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1089ブログ

「明末清初の書画」のたのしみかた、その2 八大山人の世界

東京国立博物館(以下、東博)と台東区立書道博物館(以下、書道博)は、連携企画として、毎年、時期とテーマを合わせて中国書画に関する展覧会を開催しています。

23回目となる連携企画は「明末清初の書画」。激動の時代を取り上げる本展を多くの方々におたのしみいただこうと、東博と書道博の研究員でリレー形式による1089ブログをお送りしています。
1089ブログ「明末清初の書画」のたのしみかた、その1 石マニア?「烈士」?―明時代の終わりを見届けた倪元璐の二つの顔

第2回は、東博と書道博の展示から、今年生誕400年を迎える八大山人(はちだいさんじん 1626~1705)にスポットをあててお伝えします。
 
台東区立書道博物館 展示室風景
 
八大山人は、通名を朱耷(しゅとう)といい、江西省南昌(なんしょう)に生まれました。明の皇族の血を引く彼は、明が滅亡した時、19歳の青年でした。皇族という出自のため、その存在自体が反乱の火種でした。彼は身を隠すため仏門に入り、修行に専念しましたが、50代半ばに還俗します。そして酒を飲んでは泣き叫び、時には狂人を装い、奇行を繰り返しました。これは清王朝への抵抗であり、俗世を避け、遺民としての精神を貫くための術でした。彼は狂人という仮面のもとで、個を研ぎ澄ませていきます。この頃から八大山人と称し、書画を鬻(ひさ)いで生計を立てます。書画の制作は、亡国の悲憤を昇華する唯一の拠り所でした。
八大山人は、空白と象徴に満ちた独自の様式を築きます。鳥や魚を描いた寓意的作品には、沈黙の中に深い精神性と痛切な感情が宿されます。故国の喪失とアイデンティティの崩壊というこの極限状況こそが、八大山人という稀代の芸術家を生み出す原点となったのです。
 
今回、東博と書道博において、国内に所蔵される11件の八大山人作品を紹介しています。
東博では、八大山人の書を展示しています。彼の書は、筆の先を包み隠すようにして淡々と書き進められ、筆の動きも抑制されて、むしろ清々しささえ感じられます。
 
(図1)草書七言絶句軸(そうしょしちごんぜっくじく) 
八大山人筆 中国 清時代・17~18世紀 東京国立博物館蔵
(注)展示は終了しました。
 
(図2)行書送李愿帰盤谷序軸(ぎょうしょそうりげんきばんこくじょじく) 
八大山人筆 中国 清時代・17~18世紀 東京国立博物館蔵【東博展示 3月22日まで】
 
書道博では、八大山人の書と画を紹介しています。彼の画も一見とてもシンプルで、そこには静けさが漂います。しかしよく見ると、どこかに違和感が仕込まれています。最も顕著なのが「目」です。彼が描く鳥や魚の多くが白目をむいていて、鑑賞者を、あるいは世界そのものを冷ややかに、あるいは傲然(ごうぜん)と睨みつけています。この静寂の中の異様さが、八大山人の画の核心なのです。
 
(図3)重要文化財 安晩帖(あんばんじょう) 
八大山人筆 中国 清時代・康熙33年(1694)、康熙41年(1702) 泉屋博古館蔵【書道博展示 2月23日~3月8日】
 
(図4)乙亥画冊(いつがいがさつ)
八大山人筆 中国 清時代・康熙34年(1695) 調布市武者小路実篤記念館蔵【書道博展示 通期】
 
八大山人は、日本ではあまり馴染みのない人物かもしれませんが、実は著名な小説家や芸術家、評論家に多くの信奉者がいました。以下にざっと挙げてみましょう。
志賀直哉(1883~1971)、武者小路実篤(1885~1976)、柳宗悦(1889~1961)、
岸田劉生(1891~1929)、中川一政(1893~1991)、住友寛一(1896~1956)、
川端康成(1899~1972)、白洲正子(1910~1998)、加藤周一(1919~2008)、
司馬遼太郎(1923~1996)など。
 
また近年では、我々もよく知る坂本龍一(1952~2023)も八大山人のファンであり、八大山人の作品や生き様に絆され、コラムで熱く語っています。
「僕が八大山人に惹かれたのは、その異常なまでの抽象性である。大胆な余白と空間、微妙な線、限られた色。八大山人の画は、僕が今考える音楽に、大きなインスピレーションを与えてくれる。余白を埋めてしまうのではなく、空間、あるいは間、沈黙を活かすこと。音色のうつろいとしての墨の濃淡。決して幾何学的な計算からは出てこない枝、葉のフォルム。この抽象性に目を瞠らざるをえない。(中略)そして、過酷な人生を生き抜き、最後まで強い意志を燃やし続け、究極の境地に達するために身を削った。共感などという軽々しい言葉は使えないが、強い信念を曲げないという部分に、自分もそうでありたいと思う。」(坂本龍一「八大山人」『坂本図書』一般社団法人坂本図書、2023年)
 
八大山人の作品は、中国では大人気です。今後、生誕400年を記念して中国各地でも展覧会が開かれるそうです。
 
世界中で八大山人、はなざかり!
みなさんもぜひ、今回の連携企画で八大山人の世界にどっぷりと浸ってみてください。


台東区立書道博物館 八大山人作品コーナーの様子 

東京国立博物館 東洋館8室 特集「明末清初の書画―乱世にみる夢―
どちらも3月22日(日)まで開催。
 
「週刊瓦版」
台東区立書道博物館では、本展のトピックスを「週刊瓦版」という形で、毎週話題を変えて無料で配布しています(先着100名様)。
東京国立博物館、九州国立博物館、台東区立書道博物館の学芸員(研究員)が執筆しています。展覧会をたのしく観るための一助として、ぜひご活用ください。
 
 

公式図録

本展の公式図録をミュージアムショップで販売しています。

明末清初の書画 ―乱世にみる夢― 八大山人 生誕四百年記念

編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館、九州国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
制作・印刷:大協印刷株式会社
定価:1,900円(税込)

ミュージアムショップのウェブサイトに移動する
特集「創建400年記念 寛永寺」公式図録表紙

 

 

カテゴリ:研究員のイチオシ中国の絵画・書跡「明末清初の書画」

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posted by 鍋島稲子(台東区立書道博物館長) at 2026年02月18日 (水)

 

「明末清初の書画」のたのしみかた、その1 石マニア?「烈士」?―明時代の終わりを見届けた倪元璐の二つの顔

東京国立博物館(以下「東博」)と台東区立書道博物館(以下「書道博」)は、連携企画として、毎年、時期とテーマを合わせて中国書画に関する展覧会を開催しています。

23回目となる今回は「明末清初の書画」と題して、17世紀の中国、明から清へ王朝が交代した激動の時代の芸術をご紹介しています。

東京国立博物館 東洋館8室 特集「明末清初の書画―乱世にみる夢―
前期:2026年1月1日(木・祝)~2月8日(日)、後期:2月10日(火)~3月22日(日)

台東区立書道博物館 「明末清初の書画―八大山人 生誕400年記念―
前期:2026年1月4日(日)~2月8日(日)、後期:2月10日(火)~3月22日(日)
 

東博 東洋館8室の展示風景

本展を多くの方々におたのしみいただこうと、東博と書道博の研究員でリレー形式による1089ブログをお送りします。
初回は東博展示から、倪元璐(げいげんろ 1593~1644)という人物による「書画冊」(しょがさつ)の鑑賞ポイントをお伝えします。

まずみなさんにご紹介したいのは、明時代末期の17世紀前半、文震亨(ぶんしんこう 1585~1645)が著した『長物志』(ちょうぶつし)という本のおもしろさです。
この本はタイトルずばり、「無用の長物」に関する本で、ようするに、この時代の、趣味にうるさい文人たちの生活文化のガイドブックです。
どのような住まいがよいか、センスのよい家具とはどんなものか、身に着けるものは、乗り物は…にはじまり、お茶や果物、園芸、ペット、骨董品、文房具、お香などなど、衣食住に関わるさまざまな事項について、著者の批評とうんちくが語られます。
経済発展を背景に、文人たちの生活文化が洗練の極に達した様子がうかがえる1冊です。

さて、この『長物志』のなかに「品石」という項目がありまして、ここでは、庭園や書斎に置く石の趣味が語られています。
産地、大きさ、造形の複雑さ、石肌の色や質感、たたいた時の音などが評価のポイントとなっていたようです。
たとえば、東博所蔵品で石の趣味がわかるものとして、「城南雅集図巻」があります。このなかに、庭園に置かれた立派な太湖石を見ることができます。
また、江戸時代の儒学者、市河米庵(いちかわべいあん 1779~1858)が書斎で愛玩した石も伝わっています。
 
城南雅集図巻(じょうなんがしゅうずかん)(部分) 
禹之鼎筆 中国 清時代・17世紀 高島菊次郎氏寄贈 東京国立博物館蔵 
(注)本展には展示していません。
 
崑山石(こんざんせき
中国 清時代・17~19世紀 市河三兼氏寄贈 東京国立博物館蔵【東博展示 通期】

『長物志』からわかるような愛石趣味の盛り上がりを受けて、明末には石を表した絵画もしばしば制作されています。
倪元璐も石を愛した文人画家のひとりで、その「書画冊」には石の画が2点おさめられています。
 
書画冊(しょがさつ) 
倪元璐筆 中国 明時代・崇禎12年(1638)  高島菊次郎氏寄贈 東京国立博物館蔵【東博展示 2月8日まで】


石を描くにあたり、倪元璐はかわいた筆としめった筆を使い分け、濃度の異なる墨を丁寧に重ねて、「玲瓏」(れいろう)とも表現される、透き通った石の輝きを表そうと工夫を凝らしています。
石に対する倪元璐のマニアックなまなざしが伝わってくる作品です。
 
書画冊 倪元璐筆 
(注)このページは展示されていません。


もし、倪元璐が明王朝の瓦解の前に世を去っていたら、この作品は明末の一文人のみやびな趣味が反映されたものとしてのみ、鑑賞されたかもしれません。
しかし、実際には王朝の交代に際しての倪元璐の決断により、「書画冊」は何よりも「烈士」の遺作として価値をもつようになります。

倪元璐は趣味人であると同時に、天啓2年(1622)に科挙に合格した高級官僚でもあり、明という国の行く末に責任をもつ立場にありました。
倪元璐が国政に携わるようになった頃の明は、文化の爛熟とはうらはらに、北の満洲族の侵攻と内乱により国力の弱体化に歯止めがかからない状況にありました。
これに失望して、倪元璐は一時、官界から退き郷里に戻る決断をします。
しかし、崇禎16年(1643)、皇帝のいる北京がいよいよ危なくなると、首都に戻って勤王に尽くします。
そして、首都陥落を目の当たりにして国に殉ずることを選び、52歳で縊死しました。

「書画冊」は、清時代の初めには倪元璐の子孫が所蔵していました。
その子孫の依頼に応じて、冊の後ろには、在りし日の倪元璐と交流のあった文人たちが所感を記しています。
 
書画冊 倪元璐筆
在りし日の倪元璐と交流のあった文人たちによる跋文。
(注)このページは展示されていません。

 
そこで繰り返し強調されるのは倪元璐の愛国心・忠義心です。
国に殉じた「烈士」倪文璐がほめたたえられる一方で、『長物志』の世界にも通じる「軟弱な」石マニアの姿は浮かびあがってきません。
果たして、この作品を描いたときの倪元璐はそれを予想していたのでしょうか。
倪元璐の「書画冊」は、動乱の時代にあたっての人生の選択と、後世における作品評価が、緊張感をもって交錯する、きわめて明末清初らしい作品といえるでしょう。
 
 

公式図録

本展の公式図録をミュージアムショップで販売しています。

明末清初の書画 ―乱世にみる夢― 八大山人 生誕四百年記念

編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館、九州国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
制作・印刷:大協印刷株式会社
定価:1,900円(税込)

ミュージアムショップのウェブサイトに移動する
特集「創建400年記念 寛永寺」公式図録表紙

 

 

カテゴリ:研究員のイチオシ中国の絵画・書跡「明末清初の書画」

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posted by 植松瑞希(出版企画室長) at 2026年01月27日 (火)

 

東博ボランティアデー2025、実施レポート!

11月29日(土)・30日(日)は「東博ボランティアデー2025」でした。2日間ともに晴天に恵まれ、多くの方にお越しいただきました。
今年のボランティアデーでは、ガイドツアーやスライドトークに加え、特別企画として本館19室での「ハンズオンツールまるごと体験会」と平成館大講堂でのトークイベントを実施しました。当日の様子を少しご紹介します。

 

【2日間に凝縮!ボランティア自主企画イベント】

現在、東京国立博物館(トーハク)には、15のボランティアの自主企画活動グループがあり、この2日間でガイドツアーやスライドトーク、ワークショップを実施しました。
普段はバラバラの日程で実施していますが、ボランティアデーではガイドツアーやスライドトークが2日間に凝縮して実施されることもあり、複数の自主企画イベントに参加されるお客様もいらっしゃいました。
 

アートスタジオ「大人の勾玉づくり」の様子
浮世絵ガイドスライドトークの様子
東洋館ツアーの様子
法隆寺宝物館ガイドの様子
たてもの散歩ツアーの様子
庭園茶室ツアーの様子

子ども向けプログラムとして「ユリノキからたんけん!」と「こどもたてものさんぽツアー」も実施。「ユリノキからたんけん!」では子どもも大人も楽しそうに歌に合わせて手遊びをしていました!また、移動中には落ち葉を踏んでザクザクと音を出して楽しくたんけんしました。
「こどもたてものさんぽツアー」では、まさかの子どもの参加者0人での実施となりましたが、大人の参加者が、建物に関するトークやクイズを楽しんでいるようでした。
 

子ども向けプログラム「ユリノキからたんけん!」の手遊びの様子
子ども向けプログラム「ユリノキからたんけん!」の移動中の様子
子ども向けプログラム「こどもたてものさんぽツアー」の様子

【ボランティアデー特別企画 今年は2つの特別企画を実施!】

『11月29日、30日 ハンズオンツールまるごと体験会』

本館19室では2025年2月より、ハンズオン体験コーナーを開設し、ボランティアが活動している時間帯に、ハンズオンツールを体験していただけます。
ボランティアデーでは今年出した4つのハンズオンツールを本館19室に準備し、多くのお客様にお立ち寄りいただきました。
よろいの体験では、籠手を腕に着けた姿を鏡で見て、「すごい!」と写真を撮っている方が多くみられました。
漆の触察ボードは、塗りの工程ごとに塗り分けられた手板を触ることができるツールです。工程の多さに驚く方や、ボランティアからの説明を熱心に聞かれる方が印象的でした。
土偶レプリカ体験では、実際には見ることができない遮光器土偶の内側を見て触れるレプリカが登場。土偶の内側に残る縄文時代の人の指の痕に感動する方もいらっしゃいました。
能面は手にとる際にこめかみの穴付近しか持てないため、「意外と扱うのが難しい‼」という反応があったほか、能面を顔に当ててみたときの視界の狭さに驚かれる方もいました。

 

ハンズオンツールのご案内の様子
よろいの籠手のご案内の様子
漆の触察ボードのご案内の様子
漆の触察ボードと触知図のご案内の様子


『11月29日 ボランティア発!トーハクの魅力発信イベント~あなたの知らないトーハクに出会えるかも?!~』

このイベントは、トーハクボランティアがトーハクの魅力やおすすめを、いつもの活動とは違った形でお客様に伝えたいという熱意のもと、ボランティア主体で企画運営したトークイベントです。
事前アンケートで寄せられたエピソードや質問などをもとに、2部構成で、ボランティアや職員がそれぞれの立場から魅力をお伝えしました。
第1部ではトーハクボランティアの活動内容とやりがい、トーハクのおすすめの場所・展示作品について、現役ボランティア数名が語りました。
第2部では当館の研究員・職員が登壇し、アンケートで特に多かった質問を中心に、トーハクで働いているからこそ知っている博物館の裏側や魅力を紹介しました。

ボランティア主体でのトークイベントは初めての試みで、ボランティア・職員ともに緊張しておりましたが、参加された皆様からは、「トーハクの魅力をより感じた」「ボランティアの熱意がすごい」などのご感想をいただきました。
ご参加いただいた皆様、また、ご登壇してくださった方々、ありがとうございました!

 

第1部でボランティア活動についてトークするボランティア
第2部でスライドを見ながらトークする職員
第2部で本館11室の展示についてトークする副館長

【新規ボランティア募集について】

トーハクボランティアは緑のビブスを身にまとい、来館される皆様が安心して、よりトーハクを楽しんでいただけるように活動しています。
次のボランティア募集では令和8年後半から活動を開始するボランティアを募集します。令和8年3月頃に募集要項を公開、4月に募集説明会を実施する予定です。
東京国立博物館でボランティアをやってみたい!と思っている皆様、準備ができ次第、当館ウェブサイトで情報を発信しますので、もうしばらくお待ちください。
 

カテゴリ:催し物

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posted by 野間清乃、太田知花(ボランティア室) at 2026年01月16日 (金)

 

2026年 新年のご挨拶

謹んで新春のお慶びを申し上げます。
皆様にとりまして、本年が幸多き一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

東京国立博物館は本日、1月1日午後1時より、お正月恒例の企画「博物館に初もうで」を開催し、新たな年の幕を開けます。
午年にちなみ、馬をテーマにした特集展示「博物館に初もうで 午―神と人をつなぐ祈りのかたち―」を開催いたします。展示を通じて、人と馬の絆に思いを巡らせていただければ幸いです。
また、毎年ご好評いただいております長谷川等伯筆 国宝「松林図屛風」をはじめ、東博コレクションから吉祥作品を多数ご紹介いたします。さらに、当館アンバサダーであり世界的に活躍する日本画家・千住博氏からご寄贈いただきました新作《ウォーターフォール・陽光》を、本館大階段上にて特別展示いたします。
その他、正月三が日には、和太鼓の力強い響き、獅子舞の躍動、吟剣詩舞の優雅な舞など、日本の伝統文化を体感できるイベントも開催いたします。ご家族やご友人と初もうでのお出かけの際は、ぜひ当館にもお立ち寄りいただき、日本のお正月をお楽しみください。

2026年に開催する特別展・特別企画は、国内外の貴重な文化財をご紹介するラインアップを予定しています。
4月14日開幕
前田育徳会創立百周年記念 特別展「百万石!加賀前田家」
加賀前田家初代・利家をはじめとする歴代当主の甲冑や陣羽織、刀剣が会場に勢ぞろいします。
7月14日開幕
弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」
国宝「信貴山縁起絵巻」や、普段は目にすることのできない各地の関係寺院が所蔵する秘仏を展示します。
10月14日開幕
開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」
武将、茶人、天皇に愛された禅の巨刹、京都・大徳寺の寺宝を一堂に集め、その歴史と文化をご紹介します。

特別企画も充実しています。
2月10日開幕
特別企画 日韓国交正常化60周年記念「韓国美術の玉手箱─国立中央博物館の所蔵品をむかえて─」
東博と韓国国立中央博物館の交流の証として、両館の高麗から朝鮮時代の名品をご紹介します。
4月27日開幕
特別企画「アイルランド チェスター・ビーティー・コレクション 絵巻と絵本のたからばこ」
アイルランドのチェスター・ビーティー美術館が所有する選りすぐりの日本の物語絵をご紹介します。
当館は、海外ミュージアムとの交流に力を入れております。これらの特別企画で名品をお借りできましたのも、その成果の一端であり、ぜひ多くの方にご鑑賞いただきたいと思います。

このほか、春開催の「博物館でお花見を」や、秋開催の「博物館でアジアの旅」など、季節やテーマに合わせて東博コレクションにスポットを当てる多彩なプログラムをご用意しております。
また、1月16日からは、昨年度大変ご好評いただいた「あそびば☺とーはく!」を実施いたします。
私たちは、誰もが安心して楽しめる博物館づくりを目指し、多様性・公平性・包括性を重視した、新しい取り組みを推進しております。このような活動から得られる多様な視点や経験を活かし、創造的で豊かな発想を育む場でありたいと考えております。

2026年も、皆様からの温かいご支援を力に変え、成長し続ける博物館として努めてまいります。
本年も東京国立博物館をよろしくお願い申し上げます。


東京国立博物館長 藤原 誠
千住博作 《ウォーターフォール・陽光》の前にて

 

カテゴリ:news

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posted by 藤原 誠(東京国立博物館長) at 2026年01月01日 (木)

 

オンラインで楽しむ蔦重本 「東京国立博物館デジタルライブラリー」のご紹介

はやいもので2025年もあとわずかとなりました。
江戸時代の傑出した出版人・蔦重こと蔦屋重三郎の半生と彼の生きた時代を描いた大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の完結から2週間、そして特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」の閉幕からも6か月がたとうとしています。
同展は会期中(4月22日~6月15日)に21万人を超えるお客様にご来場いただきましたが、閉幕の時点ではまだドラマに登場していなかったり、正体が明かされていなかった絵師や戯作者も数多くいました。
放送回を重ねるたび、そうした蔦重を取り巻く登場人物の劇中での活躍をご覧になった方から「あの作品を今こそまた見たい」というお声をいただきました。
特別展のような規模で関連作品を一堂に展示することはそう簡単には叶いませんが、年末年始にご自宅で大河ドラマや特別展を思い出しながら、関連する作品をお楽しみいただける方法をご紹介させていただきます。

特別展では全国の美術館や大学図書館などから作品をおかりする一方で、東京国立博物館所蔵の作品も多く展示しました。
それらの作品の一部が、実は「東京国立博物館デジタルライブラリー」というサイトでご覧いただけることをご存知でしょうか。
本サイトでは表紙だけでなく各ページまで、高精細の画像により細部までクッキリと見ることが出来ます。
ここでは展覧会でも人気を集めた作品をいくつかピックアップして見てみましょう。


箱入娘面屋人魚 山東京伝作 寛政3年(1791)正月 の「東京国立博物館デジタルライブラリー」閲覧画面。
展示されていた蔦重の「口上」だけでなく、物語の内容と挿絵もご覧いただくことが出来ます。
 

(1)平賀源内が手掛けた本草学書『物類品隲』
平賀源内が編纂・執筆した本草学の研究書。
「品隲(物を見定める)」という意味の作品名に表されるように、内容からも観察や実験などを重視した源内の研究姿勢がうかがえます。
 
(2)蔦重が出版した漢字の教科書『武家諸法度』 
江戸幕府が大名に向けて制定した「武家諸法度」の内容、文字を庶民が学ぶためのいわば教科書。
すべての漢字に読み仮名が付くだけでなくページ内の行数・行内の文字数が定数化されるなど、読み手のための工夫が随所にみられます。
 
(3)蔦重の「まじめなる口上」が描かれた黄表紙『箱入娘面屋人魚』
裃姿の蔦重が表紙を開いてすぐに「口上」でお出迎え。
前段のあとには浦島太郎と鯉の娘(人魚)を中心にしたなんとも荒唐無稽な物語が幕をあけます。 
 
(4)まさに「狂歌隆盛」の様相・狂歌集『古今狂歌袋』 
ドラマでもおなじみとなった大田南畝が序文、朋誠堂喜三二らが祝辞を寄せ、つづいて古今東西100人の狂歌師の歌と肖像が寄せられます。
それぞれの姿から、ユーモラスで個性的な狂歌を繋がりとした文化人サロンの様子が目にうかびます。 

いかがでしたでしょうか。
展示会場では、作品保護の観点により会場の照明照度を落としている環境でご観覧いただくため、やや暗めに見えることがあるかと思います。また、冊子の作品の場合は、展示できるページに制限があります。
しかしこうしたインターネットでの閲覧は、照度やページ数等の制限がなく、自由に拡大して閲覧することができる点で、よりじっくりと作品と向き合うことが可能です。
展示室で実物のまとう空気を感じた上で、本サイトを活用して熟覧をいただくと、よりそれぞれの作品のもつ魅力にお気づきいただけるかもしれません。
展覧会での思い出や作品との出会いも振り返りつつ、引き続きインターネット上でも蔦重ゆかりの作品の数々を心ゆくまでお楽しみ頂ければ幸いです。
 
なお東京国立博物館デジタルライブラリーの他にも、以下のサイトにて、特別展に出品された当館所蔵作品の画像や情報が掲載されています。

ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システム
国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と2つの研究所(東京文化財研究所、奈良文化財研究所)の所蔵品、および皇居三の丸尚蔵館の収蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
喜多川歌麿の「婦女人相十品 ポッピンを吹く娘」、東洲斎写楽の重要文化財「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」といった浮世絵の名作や、蔦屋重三郎が出版企画に携わった「青楼美人合姿鏡」などの展覧会でも注目を集めた作品もこのサイトに公開されています。
画像検索では、文化財の写真フィルムをデジタル化した画像およびデジタル撮影により作成された画像のうち、 東京国立博物館が所蔵する文化財の画像(約112,000枚 / 2017年3月現在)を検索することができます。

こうした各サイトに掲載されている特別展の展示作品ページの大半のリンク先を網羅して掲載し、まるで同展を仮想再現したかのようなまとめサイトを作成された個人の方もおられます。
各サイトの利用規約を遵守頂ければ、楽しみ方は無限大。ぜひ色々な形で掲載作品の魅力に触れていただければありがたく存じます。 
 

カテゴリ:「蔦屋重三郎」

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posted by 広報室 at 2025年12月25日 (木)

 

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