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特別企画「スポーツ NIPPON」が開幕しました!

 7月13日(火)より平成館1階の企画展示室にて、東京2020オリンピック・パラリンピック開催記念 特別企画「スポーツ NIPPON」が開幕しました。

躍動感あふれるタイトルロゴがお出迎えします。
 
日本におけるスポーツの歴史と文化を紹介する本展は、2章構成となっています。
 
第1章「美術工芸にみる日本スポーツの源流」では当館が所蔵する絵画や工芸などの美術作品を通して、日本スポーツの源流をご紹介します。
 
日本のスポーツの歴史は古く、原始・古代までさかのぼります。
そのルーツは、貴族の宮廷行事、武士の武芸、庶民の遊戯、そして神事や芸能など多種多様です。
相撲・流鏑馬(やぶさめ)・蹴鞠(けまり)といった伝統文化や、剣道・弓道などの武道として、現代まで受け継がれています。
 
重要文化財 男衾三郎絵巻(おぶすまさぶろうえまき)(部分) 鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:7月13日(火)~8月15日(日)
 
男衾三郎絵巻は、都の生活にあこがれる兄の吉見二郎と武芸に励む弟の男衾三郎という関東に住む武士の兄弟が登場する絵巻です。
今回展示しているのは、笠懸(かさがけ)の場面です。
笠懸は走る馬の上から的に鏑矢(かぶらや)を射る騎射技術で、流鏑馬よりも実践的な性格が強いものとされます。
馬と弓を巧みに操りながら的を射る姿が生き生きと描かれています。
 
絵巻の中で武士が使っている、重籐弓(しげとうのゆみ)や鏑矢、鞍の実物も展示しています。
 
向かって左:重籐弓 江戸時代・19世紀 世良田基氏寄贈、中央:鏑矢 江戸時代・19世紀、右:重要文化財 獅子螺鈿鞍 平安~鎌倉時代・12~13世紀 嘉納治五郎氏寄贈 すべて東京国立博物館蔵
 
当時の武芸の様子と、そうした場で使用されていた武具を合わせて見ることができるのも、本展のみどころのひとつです。
 
平安時代に貴族の間で盛んにおこなわれた蹴鞠ですが、使用する鞠や装束を、蹴鞠の様子を描いた絵巻と合わせてご覧いただくことができます。
 
 
なよ竹物語絵巻(模本)(部分) 江戸時代・19世紀 狩野晴川院養信模(原本:鎌倉時代・14世紀) 東京国立博物館蔵 展示期間:7月13日(火)~8月15日(日)
 
上:鞠装束 紅遠菱文(まりしょうぞく べにとおびしもん) 江戸時代・19世紀、左下:蹴鞠 江戸時代・19世紀、右下:鞠靴(まりぐつ) 江戸時代・19世紀 関保之助氏寄贈 すべて東京国立博物館蔵 
 
このほか、江戸時代の浮世絵作品の展示を通して、前近代における日本のスポーツ文化をたどるコーナーもあります。
 
※会期中展示替えがあります。
 
第2章「近現代の日本スポーツとオリンピック」では、近代から現在に至るまでの日本スポーツの歩みを秩父宮記念スポーツ博物館の所蔵資料を中心にご紹介します。
 
明治以降、「スポーツ」という概念が海外よりもたらされます。
とくに、オリンピックは日本にスポーツを普及・啓発する上で重要な役割を果たしました。

1912年のストックホルム大会で、日本は初めてオリンピックに参加しました。
この時出場した、三島弥彦(みしまやひこ)選手と金栗四三(かなくりしそう)選手にゆかりのある資料を展示しています。
日本における初期のスポーツ用具や用品をご覧いただけます。
 
三島弥彦 陸上ユニフォーム、シューズ 明治45年(1912) 秩父宮記念スポーツ博物館蔵 
 
マラソン足袋 明治~大正時代・20世紀 秩父宮記念スポーツ博物館蔵 
 
1964年にアジアで初めてとなる東京オリンピックが開催されましたが、当時のユニフォームや聖火トーチ、ポスターなど貴重な資料が一同に会します。
 
1964年東京大会の日本選手団デレゲーションユニフォームや聖火リレーのランナー用シャツ、パンツ、聖火トーチが並びます。
 

亀倉雄策氏がデザインした1964年東京大会公式ポスターです。

こちらの振袖は1964年東京大会の表彰式で女性補助要員が着用したものです。
五輪マークの刺繍をあしらう斬新な意匠と、伝統的な和装の優美さが世界の注目を集めました。

 
1964年東京大会 メダル授与式着用振袖(松坂屋) 昭和39年(1964) 秩父宮記念スポーツ博物館蔵 
 
オリンピックを代表するものといえばメダルですが、日本で行われたオリンピックのメダルや、日本人選手が獲得したメダルを展示しています。
開催地や時代によって、様々なデザインのメダルがつくられました。
 
一番右の1998年長野冬季大会のメダルは、素材に木曽漆を使用、中心部には蒔絵が使われ、七宝焼きの大会エンブレムがあしらわれています。

平成館にて同時期に開催中の、特別展「聖徳太子と法隆寺」(別途事前予約および観覧料が必要)と合わせてお楽しみください。
 
 
東京2020オリンピック・パラリンピック開催記念 特別企画「スポーツ NIPPON」

平成館 企画展示室
2021年7月13日(火)~2021年9月20日(月)

展覧会詳細情報

 

カテゴリ:特別企画

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posted by 長谷川悠(広報室) at 2021年07月16日 (金)

 

一日でいい、旅がしたい。「イスラーム王朝とムスリムの世界」開幕です!

 本企画キービジュアル
本企画キービジュアル

7月6日(火)、当館東洋館の地下にある12,13室を使ったマレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画「イスラーム王朝とムスリムの世界」がはじまりました。

東洋館エントランス写真
東洋館エントランス

イスラーム=中東、と思われる方も多いのではないでしょうか。

この展覧会は、マレーシアにあるイスラーム美術館の全面協力を得て、同館の所蔵品204点をお借りし、時代的にも地域的にもとても幅広い範囲を網羅した、これまでにはなかったイスラーム文化の決定版ともいえる内容の展観会です。

会場入り口写真

東洋館の地下におりて奥の部屋が会場となります。
会場では、14の王朝や地域を時代順あるいはテーマに基づいて、計15セクションが展開します。

展示コーナー写真
モスクの中で使われるものを展示したコーナーもあります。

ミフラーブ・パネル写真
手前向かって右:ミフラーブ・パネル 14-15世紀 中央アジアまたはイラン(ティムール朝)
写真でみて想像していたよりずっと大きくて迫力があります。

展示コーナー写真

各セクションは、さまざまなイスラームの文物と、それらが描かれた絵画作品で構成されています。それぞれの展示品がどのように使われていたかわかるようになっています。

インドの細密画写真

インドの細密画と、その向かいにはそこに描かれているようなジュエリーがきらびやかに並びます。ゴージャスでボリュームのある品々にうっとりです。

イスラームの影響の及んだ範囲の広さ、そこから生まれた文化の多彩さをご覧いただけると思います。

開会に先立ち、オープニングセレモニーが行われ、駐日マレーシア大使および協賛社の皆さまにご参加いただきました。マレーシアはようやくロックダウンが解けましたが、イスラーム美術館の皆さまには、感染状況の厳しい中、作品貸与にあたって多大なご尽力をいただきました。

Zoomセレモニー画像

マレーシア・イスラーム美術館の運営財団Albukhary FoundationのZara副会長は、残念ながら来日がかなわず、Zoomでセレモニーにご参加いただきました

海外旅行のできない日々が続きます。展覧会を通して、異文化に触れて旅の気分を味わっていただければ幸いです。会期は来年(2022)の2月20日(日)まで。

 

カテゴリ:特別企画

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posted by 鬼頭智美(広報室) at 2021年07月07日 (水)

 

修理をする立場から

こんにちは、保存修復課保存修復室の野中です。

住友財団修復助成30年記念 特別企画「文化財よ、永遠に」では、国内は、北は岩手県から、南は高知県、そして海外からはベトナム(11月24日まで)より、木で造られた仏像、神像、能面など、修理が行われた彫刻たち26件54点が集結しました。

関心がある方は、テレビなどで文化財修復の特集が組まれた映像を観られたことがあるかもしれません。
ご存知の通り文化財の修理は、ギュッと編集された映像におさまらない、修理に至るまでの所有者や行政担当者、相談を受けた専門家の方々の準備期間、修理が始まってからの技術者たちが汗を流した様々な時間が詰まっています。

修理に至るまで、所有者の方々がまず苦労されるのが費用の工面です。
所有者の方々はその準備に奔走されますが、その時に助成金への申請が検討されます。
代表的なものが今回の展覧会の主催である住友財団の修復助成です。
費用の工面には1年、または2年以上かかる場合があります。
時には、費用が工面できず計画を一時断念されることもあるでしょう。

今回の展覧会では、費用工面の難題を乗り越え、修理自体に4年間かかったお像も展示されています。
所有者の方々にとっては、検討し始めてから修理を終え、お像が戻ってくるまで、とてもとても長い文化財に向き合う時間があります。


岩手県指定文化財 七仏薬師如来立像 平安時代・12世紀 岩手・正音寺蔵
2015年から中尊(真ん中の少し大きめのお像)の修理を始め、その後2体ずつ計4年をかけて修理が行われました。(修理:株式会社 明古堂)



文化財は、100年ほどの期間で何度か修理を繰り返し現在に伝わっています。
修理をすると、後世の修理に関わった人たちの存在にも出会います。
後世の人も同じような苦労を乗り越え、修理に至り、守ってきた過去があります。
そうやって数百年もの間、たくさんの文化財が伝わってきています。


重要文化財 千手観音菩薩立像 平安時代・9世紀 福井・髙成寺蔵 
1997年より4年をかけて修理が行われ、背面の裾の内側に江戸時代(元禄14年(1701年))の修理墨書が発見されました。 (修理:公益財団法人 美術院)


解体した背面と発見された修理墨書


修理の仕事に関わっていると、せっかく苦労して修理が行われても、その後の文化財をとりまく地域や環境の変化で、朽ちていくものも目にします。
文化財の保存には、修理ができることだけではなく、関心をもつ人など文化財を取り巻く環境を維持していくことが、その後とても重要になっていきます。


福島・龍門寺
東日本大震災直後の状況 


和歌山県指定文化財 家都御子大神坐像(熊野十二所権現像のうち)
安土桃山時代・16世紀 和歌山・熊野那智大社蔵 
修理前の頭頂部の虫損被害状況


令和となった今、さらに文化財の活用に力を入れる時代になりました。
文化財の活用は、観光への取り組みに繋がっています。

観光は、字のごとく地域の「光を観る」ことです。
文化財という地域の光が、途絶えることのないよう、この展覧会へぜひ足を運んでいただき、「文化財よ、永遠に」というテーマを多くの方に考え、感じる機会になっていただけたら幸いです。

カテゴリ:彫刻特別企画

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posted by 野中昭美(保存修復課) at 2019年11月27日 (水)

 

「文化財よ、永遠に」の展示デザイン

こんにちは。デザイン室神辺です。特別企画「文化財よ、永遠に」の展示デザイン、グラフィックを担当しました。

普段、展示室を歩いていると、じっくり解説を読まれて、そのままちらっと作品に目をやって、通り過ぎていくお客様をお見かけすることがあります。
もちろん、博物館での過ごし方に正解も不正解もありませんし、お客様の鑑賞方法に、とやかく言うつもりもありません。ただ、たまには、いつもとは違った鑑賞方法で、博物館を楽しむのも一興ではないでしょうか。秋ですし(←雰囲気で言ってみました。深い意味はありません)。

「文化財よ、永遠に」展では、お客様に作品鑑賞についてのある提案を試みました。
その提案とは「じっくり仏像と対面する時間を持ってみてはいかがでしょう。」というものです。
そのため、思い切って鑑賞空間から作品解説を切り離してみました。仏像を展示しているステージに、作品解説はありません。作品解説は、ステージ手前のとても低いところにあります。
えっ、そんな低いところにある解説、ちゃんと読めるのかしら?
解説大好き派は心配されるかもしれません。大丈夫。読めます。



ただし、解説を読んだ後、仏像をご覧になるためには、首を傾け、少し仰がねばなりません。ここはあえて、身体的な動作を取り込んで、「見る」ということを意識してやっていただこうと思っています。
展示室の多くの仏像は、ケース越しではなく、直に見ることができます。そのため、仏像と対峙したとき、そのお姿だけでなく、衣のひだ、素地の感じ、残っている彩色などの美しさを、しっかりご覧いただけます。
玉眼がある仏像のお顔は、玉眼がキラリと光るよう照明調整もしております。
特別企画「文化財よ、永遠に」は12月1日(日)までです。どうぞ、お見逃しなく。

カテゴリ:彫刻特別企画

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posted by 神辺知加(デザイン室) at 2019年11月21日 (木)

 

修復・修理の意義 「文化財よ、永遠に」より


みなさんは、愛用しているものや大切にしているものが壊れてしまった時、どうされますか?
壊れたままにせず修理して、また再び大事にお使いになるのではないでしょうか。

文化財でも事情は同じです。今に伝えられる文化財は、そのほとんどが何度も何度も修理を繰り返してきたものばかりです。
特別企画「文化財よ、永遠に」では、公益財団法人住友財団が30年の長きにわたって修復を助成してきた文化財1,100件以上のうち、当館では仏像を中心に展示しています(泉屋博古館(京都・東京)、および九州国立博物館でも同タイトルの展覧会を開催しておりましたが、会期は終了いたしました)。
仏像はお堂の須弥壇上や厨子内に大事に安置されているのだから、壊れることなんてあまり考えられないのでは? と思った人もいらっしゃるかもしれません。

ところが、日本の仏像の多くは木材でできています。皆さんもご存知だと思いますが、木材は湿気を含めば膨張し、乾燥すれば縮みます。四季によって温湿度が大きく変わる日本の自然環境の中では、木材は絶えず伸び縮みを繰り返しています。
たとえば表面が綺麗に彩られた仏像や金箔が貼られた仏像の場合、木材と、表面の彩色層や漆箔層の収縮率が違うために、長い時間が経てば彩色層や漆箔層が木材から浮き上がってしまうことが多々あります。仏像の損傷のうち、もっとも多い損傷と言ってもよいでしょう。


漆箔の剥離 修理前

こちらのお像は漆箔層が浮き上がっています。茶色の部分は漆箔層の下の木材です。木材が露出しているところは、すでに漆箔層が剝落してしまったところです。
修理では、こうした浮き上がりを丁寧にもとにもどします。また剥落片がある場合には、それを元の位置に復位します。展覧会に仏像がお出ましになる際、時に湿度70%以上になることのある寺院環境から、博物館環境に移動させるときには、表面の状態に非常に気をつかいます。彩色像を開梱するときは特に緊張します。

また、湿気で鎹や釘など木材どうしを留める金属製の金具が腐食し、錆が生じると釘がふくらみ周辺の木材を傷めることもありますし、逆に乾燥が木材の割れを引き起こすこともあります。


干割れ

ご尊像の頭部に干割れがはしってしまうと、尊容を損ねることにもなってしまい、難しい修理となる大変やっかいな損傷です。年輪の中心である木芯から割れてしまうことが多いため、仏像をつくる際には、木芯が入らないように製材した芯去り材が使われていることが多いです。

木材を好んで食べる虫もいます。


虫蝕

たくさんの小さな穴が開いているのがお分かりになりますでしょうか。仏さまを食べるなんて仏さまには迷惑な話ですが、虫たちはありがたく命を頂戴しているのかもしれません。

今年はノートル・ダム寺院や首里城などで、いたましい火災が相次いでしまいましたが、木材にとって火も大敵です。かたや何らかの要因で水にさらされ続ければ腐食することもありますし、高湿度のなかでは黴が生えたりすることもあります。


朽損 修理前

木材が腐食してスカスカになっている様子がわかります。表面に少し手が触れただけで簡単に崩れ落ちてしまうきわめて危険な状態です。

こうやって損傷の事例を見てくると、何百年もの昔につくられた仏像が今に残ってるのは奇跡だと思われませんか?
形ある物はどんなに大切にしていたとしても、時が経てばどうしても傷んでしまいます。仏像もまた、つくられてから月日が経って傷んでしまったときに、修理しようと立案した人、修理の技術を持っていた人、費用を負担した人、その他さまざまな人が協力をして修理されてきたであろうことは想像にかたくありません。また修理が一度だけではなく、何度も繰り返すことのできるコミュニティがなければ、仏像はどこかの時点で朽ち果て失われてしまったことでしょう。

仏像が背負っているものは、これをつくった人々、長きにわたって守り伝えてきた人々、また現在、これを大切にされているご所蔵者はじめ地域の人々の祈りでもあるのです。

 

カテゴリ:彫刻特別企画

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posted by 皿井舞(平常展調整室長) at 2019年11月20日 (水)