あつまれ!トラのなかまたち
「黒田清輝」展を開催している平成館の一角に、ちょっとにぎやかなギャラリーが登場しました。4月12日(火)から開催している、親と子のギャラリー「あつまれ!トラのなかまたち」の会場です(平成館企画展示室、5月22日(日)まで)。
元気いっぱいの看板が会場入り口の目印。
トラのほか、ヒョウやライオンそしてネコなど、ネコ科の動物をモチーフにした所蔵作品34件を展示しています。
左:岩上双虎置物 鈴木長吉作 明治33年(1900) と会場風景
右上:胸背(ヒュンベ)(部分) 朝鮮 朝鮮時代・19世紀
右下:博物館写生図(虎皮)(部分) 江戸~明治時代・19世紀
なんといってもトラといえば大型の肉食獣。人々からは恐れられ、そしてあの龍ともにらみあう互角の力をもつ存在とも考えられてきました。そんなトラは、絵や彫刻ではどんなふうに表現されてきたのでしょうか。
会場をのぞいてみると、、、
するどい爪や牙をむき出し、こちらを威嚇しているような様子のトラもいれば、、、
虎 岸竹堂筆 明治26年(1893) シカゴ・コロンブス世界博覧会事務局寄贈
トラの絵を得意とした画家・岸竹堂(1826-1897)による、迫真の虎図。
毛の一本一本まで、とても細かく描きこまれています。
、、、こんな、愛嬌たっぷりの表情で寝そべっているトラも、
白釉鉄絵虎形枕 中国・磁州窯 金~元時代・12~13世紀 横河民輔氏寄贈
やきもので作られた枕。トラには魔除けの力があると考えられていました。
そして、
ころんと丸く、こんなに愛らしいトラまで!
虎木彫根付 江戸時代・19世紀 増井光子氏寄贈
わずか3センチ大の根付のトラは毛づくろい中。トラは武士に好まれたモチーフでした。
かつて上野動物園の園長をつとめられた増井光子さんが収集された動物モチーフの美術工芸品の一つです。
さらには浮世絵、刀剣の装飾、インド更紗(個人蔵)など、様々な地域や時代の作品がところせましと並びます。
トラが好き、どうぶつ大好き、
そんなお子さまはもちろんのこと、大型連休は動物園にと計画中のお父さま、お母さま、ぜひトーハクのトラの展覧会もご一緒にいかがでしょうか。
おなじ会場内には、上野動物園や国立科学博物館が所蔵するトラの頭の骨(国立科学博物館所蔵)やヒゲの標本(恩賜上野動物園所蔵)も展示し、
手前にトラ頭骨標本、奥にヒゲの標本。
ふだんあまり見えない牙の形も骨ならよくわかります。
この標本は、かつての帝室博物館(トーハクの前身)の旧蔵資料。トーハクに里帰り。
ヒゲは、上野動物園にいるスマトラトラから抜け落ちたものです。
さらに、
美術のトラと生きたトラとを比較してみるために、トラの生態や体の特徴について解説をつけました。上野動物園の動物解説員さんや、国立科学博物館の研究員さんのご協力により、動物そのものについても専門的な内容になっています。
5月15日(日)には、その上野動物園、国立科学博物館、トーハクが連携し、国際博物館の日記念ツアー「上野の山でトラめぐり」を実施します。残念ながら今回のツアー申込はすでに終了しましたが、今年で10周年をむかえる3館園の「動物めぐり」を気軽に楽しんでいただくためのリーフレットを配信しています。
リーフレット「10年のあしあと」(上野動物園のWEBサイト内にリンク)
ぜひ、こちらを手に、上野の山をめぐってみませんか。
トラもネコもライオンも、みんなでお待ちしています。
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posted by 大木優子(教育講座室) at 2016年04月26日 (火)