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特集「渡来人が見た長野」と大室古墳群の想い出

9月29日(火)より平成館企画展示室にて、特集「渡来人が見た長野-馬と歩んだ古墳時代-」が開幕しました!

2026年は午(うま)年です。さらに長野県のなかで重要古墳である金鎧山古墳(きんがいさんこふん)の発掘調査報告書が刊行されて100周年という記念すべき年でもありますので、「長野」「渡来人」「馬」をキーワードにして本特集を企画しました。
 
特集「渡来人が見た長野-馬と歩んだ古墳時代-」展示風景
 
一番の見どころは、普段なかなかみることができない金鎧山古墳(中野市)と疱瘡神塚古墳(ほうそうがみづかこふん・茅野市)から出土した合計18件もの重要美術品を一堂に披露している点です。このほかの出土品も、長野県の古墳時代を語るうえで欠かせないものが多いです。饅頭塚古墳(まんじゅうづかこふん・松本市)や小丸山古墳(こまるやまこふん・諏訪市)など、合計21遺跡を紹介しています。
それら遺跡ですが、あまり特定の地域に絞るのではなく、長野県のなかでもさまざま市町村からの出土品を当館所蔵品から選んでいます。しかも、ここ30年来当館で継続して修理し、公開できるようになったものが多いです。ぜひご覧ください。
 
重要美術品 轡(くつわ)
長野県茅野市 疱瘡神塚古墳出土 古墳時代・6世紀 五味健藏氏寄贈
本作品も修理したもののひとつです
 
さて、話はややずれますが、担当者の一人である河野正訓は、他の担当者とは異なる想いも込めてこの特集に関わってきました。それは何かというと、私のルーツにあります。
 
私は2001年に明治大学に入学しました。1年生から考古学専修に所属し、夏休みには大室古墳群(おおむろこふんぐん・長野市)の発掘調査に参加しました。毎年1か月ほど発掘合宿をし、明治大学の小林三郎先生や佐々木憲一先生の指導のもと、考古学の基礎を学びました。
 
その後、大学院は京都大学に行ったのですが、氷河期世代でもありましたので今とは違って職が少なく、考古学の仕事ができる教育委員会や博物館を受験しても何十倍や何百倍といった倍率でした。いくつ受けたか忘れましたが私はすべての試験に落ち、そのようななか、母校の明治大学の日本古代学研究所の研究推進員(リサーチアシスタント待遇)で雇っていただきました。その時に、所長の吉村武彦先生よりご助言をいただき、一念発起し頑張り、2012年に京都大学で博士号を取得しました。その後、ポスドク待遇で古代学研究所(ややこしいですが日本古代学研究所とは姉妹関係にある組織)に雇っていただきました。
その頃に取り組んでいた仕事のひとつとして、大室古墳群から出土した遺物を整理し、編集者のひとりとして報告書としてまとめる作業がありました。数多くの関係者の努力のかいもあって、2015年には600頁を超す辞書のように厚い報告書「信濃大室積石塚古墳群の研究Ⅳ」が刊行されました。
 
私が東京国立博物館に就職したのが2014年ですので、ボランティアのような形で終業後に報告書編集作業をしていたのですが、報告書を刊行して、いつか長野の古墳をテーマにして東博で展覧会をしたいなと思っていました。それから10年以上たって、チャンスが巡り、ようやく叶う事が出来ました。
 
じつはこの大室古墳群は、石で墳丘を作った積石塚が有名で、合掌形石室という独特な墓制を展開しており、渡来人と関係ある個性的な古墳群です。しかも、500基ほど古墳が集中しています。そして、平安時代の延喜式には「大室牧(おおむろまき)」の記載があり、馬の生産地として栄えたようです。
馬具の出土が多く、馬骨もみつかっていますので、古墳群の近くで古墳時代から馬を生産していたのでしょう。現在は史跡公園として整備が進んでいますので、見学されることをおすすめします。
 
5世紀につくられた積石塚で合掌形石室の大室168号墳 河野撮影(2012年)
 
話を今回の特集展示に戻しますと、じつは大室古墳群の近辺から出土した馬具を今回展示しています。いずれも素環鏡板付轡(そかんかがみいたつきくつわ)で、長野市松代町大字東寺尾鳥打峠(まつしろまちおおあざひがしてらおとりうちとうげ)と長野市若穂保科上和田(わかほほしなかみわだ)から出土したものです。素環鏡板付轡はシンプルなタイプの馬具で、長野県では沢山みつかっている実用的な馬具です。近くの牧(牧場)で生産された馬に、装着されたものなのかもしれません。
 
素環鏡板付轡(そかんかがみいたつきくつわ)
古墳時代・6世紀 長野市松代町大字東寺尾鳥打峠出土
 
素環鏡板付轡(そかんかがみいたつきくつわ)
古墳時代・6世紀 長野市若穂保科上和田出土
 
話が長くなりましたが、長野県の古墳時代をとりあげたまたとない展示になっていますので、長野県の皆様のみならず、国内外の多くのお客様にご覧いただければと思います。

 

カテゴリ:研究員のイチオシ、考古

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posted by 河野正訓(子どもファースト推進チームリーダー) at 2026年10月22日 (木)

 

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