平成館 企画展示室
2014年6月24日(火) ~ 2014年8月17日(日)
伊能忠敬(1745~1818)は、九十九里浜の近くに生まれ、佐原(千葉県香取市佐原)の商家の養子となってその経営に力を尽くしました。天文、地理、数学などの学問を好み、50歳で隠退すると江戸に出て幕府天文方の高橋至時(たかはしよしとき)に師事し、本格的に天文学や測量術を学びました。地球の緯度1度の正確な値を確定することを志し、1800年(寛政12)に、ほとんど独力で蝦夷地(えぞち)を測量しました。忠敬の測量事業と作成した地図は幕府の注目するところとなり、その後幕府の命を受けて、亡くなるまでのほとんどの期間を全国の測量に捧げました。その成果は日本全図である「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)」として忠敬没後の1821年(文政4)、幕府に提出されました。
伊能図は縮尺によって大図・中図・小図と分類されます。幕府に提出された図は明治時代に火災によって失われましたが、当館には伊能忠敬とその関係者がさまざまな機会に作成した各縮尺の良質な日本図が伝来しており、実際の伊能図を比べながら見ることができます。
この特集では代表的な伊能図と忠敬以前の地図、江戸時代の測量に関連する書籍類などを紹介し、伊能図の緻密さ、美しさと江戸時代の地図の文化の一端を明らかにします。