一日でいい、旅がしたい。「イスラーム王朝とムスリムの世界」開幕です!
本企画キービジュアル
7月6日(火)、当館東洋館の地下にある12,13室を使ったマレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画「イスラーム王朝とムスリムの世界」がはじまりました。
東洋館エントランス
イスラーム=中東、と思われる方も多いのではないでしょうか。
この展覧会は、マレーシアにあるイスラーム美術館の全面協力を得て、同館の所蔵品204点をお借りし、時代的にも地域的にもとても幅広い範囲を網羅した、これまでにはなかったイスラーム文化の決定版ともいえる内容の展観会です。
東洋館の地下におりて奥の部屋が会場となります。
会場では、14の王朝や地域を時代順あるいはテーマに基づいて、計15セクションが展開します。
モスクの中で使われるものを展示したコーナーもあります。
手前向かって右:ミフラーブ・パネル 14-15世紀 中央アジアまたはイラン(ティムール朝)
写真でみて想像していたよりずっと大きくて迫力があります。
各セクションは、さまざまなイスラームの文物と、それらが描かれた絵画作品で構成されています。それぞれの展示品がどのように使われていたかわかるようになっています。
インドの細密画と、その向かいにはそこに描かれているようなジュエリーがきらびやかに並びます。ゴージャスでボリュームのある品々にうっとりです。
イスラームの影響の及んだ範囲の広さ、そこから生まれた文化の多彩さをご覧いただけると思います。
開会に先立ち、オープニングセレモニーが行われ、駐日マレーシア大使および協賛社の皆さまにご参加いただきました。マレーシアはようやくロックダウンが解けましたが、イスラーム美術館の皆さまには、感染状況の厳しい中、作品貸与にあたって多大なご尽力をいただきました。
マレーシア・イスラーム美術館の運営財団Albukhary FoundationのZara副会長は、残念ながら来日がかなわず、Zoomでセレモニーにご参加いただきました
海外旅行のできない日々が続きます。展覧会を通して、異文化に触れて旅の気分を味わっていただければ幸いです。会期は来年(2022)の2月20日(日)まで。
カテゴリ:特別企画
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posted by 鬼頭智美(広報室) at 2021年07月07日 (水)
特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」開幕しました!
本館特別5室にて特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」(会期:2021年6月22日(火)~9月12日(日))が開幕しました。
本展は、昨年の夏開催予定としていましたが、1年延期となりようやく開くことができ関係者一同安堵しています。
2020年2月27日(木)に開催した報道発表会時の様子
右:聖林寺 倉本明佳住職 左:東京国立博物館 浅見龍介学芸企画部長(本展担当)
展覧会最大のみどころは、奈良時代(8世紀)に造られた数少ない天平彫刻のなかでも名品と言われる、
奈良県桜井市にある、聖林寺所蔵の国宝「十一面観音菩薩立像」をご覧いただけることです。
奈良県を出るのは初めてのことです。
国宝 十一面観音菩薩立像(部分) 奈良時代・8世紀 奈良・聖林寺蔵
普段聖林寺のお堂では正⾯からの拝観ですが、
会場では優雅な表情、均整のとれた体、姿勢、しぐさなど360度さまざまな角度からご覧いただけます。
また、お像を展示しているケースのガラスは大変透過度が高いため、ケースに入っていないように見えるかもしれません(上記画像もケース越しに撮影しています)。
仏教伝来以前の日本では、神は山、滝、岩や樹木などに宿ると信じられ、本殿などの建築や神の像はつくらず、自然のままを拝んでいました。
その形が現在も続いているのが、奈良県にある三輪山を御神体とする大神神社(おおみわじんじゃ)です。
奈良時代以降、大神神社には、仏教の影響を受けて神社に付属する寺(大神寺<おおみわでら>、後に大御輪寺<だいごりんじ>に改称)や仏像がつくられました。
明治元年、新政府により神仏分離令が発せられると、寺や仏像は苦難にさらされます。
もとは大御輪寺にあった国宝「十一面観音菩薩立像」(聖林寺蔵)、国宝「地蔵菩薩立像」(法隆寺蔵)、「日光菩薩立像」「月光菩薩立像」(ともに正暦寺蔵)は、
大御輪寺の住職や周辺の人々によって近傍の寺院にうつされましたが、本展で約150年ぶりに再会します。
この他にも、三輪山には人々が入ることができない禁足地があり、本展ではそこから出土した古代の祭祀を物語る子持勾玉や土製模型なども展示しています。
今後も本展の見どころをブログでご紹介していきます。
次回は、国宝「十一面観音菩薩立像」を聖林寺から搬出した舞台裏をご紹介します。
どうぞお楽しみに!
本館エントランス左が入口となります。
本展は、事前予約制(日時指定券)です。
予約不要の「当日券」を会場にて若干数ご用意しますが、「当日券」は販売終了している可能性があります。
また、混雑緩和のため1日を、(1)9時30分~12時00分/(2)12時00分~14時30分/(3)14時30分~16時30分に区切り、その時間枠内にご入場いただけます。
指定時間枠内であればいつでも入場いただけますが、各時間枠の開始時刻直後は混雑が予想されます。
開始時刻から多少遅れてのご来館がおすすめです。
詳しくは展覧会公式サイトをご覧ください。
特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」 本館 特別5室 2021年6月22日(火) ~ 2021年9月12日(日) |
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カテゴリ:2021年度の特別展
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posted by 江原香(広報室) at 2021年06月30日 (水)
当館は6月1日(火)より開館しております。詳細は「再開館のお知らせ」のページをご覧ください。 今回のブログでは、緊急事態宣言の発令前に開催した、特別展「最澄と天台宗のすべて」の報道発表会の様子をご案内します。 なお、展示作品、会期、展示期間等については、今後の諸事情により変更する場合があります。 最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。 |
重要文化財 薬師如来坐像 平安時代・12世紀 岐阜・願興寺(蟹薬師)蔵
展示会場:東京国立博物館
最澄にゆかりの深い薬師如来像や、天台宗の祖師にちなんだ尊像など、全国7つものお寺から貴重な秘仏が東京国立博物館へお出ましになります。
そのなかには、重要文化財「薬師如来立像」(京都・法界寺蔵)や重要文化財「薬師如来坐像」(岐阜・願興寺〔蟹薬師〕蔵)といった寺外初公開となる秘仏本尊も含まれます。
秘仏本尊が寺外にお目見えするだけでも非常に稀なこと。
東京に居ながらにして、これだけの秘仏とご対面できる機会は滅多にありません。
カテゴリ:2021年度の特別展
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posted by 新井千尋(広報室) at 2021年06月08日 (火)
カテゴリ:2021年度の特別展
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posted by 古川攝一(平常展調整室) at 2021年06月03日 (木)
特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」は、現在わかっている鳥獣戯画巻の全ての場面をご覧いただけるよう、高山寺蔵の国宝4点に加え、かつてその一部だった断簡と、今は失われている場面を過去に写した模本、さらに、鎌倉時代に高山寺を再興した明恵上人にかかわる文化財も加えて鳥獣戯画の世界をあますところなくご堪能いただく企画です。
展示作品のうち3点は、海外からお借りした掛軸です。コロナ禍で昨年夏開催の予定が延期となり、いったんは白紙となったものの、新しい会期での貸与を改めてご検討いただき、幸いにもお借りすることができました。
釈教三十六歌仙絵巻断簡 貞慶上人・明恵上人 南北朝時代・貞和3年(1347)
The Cleveland Museum of Art, Mr. and Mrs. William H. Marlatt Fund 1985.88
通常、作品貸与にあたっては、作品を所蔵する美術館から職員(コレクション管理担当者や保存修復担当者など)が作品に随伴してくるのですが、日米双方の感染症対策のため、国内外での人の移動に制限があり、来日できません。そのため、クリーブランドからお借りした作品については、輸送から点検、展示の一連の作業をリモートで確認していただくことになりました。
作品が日本に到着し、無事展示されるまでの一端をリポートします。
まず、作品が空港に到着すると、飛行機から作品の入ったクレートを下ろし、トラックに積み込みます。トラックに積み込むところから、日本とアメリカの輸送会社が写真のやり取りをして、各作業工程を現地の係員に確認してもらいました。
空港の制限エリア内での通話はできないので、コミュニケーションアプリを通じて写真のやり取りをしました。
飛行機から降ろされたクレートの入った貨物コンテナ
作業の様子を写真に撮って送ります
博物館に到着後、収蔵庫で環境にならし、数日後に展示です。
展示の際は、特別展用の収蔵庫からクレートを運ぶ様子をTeamsで中継、クレートの移動の様子から、クレートから作品を取り出し、点検、展示するまでを所蔵美術館の職員に確認してもらいます。
クリーブランド美術館でこの作業を担当されたのは、3人。学芸員のシネ―ドさん、レジストラーのグレッチェンさんは、昨年の当館の専門家交流事業に参加されました。また、保存修復担当のサラさんは、2014年に当館で行ったクリーブランド美術館展の際、保存担当として来日されました。いずれも当館館内の様子はよくご存じです。
先方とやり取りをしながら進めます
点検は、今回は館外の保存修復の専門家のご協力を得ました。
作品点検中、気になるところはズームアップし、確認しながら作業を進めていきます。
見づらいところはPCを近づけて確認いただきました
作品には特に問題もなく、ほっとしたところで、展示にかかります。
展示作業もご覧いただき、必要な時はご指示をいただきます
無事に作業終了することができました
現地は夜にもかかわらず、ご自宅からこちらの作業を見守っていただいたのは感謝の一言に尽きます。
アメリカ各地で感染爆発の中、クリーブランド美術館も一時期感染症対策のため閉館となっていましたが、今は活動を再開、地域の方々が多く来館されています。
こうした非常時にもかかわらず、この展覧会にご出品をご快諾いただいたことに、改めて心よりお礼を申し上げたいと思います。これは、クリーブランド美術館と当館との長い交流ではぐくんだ友情の賜物でもあるかと思います。
初めてのリモートでの作業は大変でしたが、よい経験になりました。
新しい日常の中、このような新しい展覧会作業も増えていくのかもしれません。
簡単に海外に渡航できない日々がまだまだ続きますが、文化財を通して、世界との交流を感じていただければ幸いです。
カテゴリ:2021年度の特別展
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posted by 鬼頭智美(広報室長) at 2021年04月20日 (火)