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140周年ありがとうブログ

あるある! にありがとう。

こんにちは。
広報室長の小林牧と申します。
今流行りの山ガールを、かれこれ20年くらい前に始め、いまだに看板を降ろさずに頑張っております。

休日にはなるべく山を歩きたいので、ついつい他館さんの展覧会に行きそびれます。
もちろん美術は大好きです!
特に日本の美術が好き。
そこにはいつも山や草や木があり、季節のうつろいがあります。

週末の山歩きと美術鑑賞。実は、このふたつがつながる瞬間が、私にとって至福のときです。
たとえば5月の始め頃、ほんわり笑ったようなやさしい山に向かうとき、私はある一枚の絵を思います。与謝蕪村の「新緑杜鵑図」(しんりょくとけんず 文化庁蔵)です。2008年の特別展「対決―巨匠たちの日本美術」でこの絵に出合いました。木々が芽ぶき、山桜が淡いピンクの彩りを添える山、私が大好きなその色がそのまま絵の中にあったので、びっくりしました。そして、蕪村もこんな色を見たのかなあ、としみじみうれしくなりました。

たとえば、本館の19室で観山の「白狐」の前に立つとき、私は上越国境の秋の森を思います。
あるある! この色、この空気。私は知ってる。
自分の肺のなかまで黄色く染まりそうな森のなかで、生き物のひそかな気配を感じたあの瞬間を思うのです。


白狐 下村観山筆 大正3年(1914)(現在、展示の予定はありません)

まだまだあります。永徳の屏風の中で、小さな鳥たちが目配せをしたり、なにかささやきあったりしているのを見つけたとき、私は、里山で出会う愛らしい鳥たちを思うのです。
そうそう、あるある! こんなこと。これは夫婦。こっちは親子かしら。

それぞれの絵がもっている文化史的なテーマや技法を超えて、画家の自然への共感が私の体感と重なるとき、私は思わず「ありがとう」と言いたくなります。
この国の美しい自然と、それをすばらしい作品に昇華してきた文化に、心からのありがとうを。


おーい!
赤く染まった地元・奥多摩の森で
 

カテゴリ:2013年2月

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posted by 小林牧(広報室長) at 2013年02月20日 (水)