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【美を紡ぐ 日本美術の名品展】6月2日まで開催中!

世間を賑わした大型連休が終わりましたが、連休まっただなかの5月3日に開幕した特別展「美を紡ぐ 日本美術の名品―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」は、6月2日まで当館本館で開催中です。


本館エントランス

令和の幕開けを記念する本展では、教科書でもおなじみの日本美術の名品を公開するとともに、
脆弱[ぜいじゃく]な材質で作られているこの国の美術品を未来に伝えていくための文化財修理の取り組みについてもご紹介しています。

さっそく本展の見どころをご案内しましょう。


1.唐獅子[からじし]が、そろい踏み!!


狩野永徳・狩野常信筆「唐獅子図屛風」宮内庁三の丸尚蔵館

右側は、桃山美術を象徴する作品として知られる、狩野永徳(1543~90)の唐獅子[からじし]図。永徳は織田信長や豊臣秀吉に重用された絵師でした。

ところで、この作品は、単独で本やテレビで紹介されることがほとんどですが、もう一つの屛風とペアになっています。
それが、左側にある、永徳のひ孫で、幕府御用絵師のうちもっとも高い格式をもつ奥絵師をつとめた狩野常信[つねのぶ](1636~1713)の唐獅子図です。

近年、永徳の屛風が17世紀前半に毛利家の萩[はぎ]城から江戸へ送られたのではないかと指摘されており、常信は、永徳の約100年後に、曾祖父と対になる左隻の制作を任されたことになります。

改めてこの作品を眺めますと…永徳の獅子は本当に頭が大きい!!
飲み込まれてしまいそうな迫力です。
永徳と常信の唐獅子が並んで展示される機会はあまり多くないので、この機にぜひご覧ください。


2.実は、永徳[えいとく]もそろい踏み!


左から「唐獅子図屛風」、伝狩野永徳筆「四季草花図屛風」(部分)宮内庁三の丸尚蔵館、国宝 狩野永徳筆「檜図屛風」(部分)東京国立博物館

唐獅子図から次へ進むと、同じく永徳一門が描いたという2つの作品が見えてきます。
秀吉が正親町[おおぎまち]天皇の孫・智仁[としひと」親王のために造営した八条宮家御殿の旧襖絵[ふすまえ]です。

金地に力強い筆線と鮮やかな絵具で、被写体をどアップに描いたこれらの障壁画に囲まれて、豪壮な桃山文化の息吹を感じてください。


重要文化財 芦穂蒔絵鞍鐙 東京国立博物館

実は、大画面ばかりではないのです。
秀吉が所用し、永徳が下絵を描いたという伝承のある芦穂蒔絵鞍鐙[あしほまきえくらあぶみ]も展示しています!
限られたモチーフによる大胆なデザインは、障壁画にも通じるような気がしますね!
 

3.皆さんご存知のお祝いの歌


伝藤原公任筆「古今和歌集 賀歌三首」(大色紙) 宮内庁三の丸尚蔵館

胡粉[ごふん]と雲母[きら]で表された、白い文様が美しい料紙に、お祝いの和歌3首が、流れるような書体で書写されています。
最初の和歌は、
「我君[わがきみ」は千[ち」よにましませ
さゝれいしのいはほと
なりてこけの
むすまて」
とあります。

『古今和歌集』巻7に収められた、読み人知らずの和歌です。
初めの句がのちに「君が代は」となって伝えられ、日本の国歌となりました。
新しい時代の門出にふさわしい作品です。

展覧会最終日の6月2日まで、残り2週間をきりました。

どうぞお見逃しなきよう、上野までお越しください!

カテゴリ:2019年度の特別展

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posted by 鷲頭桂 at 2019年05月21日 (火)