黄金に輝く馬具に表現された動物たち
特別展「出雲と大和」は、3月8日(日)までの会期を予定しておりましたが、このたび政府の要請により、新型コロナウイルス感染防止のため、2020年2月26日(水)をもって閉幕いたしました。 本展は閉幕いたしましたが、事前に予定しておりました1089ブログをお楽しみください。 前売券の払い戻し方法は、公式サイト・ツイッター等でお知らせいたします。また展覧会カタログは、2020年3月30日(月)まで、東京国立博物館ミュージアムショップのWEBサイトにてお買い求めいただけます。 |
特別展「出雲と大和」では大和の地から出土した、きらびやかな装飾が施された馬具を展示しています。
今回は、奈良県斑鳩町(いかるがちょう)の藤ノ木(ふじのき)古墳出土の国宝「金銅装鞍金具(こんどうそうくらかなぐ)(前輪・後輪(しずわ))」をご紹介します。
藤ノ木古墳は6世紀後半に造られた直径50mの円墳です。昭和60年(1985)から始まった発掘調査で未盗掘の横穴式石室とそこに安置された家形石棺が確認されました。金銅製品など豪華で精巧な副葬品の数々は新聞やニュースなどで大きく取り上げられ、話題となりました。当時の驚きと熱狂を覚えておいでの方も多いのではないでしょうか。
藤ノ木古墳
さて、金銅装鞍金具は、その名の通り人が馬に乗るために用いた馬具のことです。鞍の前後に取り付けられた装飾品の金具が前輪と後輪です。
両者ともに輝く金銅板を透かし彫りすることによって文様を表現した華やかなものです。
亀甲繋文(きっこうつなぎもん)と呼ばれる六角形の区画の内部には鳳凰・龍・獅子・鬼・魚・象・兎が透かし彫りされています。また、後輪の中央にある把手(とって)の付いた金具には大刀と斧を持った鬼神が睨みをきかせています。
この馬具を目にした大和の人々は、豪華に輝く実在・架空の様々な動物たちに目を奪われたことでしょう。
国宝 金銅装鞍金具(前輪)
古墳時代・6世紀 奈良県斑鳩町 藤ノ木古墳出土 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館保管)
国宝 金銅装鞍金具(後輪)
古墳時代・6世紀 奈良県斑鳩町 藤ノ木古墳出土 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館保管)
金銅装鞍金具のほかにも、藤ノ木古墳からは金銅製の馬具が多数出土しています。今回展示している「金銅龍文飾金具(こんどうそうりゅうもんかざりかなぐ)」には龍、「金銅棘葉形杏葉(こんどうそうきょくようけいぎょうよう)には鳳凰が透かし彫りされています。
国宝 金銅装龍文飾金具
古墳時代・6世紀 奈良県斑鳩町 藤ノ木古墳出土 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館保管)
国宝 金銅棘葉形杏葉
古墳時代・6世紀 奈良県斑鳩町 藤ノ木古墳出土 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館保管)
それぞれの作品のどこにどんな動物が隠れているのか、探しながら作品を見るとよりお楽しみいただけるのではないでしょうか。
日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 平成館 特別展示室 2020年1月15日(水) ~
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カテゴリ:2019年度の特別展
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posted by 東影悠(奈良県立橿原考古学研究所 企画部企画課 主任研究員) at 2020年03月02日 (月)