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1089ブログ

この秋、上海博物館の至宝に会える!!

トーハクでは今秋、特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」(2013年10月1日(火)~11月24日(日)東洋館8室)を開催します。
2013年8月20日(火)に報道発表会を行いました。

報道説明会の様子

本展覧会担当研究員、塚本麿充より展覧会の構成と見どころを解説いたしました。

塚本研究員
塚本麿充 東洋室研究員


一級文物18件!中国絵画史に燦然と輝く名品きたる!


中国でも最大規模の収蔵を誇る上海博物館。
そのなかから、一級文物18件をふくむ40件もの名品によって、中国絵画の流れをご紹介します。

煙江叠嶂図巻
一級文物 煙江叠嶂図巻(えんこうじょうしょうずかん)(部分) 
王詵(おうしん)筆 北宋時代・11~12世紀
展示期間:10月1日(火)~10月27日(日)

この作品は、文人画家・王詵の現存唯一の作品。そもそも北宋時代の絵画は、数が少なくて大変貴重なのだそうです。
美しい淡彩で書かれた岩山が、水上に幻想的に浮かび上がる山水画です。

この雄大な景色に溶け込むように、人間が8人描かれています。

人間発見1 人間発見2

山水画版「ウォーリーをさがせ!」のようで、見つけると嬉しくなってしまいます。小さいですが、ぜひ会場で見てみてくださいね。


日本人が見ることがなかった「正統文人画」


中国絵画は、日本でも古くから蒐集され、愛好されてきました。室町幕府8代将軍・足利義政によって収集された「東山御物」が有名です。
しかし、中国で「正統絵画」と言われている王道の作品は、実は日本ではほとんど所蔵されていないのをご存知でしょうか。
トーハクでも中国絵画の名品を所蔵していますが、それらは中国絵画史上「非正統絵画」と呼ばれている作品です。
(「正統文人画」の意味や、誰が正統だと決めたのかなど、詳細は後日、本1089ブログにてご説明する予定です。)

漁荘秋霽図軸
一級文物 漁荘秋霽図軸(ぎょそうしゅうせいずじく)
倪瓚(げいさん)筆 元時代・1355年 上海博物館蔵
展示期間:10月1日(火)~10月27日(日)


元代を代表する文人画家・倪瓚の作品です。
すっきりとした筆墨によって描き出された無人の山水画。のちの中国絵画の規範になったのだそうです。
でも…、ただ枯れ木が描かれているだけのようにも見える…。
いえいえ!これこそが文人の心の風景、中国人の原風景といっても過言ではないのです!
ここに描かれた人生の機微を、ぜひその目でお確かめください。


正統だけじゃない!中国絵画1000年の歴史!

山陰道上図巻
山陰道上図巻(さんいんどうじょうずかん)(部分)
呉彬(ごひん)筆 明時代・1608年 上海博物館蔵


うねうねと波打つような山のかたち。怪奇的で、なんだか夢に出て来そうです。
明代末期になると、正統派に背を向けた異端の画家たちが現れます。これらの個性的な画家は、奇想派(エキセントリックスクール)と呼ばれました。
当時の人々もきっとこの絵に驚いたことでしょう。しかし奇想派は、日本ではあまり注目を浴びることがありませんでした。
本展覧会ではこのようなラインにも注目し、今まで知らなかった中国絵画の歴史を初めてご覧にいれます。

中国の五代・北宋から明清にいたる中国絵画の系譜。
その歴史を、これまでにない新たな視点も交えて名品で辿ります。
東京国立博物館と上海博物館の長年の友好が生んだ奇跡の展覧会に、ぜひご期待ください。

作品紹介やイベント情報など、今後も1089ブログでご紹介していきます。どうぞお楽しみに。

カテゴリ:研究員のイチオシnews2013年度の特別展展示環境・たてもの

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posted by 小島佳(広報室) at 2013年08月22日 (木)