特別展「ポンペイ」ポスター
ほほーい!ぼく、トーハクくん。博物館ニュースはこれからの展示や今の展示を知るのに便利だほ。おっ、これはなんだほ、2022年1月14日(金)から4月3日(日)まで特別展「ポンペイ」っていう展覧会が開催するほ。「ポンペイ」ってなんだほ?
「ポンペイ」はイタリアの南のほうにあった、古代都市の名前よ。
古代都市!?どれくらい昔ほ?
約2000年前くらいにあった都市だわ。でもね、紀元後79年にポンペイの近くのヴェスヴィオ山が噴火して、町は地中に埋まってしまったの。
・・・(絶句だほ)
でもね、その埋まってしまったものの発掘は18世紀ごろからはじまって今も続いているの。発掘した膨大な遺物をコレクションしているのがナポリ国立考古学博物館。そのナポリ国立考古学博物館の至宝約150点をこの展覧会で紹介するのよ。
長い間埋まっていたなら、ボロボロになっていると思うほ。展示できるものがあるほ!?
見てごらん。
通称「青の壺」
とてもきれいだほ。細かい模様もあってすごいほ!
カメオ・ガラスと呼ばれる技法で制作された容器で、完全な形のまま残っているのはとても貴重らしいわ。
どんな作品がくるかわくわくしてきたほ。こういうポンペイの人たちが使っていた作品を展示するほ?
ポンペイの街にあった施設に関係するものや、暮らしや仕事ぶりがうかがえるもの、ポンペイが栄えた歴史を示すものなどが展示されるのよ。
ポスターに書いてある「そこにいた。」ものを見つけられそうな気がしてきたほ。ユリノキちゃん、ほかの作品も教えてほ!
じゃあ、いくわよ!まず、ポンペイの街の施設に関係する作品よ。
辻音楽師
チラシに載っている作品だほ。まん中の人はカスタネットみたいなものもっているほ。
喜劇の仮面をかぶって、楽器を演奏する小さな楽団が、どこかの家を訪問している場面らしいわ。今の日本だと想像しにくい場面だけど、ポンペイがあった地方は演劇が盛んだったのよ。
ほー。ということはなんだほ?
演劇の会場となる劇場が賑わう様子を想像できない!? 次は、ポンペイの人びとに関係する、こちらの作品よ。
書字板と尖筆を持つ女性(通称「サッフォー」)
女の人の絵だほ。何かメモしようとしているほ?
そうね、筆をもっているし、何か考えているような表情だわ。ナポリ国立考古学博物館で最も有名な肖像の一つなのよ。
とてもかしこそうにもみえるほ。頭の髪飾りも金に見えて、豪華だほ。
次は暮らしに関係する作品よ。
パン屋の店先
炭化したパン
パン屋さんとこれはパン?2000年前にもパン屋さんがあったなんてびっくりだほ。
当時も主食はパンだったのよ。この絵に描かれたものと似た形のパンを発掘できたから、あわせて展示するの。最後はポンペイが栄えた歴史に関係する作品よ。
踊るファウヌス
誰だほ?
牧神ファウヌスとされるブロンズ像よ。ポンペイで最も大きくて、とっても古い家から発見されたの。この像があったからこの家は「ファウヌスの家」と名づけられたのよ。ほかにも「竪琴奏者の家」、「悲劇詩人の家」っていう、ポンペイが栄えた歴史を示す家に関連した作品や、その頃の家の様子の一部を会場内に再現するのよ。
すごい気合の入れようだほ。
すごいのよ。「ポンペイ」展は日本、そして世界のいろいろな博物館で開催しているけど、特に「ファウヌスの家」に関連した作品がナポリ国立考古学博物館を出て、まとめて展示されることがとても珍しいの。最大の見どころだと思うわ。
ユリノキちゃん、なんか今回はいつにもまして詳しいほ。なんかずるしているほ?
あれ、トーハクくんは10月18日(月)に開催した報道発表会に行かなかったの?私はそこに行って予習したのよ。
がーんだほ。見逃したほ。
展覧会公式Twitterでも作品を紹介しています。皆様そちらもぜひご覧くださいね。
※所蔵表記のない作品図版はすべてナポリ国立考古学博物館蔵 Photos©Luciano and Marco Pedicini
※日時指定券は2022年1月5日(水)より販売開始予定。
「日時指定券」の事前のご購入・ご予約(オンラインのみ)をお勧めしています。会場でも当日券をご購入いただけますが、混雑状況により入場をお待ちいただく場合や、当日券の販売が終了してている場合があります。
詳細は展覧会公式ウェブサイトでお知らせします。
カテゴリ:トーハクくん&ユリノキちゃん、2022年度の特別展
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2021年10月29日 (金)
早くも残りひと月!特別展「最澄と天台宗のすべて」のみどころをご案内
去る10月12日(火)、平成館の特別展示室にて、伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」(11月21日(日)まで)が幕を開けました。
それからあっという間に2週間が経ち、6週間の会期のうち、早くも三分の一が過ぎ去ったことに……。
そう、本展は当館の特別展としては開催期間が短めなのです。
「秋の日は釣瓶落とし」と申しますが、うかうかしているうちに本展の閉幕もすぐそばまで来てしまいそう。
会期が残りひと月を切ったところで、会場の様子を少しだけご覧いただきながら、改めて本展のみどころをご紹介いたします。
平安時代のはじめに日本天台宗を開いた最澄の1200年大遠忌を記念し、天台の名宝を通じて、天台宗の歴史と広がりをご紹介する本展。
当館での開催後は、九州国立博物館と京都国立博物館へ巡回しますが、各地の地域的な特色を示すべく、作品のラインナップは会場ごとに大きく異なります。
そうしたなか、東京会場のみどころのひとつが、会場入口からほど近い位置にずらりと並ぶ、こちらの平安絵画です。
国宝 聖徳太子及び天台高僧像(一部複製)
平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵
※原品の展示期間は各幅ごとに異なります。展示期間は作品リストでご確認ください(PDFが開きます)
インド・中国・日本の天台ゆかりの人物たちを描いた、全10幅の作品です。
11世紀の仏画はとても稀少なうえ、現存最古の最澄の肖像画(写真右から2幅目)を含むという点でも貴重とされます。
会期中に入れ替えを挟みつつではありますが、10幅すべてを展示するのは3会場のうち当館だけ。
さらに、11月2日(火)~7日(日)の6日間限定で、10幅の原品を揃ってご覧いただくことが可能です!
またその前後の期間も、写真のとおり複製を交えて展示しているため、10幅のスケールを体感していただけます。
会場の先へ歩を進めると、そこには、寺外初公開となる京都・法界寺の秘仏本尊が皆様を待ち受けています。
像内に最澄自刻の薬師像を納めていた、最澄にとてもゆかりの深い像です。
重要文化財 薬師如来立像
平安時代・11世紀 京都・法界寺蔵
厨子の奥深くで守り伝えられてきた秘仏と東京で対面し、360度からその姿を堪能できる贅沢。
ポスターやチラシにも登場する像ですが、写真で見る以上にほっそりとして優美な腕まわりや、光を受けてきらりと輝く截金(きりかね)文様は、ぐるりと回りながら拝観してこそ味わえるものです。
東京会場には、こうした秘仏が全部で9件もお出ましいただいています。
なかには京都・真正極楽寺(真如堂)の阿弥陀如来立像(11月3日(水・祝)まで)のように展示期間に限りのある秘仏も含まれるため、ご来館の際にはご注意ください。
法界寺の秘仏に別れを告げてさらに進めば、最澄の後を継ぎ、密教を取り入れながら日本天台宗の教えを発展させた弟子たちにちなむ文化財の数々が並びます。
天台宗の歴史を時系列に沿ってご紹介しているのも、本展のポイントです。
重要文化財 不動明王坐像
平安時代・10世紀 滋賀・伊崎寺蔵
こちらは滋賀・伊崎寺の秘仏本尊です。
平安時代前期に活躍し、千日回峰行を創始したと伝わる相応和尚(そうおうかしょう)にゆかりがあるとされます。
目をカッと見開き、下の歯で上唇を噛んだ、凄まじい形相が印象的。
ちなみに、荒行として名高い千日回峰行に挑む行者の壮絶な様子は、展示室内のモニターでも映像にてご覧いただけます。
重要文化財 紺紙金銀交書法華経 八巻のうち巻第七(部分)
平安時代・11世紀 滋賀・延暦寺蔵
天台宗の教えの根本を担うのが、「悟りに至る道はすべての人に開かれている」という平等思想を説いた『法華経』です。
10世紀になると、末法の世を背景に天台浄土教が大成され、多くの人々から支持を得るようになります。
極楽往生を願う平安貴族たちは、功徳を得るために『法華経』を読み、書写することに精を出したそう。
「紺紙金銀交書法華経」のように装飾性の高い写経は、救いを求める平安貴族の想いを体現したものです。
本作品では、金泥と銀泥を1行ごとに使い分けながら、紺紙に『法華経』が書き写されています。
そして中世の天台宗は、『法華経』の思想から多様な展開を遂げることになります。
日本の神々の元の姿は仏であったとする「本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)」のもと、比叡山の鎮守である日吉山王社への信仰が盛んになり、「山王神道」と呼ばれる天台宗特有の神仏習合思想が生まれました。
本展ではこうした中世における天台宗の様相もご紹介します。
さらに時代が下り江戸時代になると、東叡山寛永寺が創建され、関東での天台宗発展の基礎が築かれました。
なんといっても当館は寛永寺のお膝元!
そうした立地を活かし、華麗な江戸天台の美術をまとめてご覧いただける点も、東京会場の特長です。
特に絵画は色彩が鮮やかに残っている作品も多く、ひときわ目を楽しませてくれます。
左 熾盛光曼荼羅図
江戸時代・寛永9年(1632) 栃木・輪王寺蔵
展示期間=10月12日(火)~31日(日)
右 摩多羅神二童子像
江戸時代・元和3年(1617) 栃木・輪王寺蔵
展示期間=10月12日(火)~31日(日)
そうそう、本展には撮影可能なエリアもあります!
それがこちらの、延暦寺根本中堂の再現展示です。
延暦寺 国宝 根本中堂(内陣中央の厨子)の再現
「根本中堂」とは、最澄が建てた草庵に由来する比叡山延暦寺の総本堂です。
堂内には、最澄自刻と伝わる薬師如来像と、最澄が灯して以来消えたことのない「不滅の法灯」が安置されています。
今回は堂内の様子を、部分的にではありますが、原寸大で展示室に再現しました。
写真手前に3基並んでいるのは、かつて根本中堂内で「不滅の法灯」を納めており、今は現役を退いた先代の燈籠です。
堂内の厳かな空気が伝わってきます。
再現展示エリアを抜ければ、全国各地で大切に守り伝えられてきた尊像の数々が皆様をお迎えします。
天台宗が比叡山延暦寺から東国へと広まっていった、その足跡を窺わせるラインナップです。
なかには、最澄が延暦寺根本中堂の薬師如来像と同じ木から掘り出したと伝えられる秘仏や、驚きの大きさを誇る秘仏も!
その姿は、会場にてご自身の目でお確かめください。
はるかな時を超え、たくさんの人々を介して伝えられてきた天台の教え、そしてその精神を表す宝物は、今を生きる皆様にはどのように見えるでしょう。
ぜひ、1200年の厚みと凄みを本展で体感していただければと思います。
※会期は11月21日(日)まで。会期中、一部作品の展示替えを行います。
また、本展は事前予約制を導入しています。
展示作品やチケットの詳細については、展覧会公式サイトをご確認ください。
カテゴリ:彫刻、絵画、2021年度の特別展
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posted by 新井千尋(広報室) at 2021年10月26日 (火)
「博物館でアジアの旅」(通称「アジ旅」)は、さながら時空を越えてアジア各地を旅するように、トーハク東洋館の各展示室を巡りながら、そこに散りばめられた様々な対象作品を探しつつご観覧いただく、という趣旨の企画です。
「空想動物」をテーマとした今年のアジ旅は、企画名称を「博物館でアジアの旅 空想動物園」(10月17日(日)まで)といたしました。近くの上野動物園に行くと、園外にも動物たちの鳴き声が聞こえてきます。大人も子供も入園前から心が躍り、普段は見られない多くの動物たちに実際に出会うと感激もひとしお。アジ旅での空想動物たちとの出会いも、ぜひ動物園のようにワクワクしながら楽しんでいただきたい、企画名称にはそのようなメッセ―ジも込められています。
企画をより楽しんでいただくために、今年はアジ旅専用の「調査ノート&シール」をご用意しました。イベントページをご参照のうえ、ぜひご利用いただけますと幸いです。
さて、前回のアジ旅ブログでは、主役級の空想動物「龍」と、龍とは異なる運命をたどった「饕餮」に注目して、それぞれの歴史的な歩みをご紹介しました。
今回は登場する残りの空想動物をできるだけ多くご紹介し、その魅力についてお伝えできればと思います。
博物館でアジアの旅 空想動物園 編集・発行:東京国立博物館 定価:550円(税込) 全24ページ(オールカラー) 1089ブログでご紹介できなかった作品を含む、全出品作品55点の画像を掲載。 東博に集まった世界各地の多彩な空想動物について、くわしく解説したガイドブックです。 |
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カテゴリ:博物館でアジアの旅
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posted by 六人部克典(東洋室研究員) at 2021年10月06日 (水)
熱い食べ物が苦手な人やその状態を「猫舌」と言いますが、これは猫という存在を知っていることが前提であって、猫を知らない人たちには伝わらない表現といえるでしょう。漢時代に司馬遷が記した歴史書『史記』には、孔子が老子との面会をおえて、「老子は龍のようなお方であった」と弟子たちに語る場面が採録されています。『史記』ではこの龍のくだりに関して注釈や補足をしていませんので、(孔子と老子が実際に面会したかはさておき)当時の人々にとって、龍は具体的に思い浮かべることのできるものであり、かつそれは共通のすがたであったことを示唆しています。
龍は、現代の生物学的な知識のうえでは、その実在は否定されるかもしれません。ところが、古代の記録や文物には、これでもかと龍が登場します。龍だけではありません。ありとあらゆる空想動物が隠れることもなく、むしろ堂々と至るところに表されているのです。そうした空想動物に焦点を当てた「博物館でアジアの旅 空想動物園」が、9月14日から東洋館で絶賛公開中です。「博物館でアジアの旅」とは、毎年ひとつのテーマのもとで東洋館をめぐっていただく企画で、今年で8回目を迎えます。
さて、いま私たちが思い浮かべる龍の姿とは、元時代の壺にあらわされた龍(図1)のようなものですね。ではこうした龍はいつ頃生まれたのでしょうか。漢時代の鏡にあらわされた四神のうちの青龍(図2)をご覧いただきますと、体は四足獣のそれを思わせますが、ツノがあることや面長で首が細く長いさまから、龍として申し分のない姿といえそうです。さらにさかのぼり、西周時代の玉器の龍(図3)をご覧いただきますと、面長で胸が蛇腹状になっている点などから龍ともいえそうですが、これを龍とすべきかは意見が割れそうです。この問題は、あたかも平地と山とを考えたときに、どこまでが平地でどこからが山なのか明確には判じがたいことに似て、曖昧な要素を多分に含んでいるのです。
(図1)青花龍濤文壺(部分) 中国、景徳鎮窯 元時代・14世紀 東京国立博物館蔵 東洋館5室にて通期展示
(図2)方格規矩四神鏡(部分) 中国 後漢時代・1世紀 横川民輔氏寄贈 東京国立博物館蔵 東洋館5室にて通期展示
(図3)玉龍 中国 殷~西周時代・前13~前8世紀 東京国立博物館蔵 東洋館4室にて通期展示
龍がすがたを変えながらも古来一貫して存在し続けたのに対し、龍と同じくらい古くから存在する饕餮(とうてつ)は、それとは異なる運命をたどってきました。饕餮が青銅器などの器物に積極的にあらわされるのは今から3000年以上むかしの殷王朝(商王朝ともいいます)の頃。立派なツノ、ひときわ大きな瞳、鋭い牙をのぞかせた口が特徴で、真正面を向いた姿であらわされます(図4)。その後、西周そして春秋戦国、さらには漢へと時代がうつろいゆくなかで饕餮はしだいに影をひそめ、唐時代には絶滅したと思えるほどにその姿を確認することはできなくなります。ところが今から1000年ほど昔、唐のあとの宋の時代になって、饕餮は復活を遂げるのです。もう少し正確にいいますと、殷など古い時代の器物にあらわされたこの怪物を「饕餮」だとあらためて比定したのが、この宋時代の知識人たちだったのです。その一人、呂大臨という学者は、『呂氏春秋』という古典に記載された「周の鼎には饕餮をあらわす。頭があり身体はなく、人を食らう…」という一節に注目し、かのいにしえの青銅器にあらわされている怪物は饕餮という名前であると断定し、そのことを『考古図』という著作にのこしました。呂大臨が器物上の図像と古記録上の記載とを結びつけたことのインパクトは大きく、ここに饕餮はひとつのすがたを確立させるに至ります。それは顔だけの生き物で、口は大きく、人を食らうほど鋭い牙をもったすがたです。清時代の七宝でつくられた器物の饕餮(図5)などはまさにこうした北宋以降に形成された饕餮の概念を継承・発展させ、図像化したものといえるでしょう。現在、考古学的には青銅器にあらわされた怪物についてひとつの名前でもって示すことができず、単に獣面と呼ぶことが多く、その正体は天帝であるとか祖先神とか土地神であるとかいろいろな考えがなされています。ただわたくしは、「饕餮」というものをもう一度よくよく再検討してみてもよいのではと思っています。龍についてもしかり。このような機会に、もう一度龍についても考えを深めてみたいと思っています。
(図4)饕餮文鼎 中国 殷時代・前13~前11世紀 東京国立博物館蔵 東洋館5室にて通期展示
(図5)饕餮七宝卣 中国 清時代・19世紀 神谷伝兵衛氏寄贈 東京国立博物館蔵 東洋館9室にて通期展示
さて、このブログの前半で、山と平地を引き合いに出しました。国土地理院は、「山の始まりは、どこですか?」という質問に対し、まず「国土地理院では、山の定義はしていません」と強烈な先制パンチをくりだしたあとで、「もしあなたが、山の始まりはどこ? という興味をもったなら、その山の前に立って、この辺が山の始まりかなというところを感じて探してみてください。」と名回答をしています(国土地理院ウェブサイト「国土の情報に関するQ&A」)。私も「どこからが龍ですか?」と聞かれたら、「東洋館で龍とおぼしき作品と向き合って、この辺が龍の始まりかなというところを感じて探してみてください。」とお答えしたいと思います。
カテゴリ:博物館でアジアの旅
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posted by 市元塁(東洋室長) at 2021年09月28日 (火)
ほほーい! ぼくトーハクくん9月4日(土)から表慶館で「春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46」が開幕したほ!
早速見に行こうよ、トーハクくん。事前予約はしておいたわ。
ありがとうだほ、ユリノキちゃん。表慶館エントランスホールにきたほ。ユリノキちゃん、ところでどんな展覧会だほ?
表慶館エントランスホール
春夏秋冬の花が表された7点の日本美術を乃木坂46のメンバーと重ね合わせて紹介する展覧会なのよ。
ほ?具体的にどうやってほ?
メンバー一人ひとりを日本美術の花に見立て、それに基づいて行ったパフォーマンスの映像を流すのよ。映像の近くには関連する日本美術の複製品があって、複製と映像のある展示空間そのものを作品とみなしているわ。
会場では複製の作品のみ展示しているほ?
そうよ。だけど、これまでトーハクでは見たことのないような展示が体験できて、今まで文化財に興味がなかったような人にも、文化財の魅力を感じていただけると思うわ。
ぼくはもともと文化財が大好きだほ!だけど、この展示もなんだかわくわくしてきたほ。さっそく展示室にいくほ。屛風と大きなモニターがあるほ。
複製作品:国宝 花下遊楽図屛風 狩野長信筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
パフォーマー:齋藤飛鳥
「花下遊楽図屛風」に描かれた桜を連想させるようなパフォーマンスが映し出されているのよ。このモニターの前にはスリットカーテンがあって、まず、そのカーテン越しにパフォーマンスを見るわ。
「花下遊楽図屛風」にかいてある幕の間から宴会を覗く人の気分で見れるみたいだほ。
トーハクくん、ほら「夏秋草図屛風」の複製があるわよ。
複製作品:重要文化財 夏秋草図屛風 酒井抱一筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
パフォーマー:(左)山下美月、(右)久保史緒里
僕も見たことあるほ。右側はにわか雨にうたれる夏草、左は強い風に吹かれている秋草がかかれていると聞いたことがあるほ。
季節の移り変わりと自然の何気ない一瞬が感じられるわね。パフォーマンスからもそれが感じられるわよ。
2階にも行くほ。同じ動きが繰り返されている映像が流れているほ。
複製作品:重要文化財 秋草図屛風 俵屋宗雪筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
パフォーマー:生田絵梨花
屛風に描かれている秋草がぐるぐるつながっているようにも見えるのを、表しているのかもしれないね。
あっ、こっちには、小さいモニターがたくさんあるほ、なんだほ?
複製作品:重要文化財 四季花鳥図屛風 伝雪舟等楊筆 室町時代・15世紀 東京国立博物館蔵
パフォーマー:星野みなみ、与田祐希
ゴーグルとかをかけなくても裸眼で3Dの映像を見ることができるのよ。様々な場面で変わっていく季節が順に表現されているわ。
3D映像のミニジオラマ
屛風にかいてある四季が体験できるみたいだほ。
そうね。ちなみに9月28日(火)から11月7日(日)まで、本館3室では複製のもとになった作品が展示されるわ。ほかには「夏秋草図屛風」が10月5日(火)から10月17日(日)まで、「秋草図屛風」が10月5日(火)から11月14日(日)まで本館8室で展示されるわ。表慶館のあと、本館に行って実際の作品も楽しんでもらいたいわ。
ユリノキちゃん、ほかにも花が描いてある作品がみたいほ。
会期中に本館で展示している花をテーマにした日本美術15件を公式サイトのこのページでも紹介しているわ。表慶館の中にもその紹介パネルがあって、QRコードから作品情報を見られるようにしているのよ。
パネルイメージ
四季を「いま」見られるなんて、すてきだほ!紹介はもう終わりにするけど、このほかにも展示はまだまだあるほ。僕たちが見た日はあいにくの雨だったけど、ほかの展覧会よりも雨を意識しながら見れた気がして、なんだか新鮮だったほ。
表慶館には自然光が差し込む場所もあるからかもしれないね。晴れの日に行ったらまた違う雰囲気かもしれないから、それも楽しみだわ。
ユリノキちゃん、11月28日(日)まで開催しているからまた行くほ!
※入館は事前予約制です。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。
カテゴリ:催し物、トーハクくん&ユリノキちゃん
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2021年09月13日 (月)