“ブンカ”を楽しく・学び・伝える仕事
デザイン室長の木下史青です。
平成24年度から使用されることになった、中学3年生・国語の教科書に、
『光で見せる展示デザイン』という随筆を書かせていただきました。
2006年に開催された『プライスコレクション 若冲と江戸絵画展』に出品いただいた、
作品のご所蔵者であるプライス夫妻と展覧会に関る東博スタッフとの、
展示を作り上げるまでのプロセスについての内容です。
プライスコレクション 若沖と江戸絵画展「光と絵画の表情」 のテーマ展示
この写真のタイトルからおわかりかもしれませんが、僕は展示の仕事の決め手はライティングだと考えています。
ランプや照明器具を的確に選定し、照明手法を考え、現場でのフォーカシング(調整)をすることで、
作品を生き生きと楽しく見ることができるようにもなるし、圧倒的な存在感を示すように見せる事もできるのです。
光の効果でモノの持つ美的本質や精緻な技、造形的な魅力を引き出せたかな、
と思える瞬間は他の何事にも変えられない喜びがあります。
蛍光灯、スポットライト2種(左:LED、右:ハロゲンランプ)を駆使して、
《国宝 千手観音像》の照明を調整 (注・作品は写っていません)
国宝 千手観音像 平安時代・12世紀 (展示予定は未定)
もちろんそれが独りよがりにならないように、
この仕事は学芸的な専門の研究員からモノの見方を教えてもらいながら、
常に試行錯誤があり、同時にそれは終わりのない学びの連続であります。
そんな新しい展示がオープンして、モノや作品をじーっ、と見つめているお客様を、展示室の隅からうかがいつつ、
伝わっている!と感じる瞬間に“ありがとう”
(撮影:今井隼人)
画像の《菩薩立像》は、2013年1月2日リニューアルオープン予定の東洋館に展示予定。
現在、展示・照明デザイン検討中です。
(菩薩立像 パキスタン・ガンダーラ クシャーン朝・2世紀(2013年1月2日(水)~2013年4月7日(日)東洋館・インド・ガンダーラの彫刻にて展示))
カテゴリ:2012年6月
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posted by 木下史青(デザイン室長) at 2012年06月04日 (月)