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140周年ありがとうブログ

たくさんのことにありがとう

振り返れば、博物館で仕事をさせて頂いてずいぶん月日が経ちましたが、(月並みですが・・・)アッという間であったという気も致します。

まず想い起こされることは、何よりも仕事として(生活はもちろん・・・)あらゆる活動の基盤が与えられたことへの感謝です。
また、多様で魅力的な収蔵品(コレクション)に触れる環境に恵まれたことへの感謝です。
着任時に、後輩から「宝の山に・・・」との少々“手荒な”祝福が寄せられたことを想い出します。

二つ目は、収蔵品が体系的に維持・管理されていることへの感謝です。
当館の収集活動は明治4年(1871)に溯りますが、100年以上前の収蔵品が現在も展示や調査等に活用されているところが重要です。まさに、不断の整理・登録と維持・管理の賜物です。
収蔵棚や収蔵箱、付属の札やラベルなど、さまざまな“痕跡”に看て取ることができ、警備・事務はもちろん、黙々と携わってこられた先輩職員の皆様のご苦労を実感しています。
先の戦争の空襲を避けるための疎開を含め、収蔵品の構成・データが実に多くの方々の努力で守られてきたことに感謝です。


1994年、平成館発掘現場で(背景の住宅は旧文化庁官舎)。

三つ目は、修理や公開の仕事で、ご支援頂いた多くの方々への感謝です。
収蔵品を公開するまでには、さまざまな調査・研究が必要です。よく知られた展示品(いわば“レギュラー選手”)の陰に隠れがちですが、“控え選手”の健康状態を整えることも博物館の大切な仕事です。
調査・修理とその過程の記録・展示・出版など、いずれも館内外の技術担当者(技術者)の方々の奮闘と努力を得て、はじめて実現できたものです。
専門外の撮影・計測・修理技術に関してもさまざま教えて頂き、また無理な注文(難題?)にその都度、予想もしなかった手法で新たな地平を見せて頂いたことは云うまでもありません。
本当にありがとうございました。

最後は、収蔵品をめぐる出会いへの感謝です。
展示・出版等への批評はもちろんですが、とくに列品解説などで熱心に耳を傾け、質問して頂いた皆様は大きな刺激となり(新人の頃には実は肝を冷やしたことも・・・)、励まされ支えられました。
また、魅力ある存在には人が集まります。
機関の研究者や出版・報道関係者との貸出・調査・撮影などを通じた交流では、十分な準備の上、熱意をもって真摯に接するその姿から、実に多くを学ぶことができました。
博物館の職員としてなすべきことや研究・社会的ニーズの水準を教えられ、また人間的な魅力も目の当たりに出来たことは幸いでした。


2010年特集陳列での列品解説の様子。
列品解説を通して、私がほうが学ぶこともたくさんありました。


このような仕事を通じた実に多くの方々から戴いた贈り物に、心から感謝しています。

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posted by 古谷毅(主任研究員) at 2012年12月27日 (木)