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140周年ありがとうブログ

ここまで伝わった作品、伝えてくれた人々にありがとう

「感謝、感謝」が「謝謝」となる中国語と較べると、
「あることが難い」が「ありがとう」となる日本語はちょっと不思議です。

博物館にいて、一番楽しいことは、作品に触れること。
展示替で作品に触れている時、しみじみ楽しいなって思います。

本館13室にて
本館13室 触っている気分
(ガラス越しでも、気分は「触っている」)


私の専門は焼物です。
中でも茶の湯の焼物は、触れることでより深くその魅力が伝わってきます。
ケース越しにしかご覧いただけない皆様には申し訳なく思いながらも、触れているだけで楽しさがこみ上げてくるのです。

志野茶碗 銘 振袖
志野茶碗 銘 振袖 美濃 安土桃山~江戸時代・16~17世紀(展示予定は未定)
しっくりと手になじむまさに名碗。


そんな時に思うことが、「よくここまで伝わってくれたなぁ、ありがとう」という気持ちです。
作られる時に壊れてしまう。
使われながら壊れてしまう。
地震、火事、戦争、価値観の変化、そんなこんなをくぐり抜け、
数百年の時を越えた焼物達と、伝えてくれた人々に感謝です。
「伝わることは本当にあり難いことだよな」と思いながら、
その奇跡への感謝から出る言葉はまさに「ありがとう」。

カテゴリ:2012年2月

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posted by 伊藤嘉章(学芸研究部長) at 2012年02月01日 (水)