このページの本文へ移動

1089ブログ

茶の湯ビギナーさんのための「茶の湯」展ガイド

4月11日(火)の開幕から約1週間。
特別展「茶の湯」、もうご覧になりましたか?



連日多くのお客様にお越しいただいている一方で、「何だか敷居が高くて…」というお声も耳にします。
そんな茶の湯ビギナーさんのため、本展の楽しみ方をご紹介します。

【茶の湯の名品ずらり】
国宝「曜変天目 稲葉天目」、国宝「油滴天目」、国宝「大井戸茶碗 喜左衛門井戸」、国宝「志野茶碗 銘 卯花墻」。
茶碗だけでなく、水指、茶入、釜、花入、絵画、書など、茶の湯に関わる名品中の名品をご覧いただけます。

 
左:国宝「曜変天目 稲葉天目」静嘉堂文庫美術館蔵 *展示は~5月7日(日)
右:国宝「油滴天目」大阪市立東洋陶磁美術館蔵 

 
左:国宝「大井戸茶碗 喜左衛門井戸」孤篷庵蔵 *展示は4月28日(木)~
右:国宝「志野茶碗 銘 卯花墻」三井記念美術館蔵

茶の湯ビギナーさんもひきつけてしまうのが、名品の「名品」たる所以。
多くの作品が並ぶ展示室ですが、ぐるりと見回したときに自然と目のとまる作品が、きっとあるはずです。

 
左:重文「祥瑞蜜柑水指」湯木美術館蔵
右:国宝「青磁下蕪花入」アルカンシエール美術財団蔵

 
国宝「紅白芙蓉図」東京国立博物館蔵 *展示は5月23日(火)~

研究員いわく「このすべてが、ひとつの会場で見られることがすごい」。トーハクだからこそ叶った、奇跡のラインナップです。
こんな貴重な機会を逃すなんてもったいないと思いませんか?

【あの人の好み】
本展では、茶の湯の歴史を作ってきたさまざまな人物を紹介していますが、それぞれが賞玩した作品の向こう側に、その人の美意識が垣間見えるように思います。

例えば千利休。
第3章では千利休に焦点を当て、利休がとりあげたものと利休が創り出したものを紹介しています。



同じ第3章の後半では、古田織部ら利休の弟子についても紹介していますが、利休ゆかりの作品と比べると、それぞれの好みの違いが見えてきます。

 

会場では映像で千利休の茶室「待庵」と、再現展示で古田織部の茶室「燕庵」も紹介しています。茶室にも2人の好みの違いが反映されています。

歴史に名を残す「あの人」の好みを探りながらご覧いただくのも、オススメの楽しみ方です。

【この「銘」が気になる!】
「破袋」、「ムキ栗」、「虹」、「けつりそこなひ」…さて、何のことでしょう?
これらはみんな展示作品の「銘」です。
トーハクのウェブサイトでは本展の作品リストを公開していますが、リストをつらつら眺めてみると「これは一体?」と思うような銘が目につきます。
「この作品が見たい」というほど茶の湯に詳しくない、という方は、気になる「銘」の作品をお目当てにしてみてはいかがでしょうか。


重文「黒楽茶碗 銘 ムキ栗」文化庁蔵

それぞれが果たしてどんな作品なのか、ぜひご自身の目でお確かめください。

【茶入のための茶室「転合庵」の公開】
今年の春の庭園開放は5月7日(日)まで。いつもより期間が長いと思いませんか?
なぜかというと…


「瀬戸茶入 銘 於大名」東京国立博物館蔵

こちらの茶入は小堀遠州が八条宮から賜ったというもの。そして、これの披露のために建てられた茶室が転合庵です。
庭園に立つ転合庵は、於大名とともに当館に寄贈されました。
特別展「茶の湯」にあわせて、今年は庭園開放を延長するとともに、転合庵の内部も特別に公開しています。


庭園開放と転合庵の公開は5月7日(日)まで。10:00~16:00
*4月30日(日)は転合庵の公開を休止


特別展で於大名をはじめとする遠州ゆかりの作品を見た後は、遠州ゆかりの茶室へ。
これも本展ならではのお楽しみです。


茶の湯というのは「取り合わせ」がポイントなのだそうです。
つまり、客人のためにどういうお道具を選び、どういう空間を作り上げるか、そこにもてなしの気持ちを表現するのだそうです。
そういう意味では、特別展「茶の湯」は、言わばトーハク大茶会。
取り上げている作品、その展示方法、会場のデザイン、関連イベントなど、皆様に「茶の湯」に親しんでいただけるよう、本展関係者がプロデュースした大茶会です。

茶の湯ビギナーさんもご一緒に、さあ、どうぞ一服!


茶室「燕庵」の再現展示では、写真が撮れるんだほ

カテゴリ:2017年度の特別展

| 記事URL |

posted by 高桑那々美(広報室) at 2017年04月19日 (水)

 

最初 前 1 次 最後