平成館 企画展示室
2022年6月7日(火) ~ 2022年7月18日(月・祝)
日本、東洋の古美術コレクションのイメージが強い東京国立博物館。しかし、博物館の草創期の頃から、欧米作家の作品を含む洋画も多く収蔵しています。
それらの多くは、制作とほぼ同時期に収蔵されています。収蔵の経緯は様々でありますが、一つ一つの作品について繙いていくと、博物館が過去だけでなく、常に同時代との関わりももって活動していることを雄弁に物語ってくれます。
それらの作品の多くは現在の展示の枠組みの中では公開の機会がほとんどありません。この特集では、主に作品の収蔵の経緯に着目して、Ⅰ.世界とのつながり、Ⅱ.同時代美術とのつながり、Ⅲ.社会・世相とのつながり、という3つの観点から、それらの作品の一部を紹介します。
Ⅰ章では、当館と、19 世紀末に欧米諸国各地で設立された近代的博物館との間で行われた収蔵品充実のための物品交換事業で収蔵された作品、更に、戦後の初代駐日オランダ大使から寄贈された作品を展示します。Ⅱ章では、日本の美術界を発展、充実させていくことに主眼をおいて収蔵された作品、Ⅲ章では、戦争や災害、政治的動静や博物館に対する社会的要請などを背景として収蔵されたと 考えられる作品を展示します。
この特集が、歴史の荒波をかいくぐって残って来た作品たちの時代の証言者としての意義と、博物館の活動が作品を通して常に時代の流れとつながっているものであることを知っていただく機会となれば幸いです。