現在、平成館特別展示室で開催中の特別展「江戸☆大奥」(9月21日(日)まで)は、この度来場者10万人を達成しました。
これを記念し、東京都からお越しの橋本さん、松橋さんに当館館長藤原誠より記念品と図録を贈呈いたしました。
記念品贈呈の様子。左から松橋さん、橋本さん、グッズ「倭物やカヤ リバーシブル羽織」を着用した藤原館長
(注)「倭物やカヤ リバーシブル羽織」は販売を終了しております
日常的にお着物をお召しになられるというお二人。本日は、あの「大奥の世界」を見られる機会ということで、本展覧会に足をお運びいただきました。
メインビジュアルにも使用されている『千代田の大奥』に描かれた場面は、お二人にとっても思い出深い場所で、ご縁を感じられたとのこと。
大奥の華やかな調度品や染織作品の数々を堪能され、展覧会をお楽しみ頂けたとのご感想を頂戴しました。
知られざる大奥の真実を、遺された歴史資料やゆかりの品々を通して紹介する本展。19日からは後期展示もはじまりました。
美しい和刺繍で草花や風景を表わした掻取(かいどり)や小袖の数々に、大奥で演じられた歌舞伎の衣装なども展示しています。
この貴重な機会をどうぞお見逃しなく!
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posted by 田中 未来(広報室) at 2025年08月28日 (木)
特別展「江戸☆大奥」リレーブログ第3弾は、歴史の分野からお送りします。
カテゴリ:「江戸☆大奥」
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posted by 長倉絵梨子(書跡・歴史担当研究員) at 2025年08月22日 (金)
東京国立博物館 平成館で開催中の、特別展「江戸☆大奥」(9月21日(日)まで)。
カテゴリ:「江戸☆大奥」
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posted by 沼沢 ゆかり(文化財活用センター研究員) at 2025年08月15日 (金)
東京国立博物館では、この夏、期間限定で、特集「金工動物園」(本館14室、8月24日(日)まで)を開催しています(図1)。
(図1)特集「金工動物園」(本館14室)の展示風景
暑い夏に、クーラーの効いた展示室(クーラーの温度設定は文化財に合わせています)で、冷たい肌触りの金属でできた動物たちをご観覧いただき、涼んでいただければという企画で、全国の動物園で夏バテ気味の白熊くんもここでは元気にしています(図2)。
(図2)白熊置物(しろくまおきもの)
津田信夫作 昭和19年(1944) 第二復員局寄贈
今日も夏休みの家族連れや海外からのお客様で賑わうこの動物園には、「瑞獣(ずいじゅう)・霊獣」というコーナーがあって、犀(さい、図3)や麒麟(きりん)、獅子(しし)、龍などの想像上の動物が展示されています。
(図3)犀形鎮子(さいがたちんし)
江戸時代・19世紀
「自在置物」のコーナーにもいる龍を除けば、ほとんどが実在の動物ですが、その中に実在の動物をかたどりながらも霊獣的な要素をまとう、ちょっと「あやしい」動物がいます。今回はそんな動物を捜してみましょう。
まず思いっきりあやしいのは、「鯉水滴(魚跳龍門)(こいすいてき ぎょちょうりゅうもん)」(図4)です。
(図4)鯉水滴(魚跳龍門)
江戸時代・18~19世紀
鯉とかいいながら魚の顔でありません。平成のはじめに鶴岡市のお寺で目撃された人面魚の仲間でしょうか。
その正体は龍になろうとしている鯉です。鯉が瀧を登ると龍になるという故事が中国にあり、それを踏まえて作られたものです。今でもよく耳にする「登龍門(とうりゅうもん)」として知られるこの故事は、立身出世を象徴する話で、東アジアで好まれました。水滴は硯(すずり)で墨を擦(す)る際に使う水を入れる容器ですから、この水滴を使っていた人は、何か受験勉強のようなものに励んでいたのかもしれません。
次にあやしいのは同じケースの「蝦蟇水滴(がますいてき)」(図5)です。
(図5)蝦蟇水滴
江戸時代・18~19世紀 渡邊豊太郎氏・渡邊誠之氏寄贈
蝦蟇とはいいながら、体が真ん丸で不敵な目つきをしています。よく見ると後ろ足は1本だけ。いよいよあやしげです。似た蝦蟇を捜すと……
ここにいました。曾我蕭白(そがしょうはく)筆「蝦蟇鉄拐図屛風」(図6)の中に1本足で立っている蝦蟇(図7)がいます。この蝦蟇は妖術を使う蝦蟇仙人の使いの蝦蟇です。ただならぬ気配は、妖気によるものだったのですね。
この栗のようなものを背負った牛(図8)もよく見ると変です。栗のようなものはさておいても、前後の足の付け根に炎のようなものが見えます(図9)。何でしょうか。
背中の栗にようなものは宝珠(ほうじゅ)といい、仏教で信仰された、何でも願いを叶えてくれる力を持った不思議な玉です。この牛は体の中が空洞で、宝珠が蓋になっていて、お香が焚(た)けるようになっています。宝珠に孔(あな)が開いていて、ここから煙が出ます。牛は仏教と結びつきが深く、大威徳明王(だいいとくみょうおう)や焔摩天(えんまてん)の乗り物として登場します。角が長いのは仏教の生まれたインドにいる水牛を意識したものでしょう。炎のようなものは霊気の表現で、この牛が霊獣だということを示しています。黄色い電気のモンスターが「ピカッ」と光る稲妻のような尻尾をつけているのと似てますかね。
「宝字文南天柳瑞獣柄鏡(ほうじもんなんてんやなぎずいじゅうえかがみ)」(図10)にもちょっと不思議な動物(図11)がいます。鼻が長いのが特徴で、先程の「金銅臥牛香炉」(図8)の牛と同じく、前後の足の付け根から霊気を発しているので、霊獣とわかります。何者でしょうか。
正解は悪夢を食べてくれるという獏(ばく)です。体は熊、鼻は象、目は犀、足は虎、尾は牛に似るとされた中国生まれの合成獣で、龍や鳳凰(ほうおう)ほどではありませんが、日本にも伝わって造形化されました。この鏡では「難を転じる」という南天と組み合わせられて、逆鏡を救う願いが込められています。獏は東南アジアやアメリカ大陸にいるバクと似ているというので同じ名前になっていますが、元々は空想の動物なのですね。
他にもよく見ていくと、あやしげな動物が隠れています。動物と人間の距離が近く、人間がいかに動物にいろいろな思いを託してきたことか。夏の日の思い出に、普通の動物園にはいない、ちょっとミステリアスな動物を捜しに、展示室に来てみてください。
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posted by 清水健(工芸室) at 2025年08月07日 (木)
特集「創建400年記念 寛永寺」で味わう、上野の江戸文化(後編)
本館特別1室・特別2室では現在、特集「創建400年記念 寛永寺」を開催しています。
特別1室の第1~3章について前編ブログでご紹介しましたが、今回の後編ブログでは特別2室の第4~6章を見ていきましょう。
(注)会場は撮影不可となっております
第4章展示風景
第4章「徳川家の祈祷寺・菩提寺 近世仏教の造形」
寛永寺は、建立当初は徳川幕府や天下万民の安泰を祈る祈祷寺でしたが、3代将軍家光から4代将軍家綱の時にかけて、将軍家の菩提寺も兼ねるようになりました。また、寛永寺には6人の将軍と御台所などが葬られています。この章では、徳川将軍家ゆかりの寺院にふさわしい端正な造形を見せる仏画や仏像、仏具などをご覧いただけます。
文恭院殿葬送絵巻(ぶんきょういんでんそうそうえまき)
江戸時代・19世紀 東京・春性院蔵
文恭院は天保12年(1841)閏正月(うるうしょうがつ)7日に没した11代将軍家斉の諡号(しごう)で、本作品はその葬送の様子を描いています。
観音菩薩立像(かんのんぼさつりゅうぞう)
鎌倉時代・13世紀 東京・寛永寺蔵
上野の山から不忍池に臨む清水観音堂は、京都東山の清水寺を模したお堂で、天海により建立されました。本尊の千手観音像も清水寺から迎えられました。本尊の右側に本像が安置されています。整った優美なプロポーションが大変美しいです。
右:説相箱(せっそうばこ) 左:戒体箱(かいたいばこ)
ともに江戸時代・17~18世紀 東京・寛永寺蔵
寛永寺所蔵の美麗な仏具も多くご覧いただけます。
第5章「博物館とのつながり 博物館構内出土品」
当館の建っている場所には、かつて寛永寺の本坊がありました。本坊とは住職の居住する建物のことで、広い敷地の中にさまざまな用途の部屋をもった大きな建物がありました。この章では、当館の構内から発掘された焼塩壺や抹茶茶碗などを展示しており、当時の本坊での生活を垣間見ることができます。
第5章の展示風景
焼塩壺 焼塩壺蓋(やきしおつぼ やきしおつぼふた)
東京都台東区上野公園 東京国立博物館構内出土 江戸時代・17~18 世紀 東京国立博物館蔵
焼塩壺の中には、にがり成分を含んだ粗塩が詰められ、使用の際に壺ごと火に入れることで、苦味が抜けた焼塩をつくっていました。これらの焼塩壺が発掘された場所は、かつて寛永寺本坊の調理に関係する部屋があった場所であることが今回の展示に際しての調査でわかりました。
千葉・国立歴史民俗博物館の「醍醐花見図屛風」と一連のものであったといわれています。
本特集は8月31日(日)まで開催しています。その期間、当館から寛永寺に一番近い西門から退出していただけるようにもしていますので、展示をご覧になったあと、寛永寺まで足を延ばしていただく際に、是非ご利用ください。
完売しました。
本特集の公式図録をミュージアムショップで販売しています。作品のカラー図版やコラムのほか、江戸時代の寛永寺の地図上に現在の上野公園の主な施設を記載した「重ね地図」も掲載。上野ファン必携の一冊です。
編集・発行:東京国立博物館
定価:1,210円(税込)
全36ページ(オールカラー)
カテゴリ:研究員のイチオシ、news、彫刻、書跡、考古、特集・特別公開、工芸
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posted by 沖松健次郎(列品管理課長)、長谷川悠(出版企画室) at 2025年08月05日 (火)