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日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」開幕!

トーハクで開催される2020年の特別展のトップバッター、日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」が1月15日(水)に開幕しました。



本展では古代日本において重要な地であった、出雲(島根県)と大和(奈良県)の名品を一堂にご覧いただくことができます。
展示室を少し覗いてみましょう。


「第1章 巨大本殿 出雲大社」では、神々や祭祀の世界を司るオオクニヌシが鎮座する、出雲大社に伝来する数々のご神宝を紹介します。

第1章ではまず、心御柱(しんのみはしら)と宇豆柱(うづばしら)が皆さまをお迎えします。


重要文化財 心御柱(左)・宇豆柱(右奥)
島根県出雲市 出雲大社境内遺跡出土 鎌倉時代・宝治2年(1248) 島根・出雲大社蔵(宇豆柱は島根県立古代出雲歴史博物館保管)

心御柱と宇豆柱は1本が直径約1.3メートルの巨木を3本束ねて一つの柱としています。
その直径はなんと、約3メートル!
この巨大な柱は鎌倉時代のもので、当時の出雲大社本殿を支えていた柱とされています。
この柱から推定すると、出雲大社本殿の高さは48メートルにのぼるとも考えられており、そびえたつ柱をイメージして展示しています。
また、心御柱と宇豆柱の中心間の距離は7.2メートルで、出土した時の距離を再現しています。
こちら2件そろって公開されるのは、本展が初めてです。
当時の出雲大社本殿が、いかに巨大な建築物であったかをどうぞご体感ください。


展示室内の心御柱
※3本のうち1本は複製


模型 出雲大社本殿 平成11年(1999)
島根・出雲市蔵

10世紀ごろ(平安時代)を想定した、出雲大社本殿の1/10スケールの模型。
10分の1で、この大きさ。模型出雲大社本殿の巨大さが分かります

 

次に、「第2章 出雲 古代祭祀の源流」では、弥生時代の祭祀に用いられた品々の移り変わりを通して、出雲における古代祭祀の源流を探ります。

圧巻なのは、島根県出雲市の荒神谷遺跡や雲南市の加茂岩倉遺跡から出土した青銅器が展示室を埋め尽くす光景です。
また、銅剣、銅鐸、銅矛といった異なる種類の青銅器を比較してみることができるのも見どころの一つです。
さらに、銅鐸の中でも大きさや文様の違いを見ることができることも、とても興味深いです。


国宝 銅剣・銅鐸・銅矛 
島根県出雲市 荒神谷遺跡出土 弥生時代・前2~前1世紀 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)


国宝 銅鐸 
島根県雲南市 加茂岩倉遺跡出土 弥生時代・前2~前1世紀 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)

 

「第3章 大和 王権誕生の地」では、古墳時代の埴輪や副葬品の多彩な造形とその展開をたどり、ヤマト王権の成立の背景に迫ります。

第3章の注目作品の一つが、奈良県桜井市にあるメスリ山古墳出土の円筒埴輪です。
大和の地に出現した巨大な墳墓である前方後円墳は、政治権力の象徴するもので、メスリ山古墳は、古墳時代前期後半(4世紀前半)につくられた前方後円墳です。
後円部の中央には被葬者を埋葬するために竪穴式石室が築かれており、その上に方形の区画をなすように約170本の円筒埴輪がびっしり並んでいました。
被葬者が眠る埋葬施設と外界を遮断し、聖域を保護していたと考えられています。

本展では、世界最大の円筒埴輪を展示しています。
その圧倒的な大きさに驚かされます。
また、高さ約2.5メートルという大きさに対し、厚さは1.6~1.8センチメートルという薄さで、高い技術力により作られたことが分かります。


メスリ山古墳の後円部の竪穴式石室と埴輪の配列復元図
※パネルにて展示


重要文化財 円筒埴輪 
奈良県桜井市 メスリ山古墳出土 古墳時代・4世紀 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館蔵

また、大和は貴重な三角縁神獣鏡が多く出土する地です。
奈良県天理市の黒塚古墳では三角縁神獣鏡が33面出土しており、1つの古墳から出土した数では全国最多となります。
本展では、出土した三角縁神獣鏡33面と画文帯神獣鏡1面すべてをご覧いただくことができます。
 


重要文化財 画文帯神獣鏡・三角縁神獣鏡 
奈良県天理市 黒塚古墳出土 古墳時代・3世紀 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管)
出土状況写真のタペストリーも合わせて展示しています

 

「第4章 仏と政」では、天皇を中心に仏教を基本とした国づくりが進められていくなかで、国家の安泰と人々の生活の安寧を祈るために誕生した造形をご紹介します。

第4章最初のみどころは、當麻寺の持国天立像です。
持国天は仏の世界を守護する四天王の一人です。
こちらの持国天立像は脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)という、大陸新来の技法で作られた現存最古の四天王像です。
彫りの深い凛々しい顔立ちは、時を忘れて見入ってしまいます。


重要文化財 持国天立像 
飛鳥時代・7世紀 奈良・當麻寺蔵


 

こちらの浮彫伝薬師三尊像(うきぼりでんやくしさんぞんぞう)は寺外初公開となります。
とても保存状態がよく、1300年の間大切に守り伝えられてきたことが感じ取れます。


重要文化財 浮彫伝薬師三尊像 
飛鳥~奈良時代・7~8世紀 奈良・石位寺蔵

 

今回ご紹介した作品以外にも、特別展「出雲と大和」では、考古、刀剣、工芸品、彫刻など、多種多様な作品が皆さまをお待ちしています。
是非、足をお運びください!

 

日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」

平成館 特別展示室
2020年1月15日(水) ~ 2020年3月8日(日)

 

カテゴリ:2019年度の特別展

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posted by 長谷川 悠(広報室) at 2020年01月23日 (木)