学芸員に挑戦!
学芸員(トーハクでは研究員といいます)にはたくさんの仕事があります。
文化財の調査研究や展示は、学芸員ならではの仕事といえるでしょう。
とはいっても、いずれもお客様には見えない部分の仕事。
そこで、その「見えない部分」をすこしだけ体験していただくのはどうだろう?と思いつき、7月28日、ワークショップ「学芸員に挑戦!」を開催しました。
まずは、学芸員の仕事の真骨頂、展示を見に本館展示室へ。
展示の工夫の話に興味津々。
ここでお話しするのは作品解説ではなく、作品の展示の工夫です。
みなさんから小さな声がもれてきます。
「えー、そんな細かいことを気にしているんですか・・・」
そうそう、展示って、いつも同じように、ただ並べるだけではないんです。
「作品を展示するための道具に注目したのははじめて!」
そうでしょう、そうでしょう!道具にも色んな工夫があるんです。
作品を安全に、見やすく展示するために専用の道具が使われることがあります。
錫杖や鏡を展示するための道具。木でできていたり、フェルトが貼ってあったり。展示室でご確認ください。
展示の構成、順序、方法には、いろんな工夫が隠れているんです。それこそまさに、学芸員の腕の見せ所。
見学のあとは作品の取扱体験です。(今回はレプリカを使用しました)
作品をきちんと扱えなければ大切な文化財を傷めてしまう、細心の注意が必要な仕事です。
取り扱う際の決まりごとを聞き、デモンストレーションを見て、実際に・・・
たとえレプリカと知っていても、緊張するものです。
特にお茶碗をいれた箱の紐の掛け方、御物袋の扱い方にみなさん四苦八苦。
大丈夫、学芸員だって緊張します。
お茶碗のほか、絵巻の取り使いも体験。鳥獣人物戯画の絵も楽しみながら扱いました。
博物館で働いている学芸員を身近に感じてもらいたい、という気持ちもありました。
取り扱い方を通じて、文化財が守り伝えられてきたことのありがたさを知ってもらいたいという気持ちもありました。
そして、この体験を通じて、「展示の楽しみ方が増えました」といっていただけたことがなによりもうれしいです。
「学芸員になりたかった夢が叶った」と笑ってくれたおとなの方、また、こんな機会を設けることができればと思っています。楽しみにしていてくださいね。
「いつか学芸員になりたい」と終了後も熱心に取り扱いの練習をしていた中学生、いつか一緒に働ける日が来るのを東博の学芸員は待っていますよ。
みなさん、暑い中、ご参加いただきありがとうございました。
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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年08月01日 (木)