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松方コレクションの浮世絵版画

本館10室では、6月4日(火)から「松方コレクションの浮世絵版画」と題した展示を行っています。

川崎造船所の初代社長である松方幸次郎は、実業家としてだけでなく、数多くの美術品を収集した美術コレクターとしても知られています。中でも彼が集めた浮世絵版画は、宮内省を経て、現在当館に収蔵されています。

この度、国立西洋美術館で開催される「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」(6月11日~9月23日)との連携企画として、6月~9月の間、4期にわたり、本館10室を松方コレクションの浮世絵のみで構成しています。

それでは、各期のおすすめ作品を少しだけご紹介しましょう。

第一期:6月4日(火)~6月30日(日)

冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏(ふがくさんじゅうろっけい・かながわおきなみうら)
葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀


「この作品知ってる!」と思われた方も多いのではないでしょうか?
北斎の「冨嶽三十六景」シリーズの中でも、「グレート・ウェーブ」と称され、世界で最も知られる日本絵画のひとつです。新千円札の裏面への起用も発表された話題の一作を、この機会にぜひお見逃しなく!



第二期:7月2日(火)~7月28日(日)

高名美人六家撰・辰巳路考(こうめいびじんろっかせん・たつみろこう)
喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀


江戸の6人の美人を描いたシリーズのうちの1枚です。この作品では、描かれた美人の名前を「判じ絵」にして画面上部に記しています。「判じ絵」とは、絵を見て答えを読み解く、江戸時代の庶民に親しまれたなぞなぞのこと。ぜひ展示室でこのなぞなぞを解いてみてください。



第三期:7月30日(火)~8月25日(日)

讃岐院眷属(さぬきいんけんぞく)をして為朝(ためとも)をすくふ図
歌川国芳筆 江戸時代・19世紀


武者絵やユーモアあふれる戯画を描いた人気絵師、歌川国芳の代表作のひとつです。
当時のベストセラー、滝沢馬琴(たきざわばきん)の『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の1シーンを描いています。3枚の画面を効果的に用いたダイナミックな構図がみどころです。



第四期:8月27日(火)~9月23日(月・祝)

重要文化財 大谷徳次の奴袖助
東洲斎写楽筆 江戸時代・寛政6年(1794)


寛政6年(1794)5月からわずか10ヵ月で忽然と姿を消した謎の絵師、写楽。この作品は、彼の作品の中でも最も評価の高い役者大首絵28種のうちの1枚です。口を一文字に結び、片肌を脱ごうとする姿がコミカルに描かれています。


各期の作品を1点ずつご紹介してきましたが、展示室では、各期30点以上の作品が並びます。
松方コレクションは、浮世絵版画の歴史を辿ることのできる充実したコレクションです。墨一色の版画から色彩を増し、錦絵へと展開していく浮世絵版画の流れを、国立西洋美術館で公開される西洋美術の優品とあわせ、この機会にぜひお楽しみ下さい。

 

カテゴリ:絵画

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posted by 大橋美織(絵画・彫刻室) at 2019年06月08日 (土)

 

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