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今秋、正倉院宝物がトーハクへ

毎年秋に奈良国立博物館で開催している「正倉院展」をご存知ですか? 
とても貴重な正倉院宝物を一目見ようと、毎年大勢のお客様で賑わう展覧会です。正倉院宝物を見に、奈良国立博物館へ行くのを楽しみにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

朗報です!
今秋、正倉院宝物がトーハクにやってきます。

しかも、正倉院宝物を代表するような作品が来ます!

なぜかと言いますと、御即位記念特別展「正倉院の世界-皇室がまもり伝えた美-」をトーハクで開催するからです。会期は2019年10月14日(月・祝)~11月24日(日)です。

本展の報道発表会を5月17日(金)に行いましたので、その模様とあわせて本展をご紹介いたします。


展覧会概要の説明者は本展担当研究員である猪熊特別展室長



本展は天皇陛下の御即位を記念して、正倉院宝物を中心に、トーハクが所蔵する法隆寺献納宝物などをあわせて展示し、古代の日本の国際色豊かな文化を紹介するものです。

まず、この展覧会の骨子である、「正倉院宝物」、「法隆寺献納宝物」についてご説明します。


正倉院宝物とは?



正倉院宝物は、光明皇后が聖武天皇の御遺愛品をはじめとした品々を東大寺大仏に捧げられたことに由来します。およそ1260年にわたり人から人の手で守り伝えられてきた、世界的にも比類のない文化財です。また、日本で製作された美術工芸品や文書類のほか、海外から伝来した国際色豊かな品々があります。また、古代の技術や人々の交流を示すものでもあります。

法隆寺献納宝物とは?



明治11年(1878)に法隆寺から皇室に献納され、昭和22年(1947)に国へ移管された宝物300件を指し、現在はトーハクが所蔵しています。正倉院宝物が8世紀の作品が中心であるのに対して、それよりも一時代古い7世紀の宝物が数多く含まれていることが大きな特色で、正倉院宝物と双璧をなす文化財として高い評価を受けています。

両宝物は同じ用途に製作された作品でも、時代や素材により造形美が異なります。それぞれの特色を間近でご覧いただけるように展示する作品もございます。


(右)漆胡瓶[しっこへい] 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物
(左)国宝 竜首水瓶[りゅうしゅすいびょう] 飛鳥時代・7世紀 東京国立博物館(法隆寺献納宝物)
展示期間:11月6日(水)~24日(日)

どちらも異国風の水差しですが、形や文様の違いを見比べてください。


(右)伎楽面 酔胡王[ぎがくめん すいこおう] 奈良時代・宝亀9年(778) 正倉院宝物
(左)重要文化財 伎楽面 酔胡王 東京国立博物館(法隆寺献納宝物)
展示期間:10月14日(月・祝)~11月4日(月・休)


伎楽は、中国南部(呉)に由来するセリフを伴わない音楽劇です。これは、酔っぱらった胡の国(ペルシア等の西アジア)の王様が従者を従えて舞い踊る演目に用いられた面です。

両宝物の夢の共演をぜひご堪能ください。


そしてこのほかにも、正倉院宝物の代表作を公開!


螺鈿紫檀五絃琵琶[らでんしたんのごげんびわ] 唐時代・8世紀 正倉院宝物 
展示期間:10月14日(月・祝)~11月4日(月・休)


螺鈿の装飾は圧巻です。会場では背面の装飾もぜひご覧ください。


紫檀木画槽琵琶[したんもくがのそうのびわ] 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物 
展示期間:11月6日(水)~24日(日)


撥[ばち]が当たる部分には馬に乗って狩猟を行う人物や山中での酒宴の様子が描かれています。


「法隆寺献納宝物とあわせて展示することはわかったが、奈良国立博物館で開催する『正倉院展』と何が違うのか」と疑問に感じる方はいらっしゃるかもしれません。サブタイトルの「皇室がまもり伝えた美」にご注目ください。本展では、正倉院宝物の保存の歴史や、今なお行われる保存の取り組みについても、正倉院宝物以外の資料もお見せしながらご紹介します。宝物が時の皇室による保護のもと、人から人へと守り伝えられてきたことをぜひ実感してください。


さらに「トーハクで正倉院宝物を展示するのなら、毎年秋に開催している奈良国立博物館の『正倉院展』はどうなるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

安心してください。奈良国立博物館も秋に「正倉院展」を開催します。
実は、今回の報道発表会はトーハクと奈良国立博物館の合同報道発表会でして、正倉院宝物が見られる両展をご紹介する場でもありました。


「正倉院展」概要の説明者は奈良国立博物館内藤学芸部長


東京でも奈良でも正倉院宝物を見ることのできる今年の秋。皆様今からわくわくしてきませんか。ぜひ両展どちらもご覧ください!

カテゴリ:2019年度の特別展

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posted by 柳澤想(広報室) at 2019年05月23日 (木)