東洋館 第8室
2008年1月2日(水) ~ 2008年3月2日(日)
中国の明時代は、後期の万暦年間(1573~1619)になると、政治的には凋落の一途をたどりますが、文化面では各ジャンルで爛熟期を迎えました。書においてはこの時期、明時代の中期に一世を風靡した文徴明(ぶんちょうめい)一派の書風が、すでに形骸化していました。董其昌(とうきしょう)はこうした固定化した形式を否定し、天真爛漫で平淡な表現を目指しました。その躍動感あふれる清新で洒脱な書風は、同時代のみならず、後世にまで大きな影響を与え、「芸林百世(げいりんひゃくせい)の師」と仰がれています。
江蘇省華亭(こうそしょうかてい)の出身である董其昌は、万暦17年(1589)に進士に及第し、高級官僚の道を歩みました。17歳で書を本格的に学び始め、はじめ唐時代の顔真卿(がんしんけい)や虞世南(ぐせいなん)を習いましたが、これに飽き足らず、魏・晋時代の鍾ようや王羲之(おうぎし)に遡りました。20代で画に志し、30歳前後で禅を学び始めたといいます。
董其昌は、書画家として優れた作品をのこしたばかりでなく、書画の理論においても、鑑識においても、卓越した見識を持っていました。書画に関するその著『画禅室随筆(がぜんしつずいひつ)』は、董其昌の書画に対する深い理解を示すものとして、後世の読者を獲得し、現在も読み継がれています。董其昌の様々な作品とともに、その影響を受けた清時代の諸家の作品をあわせて展示いたします。どうぞご高覧ください。
展示期間:2008年1月2日(水)~2008年1月27日(日)、
2008年2月13日(水)~2008年3月2日(日)