名碗オールスターズ!
たとえば、絢爛豪華な唐物天目の「油滴天目(ゆてきてんもく)」、天下一の高麗茶碗ともうたわれる「大井戸茶碗 銘 喜左衛門(きざえもん)」、国焼の最高峰と名高い「志野茶碗 銘 卯花墻(うのはながき)」など国宝の茶碗。
左:国宝 油滴天目(大阪市立東洋陶磁美術館蔵)
中央:国宝 大井戸茶碗 銘 喜左衛門(京都・孤篷庵蔵)展示期間・・・2017年4月28日(金)~6月4日(日)
右:国宝 志野茶碗 銘 卯花墻(東京・三井記念美術館蔵)
たとえば、室町幕府8代将軍・足利義政が愛した「青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆(ばこうはん」、織田信長から贈られたという柴田勝家所持の「青井戸茶碗 銘 柴田」など、歴史上の著名人にゆかりある茶碗。
左:重要文化財 青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆(東京国立博物館蔵)
右:重要文化財 青井戸茶碗 銘 柴田(東京・根津美術館蔵)
たとえば、楽焼の始祖と伝わる長次郎が作った、千利休好みの「赤楽茶碗 銘 無一物(むいちもつ)」、江戸時代初期を代表する目利き、本阿弥光悦作の「黒楽茶碗 銘 時雨」など、茶の湯の歴史を作ってきた茶碗。
左:重要文化財 赤楽茶碗 銘 無一物(兵庫・頴川美術館蔵)展示期間・・・2017年4月11日(火)~5月7日(日)
右:重要文化財 黒楽茶碗 銘 時雨(名古屋市博物館蔵)
天下の名碗がずらり!
名碗オールスターズが奇跡の集結!
それが、来春開催の特別展「茶の湯」(2017年4月11日(火)~6月4日(日))です。
10月6日(木)に報道発表会を行い、本展の概要と見どころを紹介しました
展示作品は、茶碗だけにとどまらず、茶壺や茶入、花生、書画など、茶の湯に関わる名品の数々。
おもに室町時代から近代まで、茶の湯の美術の変遷を大規模に展観します。
「『茶の湯』を象徴するような作品が勢ぞろいします。これだけの規模でこれだけの名品が揃うのは、トーハクだからこそです!」というのは、展覧会を担当する三笠研究員のコメント。
大変貴重な機会です。
特別展「茶の湯」は、来春、2017年4月11日(火)~6月4日(日)の開催。
日ごろから茶の湯に親しんでいる方はもちろんのこと、茶の湯ビギナーさんには名品を通じて「茶の湯とは?」を知っていただける展覧会です。
どうぞご期待ください。
カテゴリ:news、2017年度の特別展
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posted by 高桑那々美(広報室) at 2016年10月13日 (木)
博物館でアジアの旅─9月27日(火)~10月10日(月・祝)はイベント盛りだくさん!─
8月30日(火)より開催中の「博物館でアジアの旅」。今年は「上海博物館との競演」をテーマに、トーハクとシャンポー(上海博物館の愛称)の名品を展示していますが、ご覧いただけましたでしょうか?
9月27日(火)からは、いよいよイベント集中期間が始まります。
ここでは、事前申込不要、当日参加OKのイベントを紹介します。
展示作品や建物についていろいろ知りたい!という方にオススメはこちら。
スペシャルツアー 中国美術をめぐる旅─添乗員はトーハク研究員
「上海博物館との競演」特集を中心に、トーハク研究員が中国美術を堪能する60分のツアーにご招待します。
開始時間までに東洋館1階エントランスに集合!展示室をめぐりますので、歩きやすい靴でご参加ください。
9月27日(火) 14:00~15:00「中国陶磁1000年をめぐる旅」
9月28日(水) 11:00~12:00「アジアをリードした中国の染織技術」
9月29日(木) 11:00~12:00「悠久の青銅器と神獣ウォッチング」
10月4日(火) 14:00~15:00「中国空想動物園」
10月5日(水) 11:00~12:00「中国家具をめぐる旅」
10月6日(木) 14:00~15:00「幸せの形―吉祥エピソード―」
今回のツアーでは、パスポート(正門プラザ、各館インフォメーションカウンター、ツアー参加時に配布)をご用意しています。
ツアーに4回以上参加して、スタンプ4つ以上押してもらった方には記念品をプレゼントいたします。
(プレゼントは10月4日(火)、5日(水)、6日(木)のツアーのスタンプ押印時にお渡しします)
ボランティアによる東洋館関連ガイドツアー
9月29日(木) 15:00~「彫刻ガイド」
10月2日(日) 11:00~「東洋館ツアー」
10月4日(火) 11:00~「たてもの散歩ツアー」
10月6日(木) 11:00~「東洋館ツアー」
アジアの伝統文化に触れたい!という方にはこちらがオススメ。
中国の仏像が並ぶ展示室で、アジアの楽器の音色をお楽しみください。
9月28日(水) 13:30~、15:00~「アジアの伝統音楽 シタールの演奏」(東洋館1室)
10月9日(日) 13:30~、15:00~「アジアの伝統音楽 古筝と馬頭琴の演奏」(東洋館1室)
中国の長い歴史のなかで培われた華麗な妙技は、まさにアジアンスペクタクル!
10月10日(月・祝) 13:30~、15:00~「中国伝統芸術ショー(雑技)」(東洋館前野外ステージ)
「着てみてポーズ!中国・韓国・日本の伝統衣装」(左写真)
各国の伝統衣装(子ども用、大人用あり)を着て記念撮影ができます。
9月27日(火)~10月10日(月・祝) 期間中毎日 12:00~17:00 東洋館1階エントランス
また、今回は旅行ガイドブック「るるぶ」とのコラボ企画も開催!
9月27日(火)~10月10日(月・祝)の期間中、東洋館エントランスに「博物館でアジアの旅」×「るるぶ」のオリジナル撮影パネルを設置します。パネルの前で写真を撮れば、気分は「るるぶ」の表紙モデル♪
さらに、トーハクのInstagramアカウント開設と「るるぶ」通巻5000号を記念したプレゼント企画も実施します。撮影した写真を写真投稿アプリInstagramでハッシュタグ(#トーハクアジ旅 または #TNM_ASIA)をつけて投稿すると、抽選で素敵なプレゼントが当たります。
そのほか、アジアンぬりえやアジアン屋台なども開催。
イベントスケジュールをチェックして、アジアの旅への計画を立ててみてはいかがでしょうか。
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2016年09月26日 (月)
櫟野寺(らくやじ)→トーハク、大観音の旅に密着だほ
開催中の特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」の注目は、なんといっても3mを超える像高を誇る、櫟野寺の本尊、十一面観音菩薩坐像。
台座と光背も合わせると5mを超える大きさです!
重要文化財の坐像の十一面観音では日本最大という仏像を、果たしてどうやってトーハクまで運んだの? どうやって展示室に入れたの?
ギモンの尽きない皆さまのため、トーハクくんが大観音の旅を取材してきました。
【1日目~4日目:本尊を解体】
ほ!? 観音さまを解体??
観音さまの腕と脚は、体とは別につくられているから、実は取りはずせるんだほ。
大きな観音さまだから、お堂から安全に運び出すためにはできるだけコンパクトにすることがポイントだほ。
【2日目~6日目:本尊の点検】
解体作業と一緒に、仏像にトラブルがないか、出発前の最終チェックもするんだほ。
そうしたら、台座の中から箱が発見されたほ!
研究員さんによると「明治時代に本尊を修理した時、納めた箱だよ」って。
ほほー。
気になる箱の中身は籾(もみ/脱穀する前のお米のことだほ)だったことが、後日の調査で判明したほ。
お米がたくさんとれますようにって、籾を仏像の中に納めることもあったらしいほ。
再び研究員さんによると、「いつの段階で納めたものかはわかりませんが、仏像の中にあった籾を明治時代の修理の時に一度取り出して、箱に入れて、台座の中に納め直したのだと思います」って。
ほほー。
【5日目:いよいよお堂から搬出】
パーツの取りはずしがおわったら、傷がつかないように、観音さまは布でぐるぐる巻きに。
その後、さらに頑丈な箱に納めて、旅支度は完了☆
お堂から慎重に運び出していくほ。
【9日目:第1便が出発!】
とにかく大きな観音さまだから、2便にわけて東京へ。
この大きな箱のなかに、腕と脚を除く、本尊の本体が納められているんだほ。
揺れを抑えた美術品専用のトラックにのって、観音さまの本体が第1便としてしゅっぱ~つ!
その6日後、台座と光背を載せた第2便も出発したほ。
【19日目:会場への運び込み完了!】
ついにトーハクに到着!
さっそく会場に…と、言いたいところだけどだけど、作品を運び込むためにいつも使っているルートが、観音さまが大きすぎて今回は使えなかったんだほ。
なんて大きさだほ!!
「会場に運び込むのが一番大変でした」と、研究員さん。
運び込んだあとは、会場内で展示作業。観音さまの展示だけで5日もかかったんだほ。
1体の仏像を運ぶのに約20日間もかかった、まさに一大プロジェクトだったんだほ!
みんなの力を結集して開幕した特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」、ぜひ見にきてほー。
カテゴリ:トーハクくん&ユリノキちゃん、2016年度の特別展
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posted by トーハクくん at 2016年09月22日 (木)
ほほーい、ぼくトーハクくん!
9月17日(土)、ぼくとユリノキちゃんはトーハクの外に出動したんだほ(ぼくは久しぶり、ユリノキちゃんはトーハクの外に出るのは初めてなんだほ)!
その出動先は…、「第9回したまちコメディ映画祭in台東」、通称「したコメ」のオープニングセレモニーのレッドカーペット!会場は東京を代表する観光地、浅草のオレンジ通り!
今年で9回目となる「したコメ」は9月16日(金)から19日(月・祝)までの期間でトーハクの平成館大講堂を含む台東区内4箇所で、いろんな面白い映画を上映していたんだほ。
レッドカーペットには台東区長さんを始め、俳優さんや芸人さんなどたくさんの豪華ゲストが集結していたんだほ!さらにぼくとユリノキちゃんのほかにも台東区の守り神の「台東くん」や浅草オレンジ通りのイメージキャラクター「オレンテくん」なんかも来ていて一緒にレッドカーペットを練り歩いたんだほ!
初のレッドカーペット、お客さんもいっぱいでテンション上がりまくりだったほ!
服部 台東区長(中)、太田 台東区議会議長(左)と
台東区の守り神、台東くんと
浅草オレンジ通りのイメージキャラクター、オレンテくんと
浅香光代さん(右)、内海桂子さん(中)、友吉鶴心さん(左)と
ねづっちと
フジテレビアナウンサー、軽部真一さんと
フジテレビアナウンサー、笠井信輔さんと
さて、話は変わってゆるキャラ®グランプリ 2016のご報告だほ。7月22日(金)から始まった投票期間もいよいよ後半戦!現在のぼくたちの順位は…、ぼくは総合637位、ユリノキちゃんは総合893位(ともに9月21日現在)、というとっても厳しい状況になっているんだほ…。お友達のトラりん(リンク)ははるか上を行っているし、正直もう少し上に行けると思っていたんだほ。自分のうぬぼれを大反省するほ…。これからは今まで以上に直接みんなに会いにいって知名度をもっと上げていくんだほ!投票締め切りは10月24日(月)18時まで!みんなも引き続き応援どうぞよろしくだほ!!
カテゴリ:news、催し物、トーハクくん&ユリノキちゃん
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posted by トーハクくん at 2016年09月21日 (水)
この秋、トーハクに上海博物館(上博:シャンポー)所蔵の中国の刺繡や緙絲(こくし、綴織(つづれおり))が17件展示されています。上海博物館を訪れたとしても、上海博物館で見ることができる染織は中国少数民族の衣装が中心で、清時代までの宮廷や高官の邸宅を飾っていた染織美術が展示されることはほとんどありません。あなたの目で確かめなければ信じがたい、その技の美を、10月23日(日)までトーハクで見ることができます。
まずは、東洋館5室の中国美術の部屋にお越しください。大きな平たいケースの中に広げられるのは、元時代末から明時代初期に、寺院の壁を飾るために制作されたと考えられる壁掛です。上海博物館でも展示したことのない、初公開作品です。写真で見ると小さく感じられますが、縦194cm、横335cmもあり、文様は全て刺繡によるものです。
中央には五爪の金龍。肉太の金糸で刺繡されています。
刺繡龍八宝唐草文様壁掛 中国 元~明時代・14世紀 上海博物館蔵
同上 部分拡大
金龍の周囲には、仏教の教えの中に現れる「八宝」が美しい色で染められた絹糸で丁寧に刺繍されています。約800年も前の刺繡がこんなに色鮮やかに残っていることに驚きです。会場ではパネルで「八宝」の解説もしていますので、そのご利益を確かめてみてください。あなたにも、幸運が訪れるかもしれません。
5室を出ましたら、今度は中国絵画が展示されている8室まで上がってください。
中国には、絵画を刺繡や織物で表現するというちょっと想像しがたい手仕事が宋時代から行われてきました。私はそれを「染織絵画」と呼んでいます。8室では、素晴らしい中国絵画を、絵画的図様を卓越した緙絲の技で写した染織絵画とともにご覧いただきます。
この2つの作品、こうしてみると、絵画のようでしょう?
左:緙絲仙人図壁掛 中国 明時代・16~17世紀 上海博物館蔵
右:緙絲花鳥図壁掛 中国 清時代・18世紀 上海博物館蔵
でも近寄ってみると、いずれも織物です。日本でいう「綴織」です。
左:緙絲仙人図壁掛 部分拡大、右:緙絲花鳥図壁掛 部分拡大
清時代の皇帝・乾隆帝も今展示されている「緙絲仙人図壁掛」を鑑賞していたのですよ。さすが、見る目あるな、と感心してしまう、明時代の名品です!
乾隆帝が特に優れた書画に捺した「三希堂精鑑璽」印が「緙絲仙人図壁掛」にも捺されています。
8室からエレベーターで降り地下1階の13室に行くと、このような「染織絵画」がずらりと並んでいます。「顧繡(こしゅう)」と呼ばれる明時代以降の伝統的な技法で刺繡された作品や、美しい色彩で織り出された緙絲の花鳥画などが見られますので、ぜひ、会場でガラスケースに額をくっつけて「えっ?本当に描いてないの?」と確かめてみていただければと思います。
東洋館13室 展示風景
このような「染織絵画」は、宋時代から行われてきたと考えられます。実際、台北故宮博物院には宋時代の山水画を写した途方もなく細密な緙絲が残されています。このような「染織絵画」は宋元時代に確立したものでしょう。明時代から清時代にかけても、以前として制作されてはきましたが、宋元時代の吉祥に関わる画題が中心となっています。明時代以降、画家たちはある意味「俗」である吉祥絵画を染織の工人の手に譲り、自分たちは高邁を気取って山水画や文人画に専念したのかしら、という印象も受けます。「裕福」「子孫繁栄」「立身出世」「長寿」と、素直な人間の願いを「吉祥」に託した染織絵画。その思いを身近に感じるとともに、会場で見なければわからない中国染織の技の美に触れていただきたいです。
展示情報
特集「 上海博物館との競演―中国染織 その技と美―」(2016年7月26日(火)~10月23日(日)、東洋館5室、13室)
特集「上海博物館との競演 ―中国書画精華・調度― (書画精華)」(2016年8月30日(火)~10月23日(日)、東洋館8室)
関連事業
スペシャルツアー 中国美術をめぐる旅―添乗員はトーハク研究員―「アジアをリードした中国の染織技術」
2016年9月28日(水)11:00~12:00 東洋館
カテゴリ:研究員のイチオシ、特集・特別公開、博物館でアジアの旅
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posted by 小山弓弦葉(工芸室長) at 2016年09月20日 (火)