戦災を免れた博物館は昭和21年(1946)3月24日に再開された。旧体制のまま、疎開先から美術品還送も未だ完了していない状態での開館であった。
しかし、新憲法が施行された翌22年5月3日には帝室博物館は皇室の手を離れて国に移管され、再び文部省所管の博物館となったのである。名称が国立博物館に改められるとともに直ちに大規模な改組が行われて、奈良帝室博物館を分館に、美術研究所を付属とし、また文部省所掌の国宝調査および保存修理業務を吸収して美術・歴史資料の保存、展観並びに研究に関する総合的機関となった。この大組織は、昭和25年の文化財保護委員会の発足で博物館がその付属機関になると同時に縮小され、博物館は館固有の業務に復することになる。27年3月には東京国立博物館と改称され、10月に創立80年の記念式典を挙行した。その後、昭和43年に文化財保護委員会と文部省文化局が合併して文化庁が発足すると、その付属機関となるが、昭和59年にさらに同庁の施設等機関と改められて今日に及んでいる。
この間、展観活動・普及活動は年を追って活発となっており、展観では大規模な古美術の特別展や新聞社等との共催による外国美術展が恒常的に開催されるようになり、また普及関係では事業課の新設により、講演・講座等を頻繁に催すほか映画の制作や『博物館ニュース』『MUSEUM』の創刊、目録・図録類の発行など種々の新事業が始められている。
一方、昭和30年代後半からは施設の整備に重点が置かれ、39年には収蔵庫を兼ねた陳列館として法隆寺宝物館が、43年には東洋美術の総合陳列施設である東洋館が開館した。さらに昭和59年美術史研究のセンター的役割を担った資料館が開館している。収集品に関しても多数の名品が購入・寄贈・移管等により館有化され、平成15年度末の列品収蔵件数は10万件をはるかに超えている。
平成2年には観覧者へのサービスの一環としてミュージアムショップを開設。平成11年7月には法隆寺宝物館(新館)、さらに同年10月には今上殿下のご成婚を記念して平成館を開館した。
平成13年4月には、東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館の3館を統合した独立行政法人国立博物館を設立。調査・研究に基づく収集、保存、展観事業の充実をはかり、より親しみのある博物館を目指し、教育普及事業をはじめとするさまざまな事業に取り組んでいる。