本館 16室
2005年3月29日(火) ~ 2005年5月8日(日)
文豪森鴎外(もりおうがい:1862~1922)は、晩年、帝室博物館総長と宮内庁図書頭(ずしょのかみ)の職にありました。そのとき鴎外は、博物館の蔵書目録の編纂を意図し、蔵書の1冊ごとにみずから丁寧な解題と、その著者の略伝を執筆しています。大正11年7月、現職のままこの世を去ったため、完成にはいたりませんでしたが、対象となった資料はおよそ4,200件に及びます。解題の内容は、古今東西の人文・自然・社会科学にわたり、考証家鴎外の広く深い学識を伝えています。また鴎外は、博物館で時代別展示を取り入れるなどの改革を行って、入館者数を飛躍的に増加させる一方、『帝室博物館学報』を創刊し、さらには正倉院宝物を調査して一般研究者の観覧へ門戸を開きました。
この展示では、『鴎外遺稿博物館書目解題』とその関連資料をはじめ、帝室博物館総長在任中の活動を伝える資料、医師として記した『芸用解剖学骨論草稿』など、森鴎外が残した多大な功績をたどります。