本館 特別1室
2013年7月17日(水) ~ 2013年8月25日(日)
絵巻をはじめとする巻子(かんす)装の書画作品は、料紙を何枚も糊で継ぐことで長大な横長の画面を形成しています。ただ、経年により糊離れして一紙ごとにバラバラになってしまったり、茶室の床(とこ)に掛ける「茶掛け」にするため、人為的に切り取られることがありました。
このように「残欠」となってしまった往古の絵巻作品を、本来は手許で巻き拡げる巻子から、掛幅(かけふく)(掛軸(かけじく))などに仕立て直し、壁に掛けて鑑賞する形態へ変貌を遂げた作品を「断簡(だんかん)」と呼びます。断簡となることによって、どの物語のどの場面を描いたのか、分からなくなってしまった作品も少なくありません。ですが、このような絵巻物断簡は大切に守り伝えられ、今なお、私たちの眼を楽しませてくれます。
この特集陳列では、当館所蔵品を中心とした絵巻物断簡のうち、特に物語絵巻の断簡を5つのテーマからご紹介します。もとは一つの作品だった巻子装の絵巻と掛幅装の断簡、また絵巻が断簡となる前に写された模本などを見比べることで、絵巻がどのように守り伝えられてきたのかについても想いを馳せていただければと思います。
この期間の本館3室「仏教の美術・宮廷の美術」でも絵巻断簡の優品を展示しています。あわせてご覧下さい。