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140周年ありがとうブログ

トーハクの庭園・茶室にありがとう

こんにちは、台東区シルバー人材センターから派遣されている國島です。
私は、10年ほど前からトーハクの庭園・茶室の管理をしております。

仕事の内容は、まさに百聞は一見に如かず。
当初は、都心とは思えぬ天を衝くような大樹、下を向けば枯枝、落ち葉が山積しており、茶室は雨戸など建付けが悪く倒壊しそうな状態でした。
 
庭園の大樹たち
庭園の大樹たち


お客様に少しでも気持ちよく過ごしていただけるよう日頃心掛け、建物屋内外の手入れを加えてきておりますが、なかなか解消には至りません。
借りる側と貸す側との立場の違いはこの世の付きものです。
作業道具を購入していただき前向きに仕事をさせていただいておりますが、ある日トーハクの庭園をテレビ放映で見た時、旅先で訪れたある庭園を思い出しました。
トーハクには山があり、鳥が残した置きみやげの龍の髭が芽生えております。
旅先の庭園をヒントに、それを集積して植替え、通路サイドに繁殖させる作業を5年の歳月を掛け完了させたところ、グリーンのラインが元気に芽生えてきました。
その後、テレビ撮影等の画像を見た時はとても庭園らしく、自分でも満足しております。

応挙館と九条館の間グリーンのライン
応挙館と九条館の間グリーンのライン


春秋の庭園開放では、雨になると足元が悪く危険な為、閉鎖せざる得ない状況でしたが、砂利バラス等を敷いて、春草廬、六窓庵の通路の改修を行い、多少の雨でも閉鎖しないで済むようになりました。

春は誰でもが心身ともに働きだし、桜の開花を望みます。庭園にはファンも多く、何度も来る方がいらっしゃいます。
燈籠が無いとか、あの桜が無いとか、茶室の部屋を見学できないのかと色々なお問い合わせをいただきますが、お客様の心が丸く納まるよう、丁寧に対応することを心掛けております。

桜の開花より早く紫ピンク色の諸葛草が春草廬、九条館の横に咲き乱れ、足を止めてカメラを向けて満足そうに記念撮影されている方が多く、皆様魅了されて帰られます。
諸葛草の種を毎年収穫して撒き散らし、ピンクの絨毯に仕立ててきました。
初めて見る方も多く、会話中にトーハクの花咲かじいさんですねと笑わせてくれます。

 
庭園に咲く諸葛草
庭園に咲く諸葛草


桜は何本か老木で伐採され、その後に次の世代へと変りの苗を植樹しました。
三春の紅しだれ2本、八重桃1本を地元で仕入れ、何年後か次の世代へとお客様に楽しんでいただければ幸いに思っています。
秋は春に比べると見物が少ないため、思案件です。

庭園はトーハクの中の軽井沢です。四季を通じていろいろな鳥が飛来してきます。
池の周囲の豊富な餌を食べ満足して里帰りする姿は、仕事の苦労に安らぎを与えてくれます。


私の好きな場所、転合庵本館裏からの眺めは絶景です。
私の好きな場所、転合庵本館裏からの眺めは絶景です。
 

ここで一句。

茶会かな、晴れ着が似合う転合庵

カテゴリ:2012年7月

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posted by 國島勇(庭園・茶室管理委託) at 2012年07月30日 (月)