本館 特別1室
2012年7月31日(火) ~ 2012年9月9日(日)
東日本大震災の後、「貞観地震(じょうがんじしん)」と呼ばれる、同じような性質を持った地震が1100年以上前に起こったことが、広く知られるようになりました。当時の政府の公式記録(正史)である『日本三代実録』にそのありさまが記述されていたことにより、今日までその事実が伝えられたのです。これに限らず、地震や火山の噴火など自然現象とそれに伴う災害の研究には、古記録、古文書、絵図などの歴史資料が大きな役割を果たしています。現在では、歴史資料の記述をもとに地震の特徴や周期性を推定し、自然科学的なデータや考古学の知見などとの整合性を検証することによって、地殻変動の動向を把握することが行われています。
この特集では、歴史資料が地震研究にどのように利用されているかを、古代以来周期的に発生している巨大地震や、幕末に起こった連続地震に関する具体的な資料とその理学的な分析の事例によって紹介し、自然のふるまいと防災に対する理解を深めます。