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夏休みに発見! 料紙の魅力

当館所蔵の国宝・古今和歌集(元永本)をご存知でしょうか。

国宝 古今和歌集
国宝 古今和歌集(元永本) 藤原定実筆  平安時代・元永2年(1120) 東京国立博物館蔵(特別展「和様の書」にて展示中)

私はこの作品が展示されるたびに、その筆跡はもちろんですが、紙の美しさに驚きます。

美しく飾られた料紙、そのバリエーション、筆跡とのバランス。
この作品の前に立つと“日本人の美意識”を漠然と感じてしまう、そんな力をもった作品のひとつです。
特別展「和様の書」にも展示されている国宝 古今和歌集(元永本)の魅力をぜひとも多くの方にお伝えしたい、と思い、ファミリーワークショップ「きらきら光る唐紙を摺ろう」おとなのためのワークショップ「唐紙の魅力、料紙の魅力」を開催しました。

国宝 古今和歌集(元永本)には版を作ってもようを摺った唐紙も使われています。
雲母をいれた絵具で摺ると、キラキラと光るもようが浮かび上がり、光の加減でもようの見え方も変わります。
ついつい見入ってしまう美しい唐紙に感動していただくべく、トーハク特製「国宝 古今和歌集(元永本)から起こした版」をご用意しました!

ファミリーワークショップ「きらきら光る唐紙を摺ろう」ではまず、特別展「和様の書」担当の高橋裕次研究員と一緒に本館の展示を鑑賞。



わかりやすい解説にケースにかぶりつくように見入る子どもたち。


今日のもようは、上の写真と同じ、花襷文、獅子二重丸文の2種類です。
版に絵具をのせ、さらに紙をのせて手で押さえ、ゆっくりと紙を持ち上げたらお手製唐紙の完成!

料紙づくり

今回はこれでは終わりません。
本館で鑑賞した手鑑(書跡を貼りこんだアルバム)にならい、巻物を作ります。
和様の書や唐紙に関する解説カードと自分で摺った唐紙を、バランスを考えて貼り、三跡の作品から「月」「花」「海」をお手本に書いて貼りこんだら完成!

手鑑づくり

貼り方、書き方、飾り方にも個性が表れています。
「特別展「和様の書」でほかの唐紙のもようを探します!」「バランスよく散らして貼るのが難しい」「夏休みの自由研究で提出します!」という声のほかに、「私の手鑑を高橋先生に見てほしい!」というかわいいリクエストも。
そこで子どもたちに人気の高橋研究員と一緒にパチリ。

集合写真

おとなのためのワークショップ「唐紙の魅力、料紙の魅力」では高橋研究員から画像を用い、研究成果を交えながらの丁寧な解説、展示室での解説、唐紙をする体験を行い、こちらも大変好評でした。

日本人の美意識。それが一体何なのか、私もまだ説明できません。
でも、日本人の美意識を感じられる時間をトーハクで過ごしていただけたのではないでしょうか。

 

カテゴリ:教育普及2013年度の特別展

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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年08月30日 (金)