10月1日(火)から、毎年恒例「博物館でアジアの旅」が東洋館で始まりました。
博物館でアジアの旅 アジアのおしゃれ キービジュアル
東洋館は昭和43年(1968)に開館した展示施設で、「東洋美術をめぐる旅」をコンセプトに、中国、朝鮮半島、東南アジア、西域、インド、エジプトなどの美術と工芸、考古遺物を展示しています。
展示は地下1階から5階までの6フロアで、全13室。一通り見てまわるだけでも1時間はゆうにかかる広さです。展示のほかにもミュージアムシアターや占い体験など、いろいろな楽しみ方ができるのもポイントです。
東洋館外観
東洋館内観
アジアの占い 体験コーナー
ミュージアムシアター
さて、この東洋館で開催される「博物館でアジアの旅」では、毎年テーマを決め、それにちなんださまざまな作品を館内随所に展示します。
今年のテーマは「アジアのおしゃれ」。
流行を意識して洋服を選んだり、自分に似合うようなアクセサリーを身に着けたり…と、「おしゃれ」は誰にとっても人生の楽しみのひとつではないでしょうか。
今回はアジア各地の衣装や装飾品をはじめ、ファッショナブルな仏像や、鮮やかな色彩の副葬品、絵画作品に描かれる豪奢(ごうしゃ)な衣装の人々などをご紹介します。
時代を越えて、アジア各地の「おしゃれ」を感じとってみてください。
それでは、今年の「アジアの旅」を楽しむための2つのポイントをご紹介します。
ポイント1 必見!アジたびマップ2024
東洋館インフォメーション
広い東洋館のどこに「アジアのおしゃれ」関連作品が展示されているか、ひと目でわかる「アジたびマップ2024」をご用意しています。
東洋館インフォメーションで配布(なくなり次第終了)しているほか、ウェブサイトでも公開しています。ぜひこのマップをたよりに会場を自由にめぐり、作品たちのおしゃれをお楽しみください。
ポイント2 当館初!音声ガイドシステムを導入しています
「博物館でアジアの旅」の期間中、東洋館で音声ガイドシステムVOXX LITEを導入します。
作品解説の横に配置されたQRコード
作品解説の隣のQRコードを発見したら、ぜひご自身のスマートフォンで読み取ってみてください。より詳しい解説を文字と音声のいずれかでお楽しみいただけます。
アプリのダウンロードは不要。音声でご利用の際は、音量をおさえるかイヤホン等でお楽しみください。
マップを片手に準備ができましたら、少しだけ展示室を旅していきましょう。
(注)「アジアのおしゃれ」関連作品には目印にこの札をつけています。
入ってすぐの吹き抜けのフロアは、金銅仏と石仏が立ち並ぶ1室「中国の仏像」です。
こちらの大理石製の巨大な仏像は、二重に重ねた首飾りや、ペンダント状の飾りを中心にクロスするアクセサリーが、さわやかな雰囲気を作り上げています。
重要文化財 観音菩薩立像 中国河北省 隋時代・開皇5年(585) 1室で展示
続く3室ではインド・ガンダーラの彫刻を展示。ドレッドヘア風の垂髪と耳飾りの飛び出すライオンがなんともおしゃれです。
菩薩立像 パキスタン、ガンダーラ クシャーン朝・2世紀 3室で展示
ライオンの耳飾り
同じフロアには、人類最古の文明が興った地として知られる西アジア・エジプトの美術の展示も。
こちらは金製のロゼット文様の土台に色ガラスや宝石を嵌めこんだジュエリーです。ひとつずつ綴って細長い帯とし、それを髪の上から何本も垂らして身を飾りました。
婦人頭飾断片 伝エジプト、テーベ出土 新王国時代(第18王朝)・前15世紀 3室で展示
拡大図
ぐるりと回るように階段を上っていくと、中国の展示が続きます。3階の4室・5室は、文明のはじまりから墳墓の出土品や青銅器・陶磁、染織のフロアです。
こちらはにっこり微笑む表情と白い花の模様があらわされたスカートが愛らしい若い女性の像です。結い上げた髻(もとどり)には金の髪飾りがつけられています。
三彩女子 中国 唐時代・8世紀 鈴木榮一氏寄贈 5室で展示
4階にあがり、石刻画の展示をご覧いただいた後は、8室の中国の絵画と書のフロアです。
行商人(貸郎、かろう)が子ども相手に雑貨やおもちゃ、小動物を売っています。商人も子どもたちも色とりどりの豪奢でおしゃれな衣装をまとっています。
売貨郎図軸(部分) 筆者不詳 中国 明時代・15~16世紀 石島護雄氏寄贈 8室で展示
続く9室は漆工や清時代の工芸の展示です。
銅製の如意に色ガラス、真珠、エナメル絵などを嵌(は)め込んでいます。柄の中央の時計およびエナメル絵はヨーロッパ製です。清時代には、広東の港を通じて、ヨーロッパの製品が中国にもたらされ、皇帝は時計を好んで集めました。
如意形時計 中国 清時代・18~19世紀 広田松繁氏寄贈 9室で展示
5階の10室では、朝鮮の美術をご紹介しています。
これは古墳に葬られた婦人が着用した頸飾(くびかざり)。瑪瑙製(めのうせい)の勾玉を中心に、水晶製切子玉や金製の空玉など、異なる素材と形で構成されています。
頸飾 韓国梁山夫婦塚出土 三国時代(新羅)・6世紀初頭 10室で展示
地下のフロアも見逃せません。12室は東南アジア・インドの展示です。
仏像の衣にご注目ください。型押しで花模様が表わされています。
ナーガ上の仏陀坐像 タイ ラタナコーシン時代・19世紀 12室で展示
胸元の花模様
13室はアジアの染織、インドの細密画、アジアの民族文化の展示で構成されています。
絹糸を細かく起毛させた艶やかなヴェルヴェット地に、重厚な金属のモール糸と宝石を密に留めつけ、ペイズリーや花唐草文を表しています。真珠、ルビー、エメラルドなどがふんだんに用いられた、インドのマハラジャ(藩主)にふさわしい豪華な衣装です。
コート 濃紺ヴェルヴェット地花卉文様金銀糸刺繡 インド・ジャイプール マードー・シーン2世着用 19~20世紀 13室で展示
拡大図
アウラングゼーブはムガル帝国第6代君主。頭には宝石で飾ったターバンを巻き、胸元には大きなネックレス、腕にはブレスレットやアームレットを着けています。
アウラングゼーブ帝立像 ビーカーネール派 インド 18世紀後半 13室で展示
展示室をまわりましたら、お帰りの際はミュージアムショップにもお立ち寄りください。
「アジアの旅」に関連したオリジナルグッズも多数ご用意しています。
舎利容器クッション 4,840円(税込)
ブローチ如意形時計 14,850円(税込)
花蝶文様ピンバッチセット 2,750円(税込)
お楽しみ要素盛りだくさんの今年の「アジアの旅」。
会期は11月10日(日)まで。総合文化展料金でご覧いただけますので、ぜひお立ち寄りください!
カテゴリ:博物館でアジアの旅
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posted by 天野史郎(広報室) at 2024年10月03日 (木)