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140周年ありがとうブログ

古代エジプトのミイラにありがとう


パシェリエンプタハのミイラ エジプト、テーベ出土 第22王朝・前945~前730年頃 エジプト考古庁寄贈
(2013年1月2日(水)~3月3日(日)東洋館にて展示予定)

25年前に勤め始めた頃、このミイラは東洋館の隅っこで、ひっそりと展示されていました。
棺の「蓋」はありませんでした。
その後、人形(ひとがた)の「蓋」が「発見」されたので、展示ケースも新調し、平成7年から本体と並べて展示しました。

それに先立ち、当館と文化財研究所のスタッフが科学的調査をしました。
この時撮られた赤外線写真を用いて、エジプト学者・鈴木まどか教授は棺前面の銘文を解読し、
このミイラは明治37年の寄贈時の調書通り、「アンクムウトの息子、パシェリエンプタハ」のものと確認、
年代は第22王朝時代(前946/5~前735年)と結論づけました。

平成21年から東洋館は閉館中ですが、中高生などから観覧希望が多いので、
平成22年の夏だけ平成館で公開しました。

来春、東洋館が再開館する際は、久々にお出ましです。
私の学芸員生活とともにあった作品の中で、このミイラは手もかかるが、なぜか人気抜群で、印象深いものでした。
今までありがとう、そしてこれからも人気者であり続けて下さい。


発見された蓋です。こうやって何度も向かい合いました。

カテゴリ:2012年7月

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posted by 後藤健(特任研究員) at 2012年07月11日 (水)