎月18日に扉が開かれ、多くの参拝者でにぎわいます。中には秘仏の千手観音菩薩坐像が安置されます。天平彫刻を代表する名品です。
特別展「仁和寺と御室派のみほとけ」には、その千手観音像が出品されます。関東にお出ましになるのは江戸時代初期に品川に出開帳して以来のことです。
等身よりも大きい体に、1041本の腕を持つ姿には迫力があります。千手観音であっても、実際に千本の腕を作った像はごく稀です。
国宝 千手観音菩薩坐像 奈良時代・8世紀 大阪・葛井寺蔵 (撮影:藤瀬雄輔)
均整の取れた美しい姿!
1041本の腕のうち40本は大きな手で、さまざまなものを持ちます。それらは後世につくり替えられたものですが、それぞれ意味があります。例えば髑髏は、あらゆる神々を使役できます。
大手で持った髑髏
さて、像は月に一度、拝することができますが、厨子に納められているので横や後ろ姿を拝することはできません。そこで今回の展覧会では360度ご覧いただけるようにしました。柔らかな背中や、頭上背面の大きく口を開けて笑う大笑面は、この機会を逃せば見ることはできないでしょう。
頭上背面、口を大きく開けて大きく笑う大笑面(撮影:藤瀬雄輔)
ぜひ後ろからもじっくりご覧ください
展覧会に合わせて、CTの調査も実施しました。像内に小さな塔が納入されていることが知られていましたが、今回その姿を鮮明にとらえることができました。データの分析には時間がかかりますが、新たな発見があるはずです。
合掌する手のCT(撮影:荒木臣紀、宮田将寛)
掌は木で、指は銅芯でつくって、その上に木屎漆で塑形
お像全体のCT(撮影:荒木臣紀、宮田将寛)
像内に小さな塔が見えます
天平彫刻の名品を360度からご覧いただける大変貴重な機会です。皆様どうぞお見逃しなく。
カテゴリ:研究員のイチオシ、仏像、2017年度の特別展
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posted by 丸山士郎 at 2018年02月14日 (水)
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