長船長光の太刀
こんにちは。平常展調整室の酒井です。
ブログは初めてです。どうぞよろしくお願いします。
さて、今日は刀剣の魅力を少し書かせていただきたいと思います。
刀剣は刃物であるため焼刃がついています。その焼刃の模様のことを刃文(はもん)といいます。
今回は、この刃文について、本館13室で展示している長船長光(おさふねながみつ)の太刀から説明したいと思います。
以下画像全て 国宝 太刀 銘 長光 鎌倉時代・13世紀
(~2012年2月19日(日)展示)
この太刀は今から約750年前に長船長光という刀工によって作られたものです。
長船派は鎌倉時代中期に備前国(岡山県)で興った日本刀の流派で、以降中世末期に至るまで大きく栄えました。
さて、この太刀の刃文をみてみましょう。
中ほどをみると、チョウジの実をならべたような刃文がみえます。
この刃文を丁子乱(ちょうじみだれ)と呼びます。
丁子乱
刃の幅に高低差があって、何とも賑やかで華やかな印象を受けます。
さらに、先端の方を見てみると、今度は半円形の凹凸が連なっている刃文となっています。
こうした刃文を互の目(ぐのめ)といいます。
互の目
丁子乱に比べ高低差が少なく穏やかな印象を受けませんか。
下から上へと辿っていきますと、その刃文は複雑な変化をみせながらも、全体としてはよどみなくまとまっています。
こうしたリズミカルな刃文の統一感こそ、この太刀が名刀である理由のひとつといえます。
なお、刃文はこうした抑揚のあるものもありますが、直線的なもの(直刃(すぐは))、わずかにウエーブがついたもの(のたれ)もあります。
常時12口の様々な刃文をみせる刀剣を展示していますので、お好みの刃文をお探しになってみてはいかがでしょうか。
カテゴリ:研究員のイチオシ
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posted by 酒井元樹(平常展調整室) at 2011年12月21日 (水)