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野毛大塚古墳の展示デザイン

現在、平成館企画展示室で展示中の「新指定 重要文化財 野毛大塚古墳-世田谷の中期古墳-」の展示デザインについてお話します。

この野毛大塚古墳の特集展示では、普段の展示とは異なる、少し変わった展示方法に挑戦しています。
特徴は、展示品と一体になったグラフィックです。


野毛大塚古墳の展示風景
野毛大塚古墳の展示風景


通常、展示品や解説、題箋は下の写真のように、別々に互いに干渉しないように配置されています。


総合文化展の展示風景/本館2階展示室
総合文化展の展示風景/本館2階展示室
作品や解説、題箋が干渉しないように配置されている


しかし、今回の展示では斜めの展示台に作品とグラフィック(解説や画像、題箋)が一体となって並んでいます。


野毛大塚古墳の展示台
作品とグラフィックが一体となった野毛大塚古墳の展示台


野毛大塚古墳の展示台


野毛大塚古墳の展示台


野毛大塚古墳の展示台


野毛大塚古墳の展示台


これによって、一巻の絵巻を見るようにスムーズに展示を観ることができます。

鑑賞者の目線を比べると違いがよくわかります。
通常の展示で、展示品が低い位置にある場合、人の目線は、以下のようになります。



〈通常の展示の目線 パネル↑・作品↓・パネル↑・作品↓・パネル↑・作品↓・・・〉


首を上下する必要があり、これを繰り返すと疲れてしまいます。
一方、今回の野毛大塚古墳の展示では、このような目線となります。



〈野毛大塚古墳の展示の目線 パネル↑・作品↓・作品↓・作品↓・パネル↑〉


壁付きパネルを始めと終わりの2箇所にまとめ、なるべく目線が上下しないつくりになっています。
このような目に見えない、目線のデザインもとても大切な要素です。

もちろん全ての展示を今回のように作ればいいというわけではありませんが、今回の企画と展示品を考慮した結果、最適な展示方法としてグラフィックと一体になった展示に至りました。
「展示の性格」に合わせその都度、最適な展示方法を考えていく必要があるのです。

今後、みなさんが博物館の展示を観る際に、どんな意図でデザインされているか意識しながら観ると、「“この作品の”・“この展示の”ここを見せたい!」という研究員やスタッフの意図が見えてくるかもしれません。

 

【展示情報】

特集「新指定 重要文化財 野毛大塚古墳ー世田谷の中期古墳ー
会場:平成館 企画展示室
期間:2017年7月11日(火)~2017年9月10日(日)

 

カテゴリ:考古特集・特別公開

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posted by 荻堂正博(デザイン室) at 2017年08月01日 (火)

 

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