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生まれ変わった東洋館─世界に一つだけの東洋館

いよいよ新年の2日から、トーハクの東洋館がリニューアルオープンします。耐震工事のために2年近くも閉館を続け、スタッフ一同も、再開館を心待ちにしていたところです。東洋館の改修は、いま述べた耐震補強が眼目ですが、同時に、展示室内を全面的に刷新して、中央の吹き抜けには、新しく全階に通じるエレベーターを設け、さらに、ずっと閉じたままだった地下スペースも見違えるように改修して、展示室とVRシアターを設けています。

 
(左)地下スペースに新たに増設した「クメールの彫刻」の展示室
(右)3階5室「中国の青銅器は、弧を描くケースに展示


東洋館というと、なんだか堅苦しい印象があるかもしれませんが、その中は、中国・朝鮮から東南アジア、インドなどの南アジア、さらに中央アジアから西アジア、そしてアジアを越えてエジプトまで、じつに広大な地域のバラエティーに富んだ作品を一時に見ることができる、たいへん魅惑に満ちたギャラリーとなっています。あの有名なルーブル美術館や大英博物館、メトロポリタン美術館など、世界の名だたる博物館を眺めてみても、東洋のこれだけ広い地域の長い時代にわたる文化財を集約して展示しているところは、ちょっと見当たりません。東洋館は、まさに世界に一つだけのユニークな展示施設なのです。

 
(左)3階8室「中国の絵画中国の書跡」は、高さ5メートル5センチのケースで迫力の展示
(右)2階3室「インド・ガンダーラの彫刻」で、旅の気分を満喫

ここで「東洋の歴史と文化」とかいうと、いきなり堅苦しくなるばかりなので、今回のリニューアルを機に、東洋館全体のテーマを「アジアの旅」としました。ヴァーチャルの世界によって、国々の距離がぐっと縮まってきている今日ですが、ここでは、なにより本物の文化遺産を目の当たりにしながら、他ではまず味わうことができない「アジアの旅」を経験していただこうというものです。
新春の息吹にのって、皆さんも、東洋館の新たな魅力にぜひ触れてみてください。

カテゴリ:展示環境・たてもの

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posted by 松本伸之(学芸企画部長) at 2012年12月22日 (土)