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新しい年を祝う鳥たち

新年、明けましておめでとうございます。

当館では毎年正月にちなんだ特集展示を行っており、今年は平成29年の干支である酉にちなんで、「暁の鳥」「祝の鳥」の二つのテーマのもとに、鳥を表わす美術工芸品を展示します。
まず「暁の鳥」について。十二支は動物に例えられ、十二支の酉は鶏の姿で表現されることが通例です。鶏は鳴いて夜明けを告げる人間に身近な家禽であるとともに、赤い鶏冠や長い尾羽根の姿が美しかったためか、美術工芸品のモチーフとしても親しまれました。天子の政治を諫(いさ)める太鼓が善政のうちに不要となって鶏の遊び場となった「諌鼓鶏(かんこどり)」という太平の世を表わす主題や、鶏同士を闘わせる「闘鶏」という遊戯を主題とする作品などが制作されました。そのような鶏をモチーフとする作品、そして鶏と人との関わりを表した作品を展示します。

竹鶏図
重要文化財 竹鶏図 蘿窓筆 中国 南宋時代・13世紀

鶏合せ 鈴木春信筆
鶏合せ 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀

そして「祝の鳥」について。色鮮やかな羽根を広げて空を舞う鳥の姿は美しく、美術工芸品のモチーフとして親しまれました。
鷹は高く飛翔するので隆盛、鶴は仙人が乗るので長寿、鴛鴦は雌雄が寄り添うので愛情などと、鳥のモチーフにはしばしば吉祥的な意味が込められました。また人間の豊かな想像力は中国の鳳凰や東南アジアのガルーダなどの空想鳥をも生み出しました。
鳳凰は鶏に取材した聖帝の治世に出現する瑞鳥であり、ガルーダは孔雀に取材した毒蛇を退治する聖鳥とされました。そのように、実在の鳥に限らず、空想鳥を含む鳥を表した作品を展示します。

花鳥図屏風 海北友雪筆
花鳥図屏風 海北友雪筆 江戸時代・17世紀


自在鷹置物
自在鷹置物 明珍清春作 江戸時代・18~19世紀


桐鳳凰蒔絵鞍
桐鳳凰蒔絵鞍 江戸時代・18世紀(小野逑信氏寄贈)


新しい年を祝う鳥たちの世界をお楽しみください。



博物館に初もうで 新年を寿ぐ鳥たち
2017年1月2日(月) ~ 2017年1月29日(日) 本館 特別1室・特別2室


 

カテゴリ:研究員のイチオシ博物館に初もうで特集・特別公開

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posted by 猪熊兼樹(出版企画室主任研究員) at 2017年01月06日 (金)