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未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―

  • 『平家納経 厳王品 第二十七(模本)(部分)田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)』の画像

    平家納経 厳王品 第二十七(模本)(部分)
    田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵
    大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)

    本館 2室
    2023年2月28日(火) ~ 2023年4月9日(日)

    東京国立博物館は、令和4年(2022)に創立150年を迎えました。この150年の歴史のなかで収集された文化財のなかには、国指定の国宝や重要文化財となっていなくとも素晴らしい作品が数多く収蔵されています。
    「150年後、もしくはその先の未来、この国宝室にはどのような作品が展示されているのだろう」。
    こういった問いかけから、今年度は「未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―」というテーマで展示を行なうことにしました。私たち研究員が選び抜いたイチ押しの作品を「未来の国宝」と銘打って、年間を通じてご紹介していくという試みです。
    数万件に及ぶ絵画、書跡、歴史資料のなかから選び抜いた、東京国立博物館コレクションの「逸品」をどうぞご堪能下さい。

     

    年間の展示予定

     

     

    平家納経(模本)
    田中親美模
    大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
    原本:国宝・嚴島神社蔵

     

    国宝「平家納経」(広島・嚴島神社蔵)は、平清盛(1118 ~ 81)が平家一門と共に制作し、平安時代・長寛2年(1164)に嚴島神社へ奉納した『法華経』ほか全33巻の経巻です。そのほとんど全てに金銀箔が散らされ、極彩色の下絵や摺文様が施されていて、表も裏も豪華に荘厳された装飾経の代表作です。
    大正9年(1920)、嚴島神社宮司の依頼を受けて、益田鈍翁や高橋箒庵など当時の財界人・数寄者が「平家納経」模本制作のための寄附をしました。そして、模本制作の第一人者である田中親美(茂太郎、1875 ~ 1975)が家族や弟子と協力して、5年の歳月をかけて見事に作り上げたのです。
    これほどの装飾を一つ一つ写すことは、驚異的な技と言えるでしょう。また、親美は、原本の筆を動かす速さまで計算したかのように自然な筆遣いで経文を書写しています。平安時代に平清盛が結集した美意識の塊を、800年以上の時を超えて田中親美がすべて再現した至宝の一品です。

     

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
平家納経 信解品 第四(模本) 田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
平家納経 授記品 第六(模本) 田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
平家納経 化城喩品 第七(模本) 田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
平家納経 人記品 第九(模本) 田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
平家納経 宝塔品 第十一(模本) 田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
平家納経 提婆品 第十二(模本) 田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
平家納経 厳王品 第二十七(模本) 田中親美模 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原本:平安時代・長寛2年(1164)
平家納経経箱(模造) 田中親美監督 原本:国宝・嚴島神社蔵 大正~昭和時代・20世紀、原品:平安時代・長寛2年(1164)