このページの本文へ移動

1089ブログ

来年1月、飛騨の円空仏100体トーハクへ!

トーハクでは来年、特別展「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡-」(2013年1月12日(土)~4月7日(日)本館特別5室)を開催します。
2012年9月6日(木)に報道発表会を行いました。

主催者より当館の島谷弘幸副館長と、今回この展覧会で多大なご協力をいただいている千光寺・大下大圓ご住職よりご挨拶申し上げました。

   
左:島谷副館長 右: 千光寺・大下大圓ご住職

そして、この展覧会の担当をしている浅見龍介東洋室長より出品作品の見どころをご説明しました。

  
表面・裏面の彫り方など作品1点1点詳しくご説明しました

当館では、円空の作った仏像いわゆる「円空仏」が展覧会で出品されたことは過去にもありましたが、
飛騨の円空仏を一堂に展示するのは今回が初めてのことです。

それでは、作品の一部をご紹介します。
まず展覧会の目玉の一つであり、ポスター・チラシにも登場する、「両面宿儺坐像」。
「両面宿儺」とは1つの胴体に2つの顔、4本の手足を持つとされる『日本書紀』に登場する飛騨の怪物です。
『日本書紀』は、大和朝廷が編纂した記録なので、朝廷に従わない飛騨の豪族を象徴的に「両面宿儺」としたのかもしれません。
しかし、千光寺ではいつの頃か「両面宿儺」を開山とする伝承が生まれ、円空が千光寺滞在中にその像を造ることになりました。

当館で開催しました2006年特別展「仏像 一木にこめられた祈り」と2008年特別展「対決 巨匠たちの日本美術」では、様々な作品とともに円空仏も展示しました。
この時、「両面宿儺坐像」も展示候補でしたが、その願いはかないませんでした。
大変貴重な機会です。


両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)
江戸時代・17世紀 総高86.9cm 千光寺蔵

素朴さと愛らしい表情のこちらは「三十三観音立像」。
33体あったはずですが、現在31体しか残されていないのは近隣の人々に貸し出して戻って来なかったとのことです。


三十三観音立像(さんじゅうさんかんのんりゅうぞう)
江戸時代・17世紀 総高61.0cm~82.0cm 千光寺蔵


そして、この優しい表情と、少し横にもたれている姿の作品は「柿本人麿坐像」

柿本人麿坐像(かきのもとのひとまろざぞう)
江戸時代・17世紀 総高50.2cm 東山神明神社蔵


右手を頬にあて微笑んでいる姿の「如意輪観音菩薩坐像」。


如意輪観音菩薩坐像
江戸時代・17世紀 総高74.8cm 東山白山神社蔵


一木作りが多い円空仏の中で、脇手が別材で作られた「千手観音菩薩立像」。


千手観音菩薩立像
江戸時代・17世紀 総高114.3cm 清峰寺蔵


円空は5cmにも満たないものから2mを超えるものまで様々な仏像を作っています。
一般に可愛らしく、素朴で親しみやすいと言われることが多い円空仏ですが、力強さや木への信仰も感じられ造形も魅力的です。

展覧会では、これまで円空仏を見たことがある方も初めての方にも、
様々な視点から見ていただき、多彩な造形とともに、温かみも感じていただけばと思います。

こちらでご紹介した以外にもまだまだ見どころ満載の円空仏がたくさん出品されますので今後もこのブログでご紹介していきます。
どうぞお楽しみに!

 

カテゴリ:彫刻2013年度の特別展

| 記事URL |

posted by 江原 香(広報室) at 2012年09月08日 (土)