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クリーブランド美術館展と人間国宝展、来春開幕!

トーハクでは来春、「クリーブランド美術館展―名画でたどる日本の美」と、日本伝統工芸展60回記念「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」(どちらも2014年1月15日(水)~2月23日(日))を開催します。
2013年10月15日(火)に、報道発表会を行いました。

最初に、「クリーブランド美術館展」担当の特別展室長・松嶋雅人より、展覧会の見どころをご紹介しました。


松嶋さん
一番右側でマイクを持っているのが松嶋研究員。


アメリカ・オハイオ州にあるクリーブランド美術館は、中世ヨーロッパや東洋の美術、近現代美術などを網羅し、全米屈指のコレクション数を誇る美術館です。
本展覧会では、選りすぐりの日本絵画約40件と、中国・西洋美術の優品を加えた、総数約50件の作品をご紹介します。

まずは、ポスターやチラシのメインビジュアルにも起用されている、こちらの作品から。


雷神図屏風
雷神図屏風(らいじんずびょうぶ)
「伊年」印 江戸時代・17世紀 クリーブランド美術館蔵
Photography (c) The Cleveland Museum of Art


迫力があるけれど、ちょっとお茶目に見える雷神様。その視線の先には人間界がひろがっているのでしょうか。
雷神と対峙する「風神」が、もうひとつの屏風に描かれていたのかもしれません。


地獄太夫図  
地獄太夫図(じごくだゆうず)
河鍋暁斎筆 明治時代・19世紀 クリーブランド美術館蔵
Photography (c) The Cleveland Museum of Art


現在も根強い人気の河鍋暁斎。がいこつや擬人化された蛙など、ユーモラスな画題で有名です。
この作品では、妖艶な太夫を鮮やかに描き、その筆技をあますところなくご堪能いただけます。


かきつばた図屏風
燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)
渡辺始興筆 江戸時代・18世紀 クリーブランド美術館蔵
Photography (c) The Cleveland Museum of Art


渡辺始興は、尾形光琳を尊敬していたのだとか。
光琳も同じ画題の作品を残していますが、それと比べると本作品は花の形や葉の色調などの変化を細やかに描いています。

人や自然の姿が時代ごとにどのように描かれてきたか、平安時代から明治時代までの名品でご覧いただく展覧会。
新年にふさわしく、華やかな展覧会になりそうです。


次に「人間国宝展」担当の工芸室主任研究員・小山弓弦葉より、展覧会の見どころをご紹介しました。

小山研究員


「人間」なのに「国宝」!?響きだけで、なんだかすごそうな展覧会です。
人間国宝は、正しく言うと「重要無形文化財の保持者に認定された人の通称」です。
工芸技術などの無形の文化財所産で、歴史上または芸術上価値が高く、うち特に重要なものを「重要無形文化財」といいます。
これらのわざを高度に体得している者が「重要無形文化財の保持者」です。


野草笹匹田模様着物
木綿地型絵染 野草笹匹田模様着物(もめんじかたえぞめ やそうささひったもようきもの)
稲垣稔次郎作 昭和30年 京都国立近代美術館蔵
稲垣稔次郎は、文様を彫った型紙を使った「型絵染」という手法によって、型紙で着物に絵模様を表すという新境地を開きました。



「工芸」とひとことで言っても、色々な種類がありますよね。
今回は、陶芸、金工、染織、漆芸、木竹工、人形、諸工芸の7部門に分けて、人間国宝の名作をご覧いただきます。


恒河
耀彩壺「恒河」(ようさいつぼ こうが)
徳田八十吉(三代)作 平成15年 小松市立博物館蔵
徳田八十吉は加賀に生まれ、初代徳田八十吉から九谷の色釉の技を学んでいます。その技を極めた先に、このような新しい表現が生まれました。



本展覧会と同時期に、平成館1階 企画展示室にて、特集陳列「人間国宝の現在」を開催します。
特別展では物故された人間国宝の作品が並びますが、こちらの特集陳列では現在もご活躍の人間国宝の作品が勢揃いします。


彩光
蒔絵螺鈿八稜箱「彩光」(まきえらでんはちりょうばこ さいこう)
室瀬和美作 平成12年 文化庁蔵
第47回日本伝統工芸展出品 東京都知事賞受賞



最後に、この作品を制作された重要無形文化財「蒔絵」保持者で、日本工芸会 副理事長の室瀬和美氏が、記者からの取材に応じてくださいました。


室瀬氏

室瀬氏は、
「本展覧会では、“工芸”のことを“CRAFT”とは英訳せずに、敢えて“KOGEI”とそのままアルファベットで表記しました。
工芸は日常的に使うものだけでなく、美術や芸術全般を含めた呼称なので、クラフトという単語だけでは十分に理解ができません。
“CRAFT”と“DECORATIVE ART”を含めた“KOGEI”をさらに広めていきたいです」と語りました。


クリーブランド美術館展―名画でたどる日本の美」と、日本伝統工芸展60回記念「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」は、どちらも2014年1月15日(水)~2月23日(日)に開催します。
日本美術の名品をあつめた2つの展覧会、どうぞご期待ください。

カテゴリ:news2013年度の特別展

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posted by 小島佳(広報室) at 2013年10月17日 (木)