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140周年ありがとうブログ

“ホンモノ”との出会いに、ありがとう

こんにちは。列品管理課貸与特別観覧室の柳です。
私は主に特別観覧(他の美術館・博物館、大学や研究機関に所属する研究者の調査研究依頼の受付をし、手続きを行う)業務を担当しております。
日々「実物を拝見したい」という情熱的なお問い合わせをいただくので、“ホンモノ”を間近で見る価値の大きさを、誰よりも感じている気がします。

かつて図版(写真)で見たことのある作品も、実際に“ホンモノ”を見ないとわからない、新しい発見があったりします。
私にとって特に発見が大きかった作品は、狩野永徳筆の「檜図屏風」!
写真だと、屏風を全て広げた状態で撮影されているため、1枚の板に描かれた平面的な作品に見えますが、「屏風」として展示されている状態のもの見ると、檜の大木が本当にそこに存在しているかのような立体感が生まれるんです!
屏風の特性を活かした、永徳ならではの技が光る1点だと私は思います。


国宝 檜図屏風 狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀 (展示の予定はありません)

「檜図屏風」は現在修復中のため、一般公開の予定は未定ですが、生まれ変わった“ホンモノの檜図屏風”を、いずれ皆さんにも体感してほしいです。

質の高い“ホンモノ”の名品に出会える場所・トーハクに、心から「ありがとう!」

カテゴリ:2013年1月

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posted by 柳 世莉(貸与特別観覧室) at 2013年01月14日 (月)

 

たくさんの本にありがとう

出版企画室に勤務する立道惠子と申します。
東京国立博物館が編集、発行する出版物関係の仕事をしています。

出版は博物館の草創期から大切にされてきた事業の一つで、創立の年には早くも17件の刊行物が計画されています。
140年の伝統を受け継ぐこの仕事に携わることをとても嬉しく、とてもありがたく思っています。

私が初めて出会った東京国立博物館の出版物は、1977年春「日本の山水画展」の展覧会図録。東京国立博物館初体験でもあります。
次は1978年初夏「日本の考古学―表慶館改装記念―」。あの有名な志賀島の「金印」(福岡市博物館蔵)の実物にお目にかかりました。
そして同年夏、レンブラントの「ダナエ」に会いたくて「エルミタージュ美術館秘宝展」へ。
初めて眼にする17世紀オランダの巨大な絵画(185×203センチ)に圧倒されました。展示室にはほとんど人だかりがなく、不思議に思ったことも記憶に残っています。
これら三つの展覧会図録から今日にいたるまで、東京国立博物館のさまざまな出版物と出会い、それぞれに思い出があります。
その中から一冊をご紹介いたしましょう。


東京国立博物館パキスタン発掘調査隊編 『ザールデリー―パキスタン古代仏教遺跡の発掘調査―
453ページ、他に実測図74図、写真図版401図、付属図2枚、
A4サイズ(297×210ミリ)、厚さ約6センチ! 2011年3月発行。


1992年に東京国立博物館とパキスタン考古局共同による分布調査が始まり、1995年からはザールデリー遺跡の発掘調査を実施、1999年に大量の石造彫刻が出土して話題になりました。
2002年、日本・パキスタン国交樹立50周年を記念する「パキスタン・ガンダーラ彫刻展」に特別出品された彫刻群を、記憶されている方も多いでしょう。
そして調査開始より20年近くを経た2011年、たくさんの方のたいへんなご尽力により、ついにこの貴重な大著が刊行されたのでした。ありがとうございます。
当館のミュージアムショップで販売中です。ご来館の折にご覧いただければ幸いです。

カテゴリ:2013年1月

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posted by 立道惠子(出版企画室) at 2013年01月11日 (金)

 

金原亭馬生さんにありがとう

総務課で主に寄席やコンサートなどのイベントを担当しております河島です。
大学の事務から異動してきましたトーハク職員3年生です。

みなさんは寄席を聞きに行かれたことはありますか?
身振りと語りのみで物語を進めてゆく独特の演芸であり、高度な技芸を要する伝統芸能でもあります。
トーハクでは「東博寄席」と題し、年に2回「新春・納涼・春爛漫」などのタイトルをつけて季節に応じた寄席を開催しております。

正統派落語家として人気の高い十一代目金原亭馬生師匠とその一門のみなさんに加えて、毎回違ったゲストをお迎えして丁寧な運びで客席を古典落語の世界へいざないます。


金原亭馬生師匠です。

馬生師匠は普段はもの静かで口調がとても優しいのですが、高座にあがるとより粋で、上品な語り口としぐさの馬生ワールドに客席も自然とひきこまれます。
にじみでる男の色気満載です!女性ならず男性ファンが多いのもうなずけます。
会場内はちびっこから大人の方まで幅広いファンの方で埋めつくされ、馬生師匠の追っかけと称する数多くの常連さんがいらしてくださいます。

そんなダンディーで魅力的な馬生師匠が平成16年から毎年欠かさず出演を心よく引き受けてくださっています。
出会えたことにありがとうの気持ちでいっぱいです。
お客様とトーハクをつないでくれている馬生師匠に心から感謝しています。

さて、来る1月13日(日)の「新春東博寄席2013」は、馬生師匠・古今亭菊春師匠による新春にふさわしい「寿獅子舞」や「操三番(あやつりさんば)」をはじめ「大喜利」など盛りだくさんの内容をお届けします。
ご家族揃って“博物館で初笑い”はいかがでしょうか?


一門のみなさんも会場を盛り上げます。

カテゴリ:2013年1月

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posted by 河島淑美(総務課) at 2013年01月08日 (火)

 

寄贈者の方にありがとう

新年明けましておめでとうございます。
東洋工芸、おもに陶磁器を担当している今井と申します。
トーハクに着任してからまもなく26年になります。

収蔵庫の中には、展示場に出ている数の何十倍もの作品が保管されています。
もちろん保存上の観点から作品を休ませる必要もあるのですが、展示場にある作品はいわば「氷山の一角」に過ぎません。
収蔵庫では、数多くの作品が、制作時期や作者、適切な評価など、正しい位置づけを待っているのです。

学問の世界は日進月歩です。
写真1は、12月3日の三笠景子さんのブログにも触れられている横河民輔博士の寄贈品。
耀州窯は宋時代の代表的な青磁窯であり、オリーブグリーンの釉色ときびきびとした彫り文様で知られますが、典型的な作風が確立する前の10世紀には、このような淡い緑色で文様のない青磁が焼かれていたことが明らかになりました。


(写真1) 青磁碗 耀州窯 中国 五代時代・10世紀 横河民輔氏寄贈
(展示の予定はありません)


写真2は、薬学および陶磁器の研究家である内藤堯宝氏(1883~1970)の寄贈品です。
寄贈者自身のメモには「高麗末期乃至李朝初期作にて井戸の原始的作風をなすものか」とありますが、実は高麗青磁最初期の作であることが明らかになりました。


写真2) 青磁輪花鉢 朝鮮 高麗時代・10世紀 内藤堯宝氏寄贈
(2013年1月2日(水)~3月31日(日)東洋館 第10室 朝鮮の陶磁にて展示)


作品を購入する際には当然のことながら歴史上の位置づけの明らかなものが選ばれますので、このような研究の発展に資する作品は篤志家の寄贈品によるところが大きいのです。
確かな眼と高い志、そして学問に対する深い理解をもっていた寄贈者の方々に感謝です。


リニューアルオープンした東洋館で展示されている陶磁器といっしょに。

カテゴリ:2013年1月

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posted by 今井敦(博物館教育課長) at 2013年01月05日 (土)