東洋館 第5室
2007年9月4日(火) ~ 2007年12月2日(日)
古代中国では漢時代(前206年~後220年)を通して、官僚・地主などの富裕層が数多くの豪奢な墓を造りました。煮炊き用の容器や食器などとともに、井戸・カマド・家畜小屋・倉庫など日常生活にかかわる様々なものの陶製模型が、これらの墓から出土しています。
これらの副葬品には、不自由なく死後も暮らせるように願う遺族の気持ちがこめられていました。このように、墓に副葬するために作られた非実用品のことを明器と呼びます。実寸大では大きすぎて墓に入らない明器は、小さくしたものを代わりに用いました。
漢時代のミニチュア明器は、その形や文様にご注目ください。たとえば、カマド形明器の表面には、たくさんの食材や調理器具が浮彫状に表されています。そこからは、当時の人々が料理する様子が窺えることでしょう。小さな模型に表された約2000年前の暮らしを、ぜひ覗いてみてください。