本館 18室・19室
2012年9月19日(水) ~ 2012年12月9日(日)
今から百年前の大正元年(1912)12月、帝室技芸員(ていしつぎげいいん)24名の作品31件が東京帝室博物館(現在の東博)に寄贈されました。明治44年(1911)に22名の帝室技芸員から「献品願」が当時の帝室博物館総長股野琢(またのみがく)に出され、その趣旨に賛同した前年に亡くなっていた2名の技芸員の遺族も加わることで実現しました。
帝室技芸員とは、戦前に行なわれていた美術・工芸作家に対する一種の顕彰制度です。宮内省工芸員、宮内省技芸員を経て明治23年(1890)に帝室技芸員となり、昭和19年(1944)の最後の任命までに、79名の美術・工芸作家が選定されています。
帝室技芸員制度と明治19年(1886)以降宮内省の所管であった当館とは深い関わりがありました。大正7年の技芸員選択内規によれば、技芸員は帝室博物館総長が招集する選択会議によって選ばれ、総長から宮内大臣に薦挙されることとなっています。
この時、寄贈された作品の分野は日本画、彫刻、建築、金工、陶磁、七宝、漆工、染織、刀剣、図案、これに前年に新たに選ばれた洋画、写真も加わっています。これは帝室技芸員全体の中で、篆刻を除く総ての分野を網羅しているということになります。
寄贈の翌年、「帝室技芸員献品並に故帝室技芸員製作品」を集めた特別展覧会が開かれました。今回の特集陳列は99年ぶりの展示ということになります。