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1089ブログ

あの軍団がトーハクに来るぞ!!

「あらまあ、あの軍団が来るの? 炊き出しはあるのかしら?」

奥さん、違います。石○軍団ではありません。
その軍団は、永遠を守る軍団なのです。

「永遠? 裕○郎さんの?」

…奥さん、一旦そこから離れましょうか。

紀元前221年、初めて中国を統一した「始皇帝」。
その永遠を守る軍団「兵馬俑」がトーハクにやってくるのです。





梅雨の中休みとなった、7月10日(金)。
トーハクでは、特別展「始皇帝と大兵馬俑」(10月27日(火)~2016年2月21日(日))の報道発表会が行われました。

今から約2200年前に「最初の皇帝」を名乗り、中国大陸に統一王朝を打ち立てた秦の始皇帝。



始皇帝の肖像 秦始皇帝陵博物院蔵 ※参考画像。展覧会には出品されません


その陵墓のほど近くに埋められた「兵馬俑」は、20世紀の考古学における最大級の発見のひとつと謳われ、
出土以来、新しい知見と驚きをもたらし続けています。


1号兵馬俑坑(中国・陝西省)


本展は、バリエーション豊かな兵馬俑と始皇帝にまつわる貴重な文物を一堂に紹介し、
始皇帝が空前の規模で築き上げた「永遠の世界」の実像に迫る展覧会です。

当日は、展覧会ワーキンググループのチーフを務める、川村佳男主任研究員から展覧会の概要について紹介がありました。





あまり知られていませんが、日本で初めて兵馬俑を展示したのは実はトーハク!
1976年3~5月に開催した「中華人民共和国古代青銅器展」で3体の兵馬俑が展示されました。
その後も兵馬俑の出品される展覧会は数多くありましたが、
トーハクで催される「兵馬俑の展覧会」は、今回が初めてです。

本展で展示される兵馬俑は全10体。
「将軍俑」をはじめとする軍人の俑だけでなく、馬飼いの「馬丁俑」、芸人の「雑技俑」などバラエティーに富んでいます。


百戦錬磨の武将

将軍俑 秦時代・前3世紀 秦始皇帝陵博物院蔵

鋭い眼光の射手

跪射俑 秦時代・前3世紀 秦始皇帝陵博物院蔵

謎の巨漢

雑技俑 秦時代・前3世紀 秦始皇帝陵博物院蔵


兵馬俑は約8千体もあるといわれており、単体ごとの魅力もさることながら、
それらが並んで出土した発掘現場「兵馬俑坑」の迫力は圧倒的。
本展ではトーハクならではのスケール感で、軍団としての兵馬俑の迫力を感じていただくために、実物の兵馬俑とともに、約70体の精巧なレプリカで兵馬俑坑を再現します。


展覧会場(画像はイメージです)

これまでとは違った兵馬俑の魅力に出会うことができそうです。


「まあ、こちらの軍団もタレント揃いなのね。…特殊車両とかはないのかしら? ほら、西○警察みたいな。」


奥さん…それは…少しマニアックなところを持ち出してきましたね…。
しかし、よいご質問です。

特殊車両、ではありませんが、実は
始皇帝が実際に乗ったとされる馬車を青銅で細部まで再現した「銅車馬」も本展注目の作品なのです。
今回出品されるのは、残念ながら原品ではなくレプリカですが、
約6千もの部品と完全に写し取られた彩色の文様はまさに圧巻!



(左)【複製】1号銅車馬 (右)【複製】2号銅車馬 (原品)秦時代・前3世紀 秦始皇帝陵博物院蔵


1号銅車馬の御者は、ライフル…ではなく、弩(クロスボウ)を装備


複製とはいえ、2両を同時にご覧になれる機会は大変貴重です。
始皇帝の愛車(!?)を是非ご覧ください。

また、これらの兵馬俑、銅車馬に加えて、始皇帝の陵墓を中心とする陵園や始皇帝が暮らした咸陽(かんよう)宮殿遺跡から出土した作品からは、始皇帝の夢見た「永遠の世界」を垣間見ることもできます。


権力の重さ?

両詔権 秦時代・前3世紀 秦始皇帝陵博物院蔵


高度なインフラ技術

取水口/L字形水道管/水道管 戦国~秦時代・前3世紀 秦咸陽宮遺址博物館蔵


さらに、今回の展覧会では秦のサクセスストーリーにも迫ります。
従来からの春秋・戦国時代における他国との争いという視点だけでなく、
西方や北方に暮らしていた「西戎(せいじゅう)」、「匈奴(きょうど)」といった民族との関係を示す文物も登場し、
秦のダイナミックな歴史を感じることができる展示をお楽しみいただけるのではないかと思います。


秦初期の歴史を伝える鐘

秦公鐘 春秋時代・前8~前5世紀 宝鶏青銅器博物院蔵

北方草原とつながる豪華な短剣

玉剣・金剣鞘 春秋時代・前8~前7世紀 梁帯村文菅所蔵


さあ、いかがでしょう!?
奥さん、いえすべての皆様注目の展覧会はこの秋開催です。
本展覧会をより楽しんでいただくための情報満載のブログも計画中。
どうぞお楽しみに!


写真はすべて (C)Shaanxi Provincial Cultural Relics Bureau & Shaanxi Cultural Heritage Promotion Center

カテゴリ:news2015年度の特別展

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posted by 田村淳朗(広報室) at 2015年07月17日 (金)